疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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決めた

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シスタージャスミンとリリアは修道院に戻り、ダンも自宅に帰った。

ロイは屋敷に行くので馬車の中で一人今日のことを振り返っていた。



はっきり言って情けなかった。

リリア・アルバの前で素性をバラされ反論できなかった。

母親を侮辱されたが全て事実だった。

リリア・アルバがレディダークに近づく時、
明らかにダンのジジイはリリア・アルバを守る体制に入っていた。

俺はただ焦ってるだけだ。


自分だけ除け者にされてると思っていたが、あの中に俺が入るなんておこがましかったんだよな。


でも、俺も強くなりたい。

今まで中途半端に生きてきた。


王家の血筋であること。

母親が平民の妾だったから苦しみ抜いたが王都に留まっていたのは俺を守るためだった。
ずる賢い奴らに利用されたけど、俺の存在を守るためだった。
だから母親が処刑されたのは俺のせいだ。俺がいなかったらあの人はあんなことにはならなかった。

その過去に向き合いたくなくて、ふらふらしていた。

この街で自分より不遇な奴らを見て無意識に優越感に浸ってただけだ。

あの女のことも、アルバ家から訳ありの令嬢が来ると聞いて、楽しみにしていたんだ。
貴族のくせに家族から厄介払いされてその上容姿は醜く魔力もない、教養もなっていないどうしようもない令嬢だって。
俺よりもっと不幸な奴がきたら暇潰しにでも使ってやろうかくらいに思っていた。

でも、あいつは全然違った。
俺よりもずっと賢くて、俺なんかよりずっと先を見ている。
俺なんかあいつの眼中にも入らない。

当たり前だよな。

俺が知らないところでみんなこの地区をぎりぎりのところで守っている。
あいつもそうあろうとしている。



俺も強くなりたい。


母さんは守れなかったけど、この地区を守ろうとしているあいつ、リリアを守る。

決めた。それが俺のこの地区に出来ることだ。


ロイは覚悟を決めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日から修道院の敷地を広げ、薬草農園を作る準備や出店の許可準備などで慌ただしくなった。

シスタージャスミンにかなり協力してもらい様々な手配を手早く進めてくれている。

邪魔は一切されなかった。
マーガレットさんが裏から支援してくれていたからだ。


そして、今マーガレットの情報操作により、リリアとデリスが入れ替わっている。

修道院にいるのがデリスで事情により名を変えジーナになっており、
別宅で美しい執事と悠々自適暮らしているのがリリア・アルバとなっている。
わがままなリリア・アルバが修道院生活を嫌がり別宅にこもって好き勝手しているシナリオだ。

元々リリアの前評判は最悪だったので誰もこの話に違和感を持っていない。

デリスも、美しい執事との生活を楽しんでいるそうだ。


順調に急ピッチでことが進んだ。

あとは、この地区の当主に会って今後の許可を得にいかなければならない。
ロイに頼んでおいたのでそろそろとは思っている。
本来、怪しい人物と思われてはいけないので、髪の毛を伸ばし淑女を演出しなければならないが、
リリアはまた髪の毛を切ってしまった。

忙しさから体もさらに痩せ、一見線の細い少年に見られる容姿になっている。

カイから譲ってもらったボロの服を着て外出しようとするところをロイに止められた。

「おい!お前どこに行くんだよ!何だよその髪の毛?男じゃねえか!」

「あら、ロイ。最近偶然よく会うわね。まあまあ似合うでしょ。
そうね、少年に見てもらえるなら大成功だわ。今からちょっと外出します。」

「ちょ、ちょ、ちょ、そんな格好でどこ行くんだよ!俺も一緒に行く!
お前一人で行かせられない!」

「来なくていいわよ。あなたが来ても楽しいことないわよ。」

「いや、一緒に行く。俺はお前を守るって決めたんだ。」

「まあ。嬉しいことを言ってくれるのね。フフフフ。頼もしい騎士だわ。
じゃあ、お願いがあるの。

私のことをお前とかあの女とか短髪女とか言わないでほしいの。
私は気にしないけれど、今後女性に対する不敬な態度は周りがあなたを評価する際マイナスでしかないわ。
今からその癖をとっておいた方がいいと思っていたの。」

「な、な、何だよ!シスターみたいなこと言いやがって!お前の方が年下だろ?」

「年下だろうが、何だろうが失礼なのは事実よ。
もう幼稚に照れ隠しや反抗する歳ではないでしょ。」
目の据わったリリアがロイにじっと冷たい視線を送る。

「くそ。分かったよ。リ、リリアでいいんだろ!」

「よろしい。まあ、ジーナでもあるんだけどね。
ああ、あとこれから私は男の子として街に出るから名前はそうね、
ケントでいいわ。考えるの面倒だから。顔も似てるしね。」

「色々めんどくせえなあ。まあ、いいよ。分かった。じゃあケントさんよ、行きますか。」

「フフフフ。はい!参りましょう!」

「何だよそれ。」

リリアの楽しそうな顔を見てロイは自然と自分も笑っていることに気がついた。


こうやって人の笑顔を見て笑ったのって何年ぶりだろう。


リリアの笑顔を見ると心がホッと温かいものが宿る感覚を知った。

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