疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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王都にて 2

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次の日、平民の服装に着替えたロイは街に出ようとした。


護衛を必ずつけると言われていたので、できるだけ市民に馴染むような格好で護衛するよう頼む。

今日の目的は、リリアへの土産だ。

イヤリングをレディダーク(マーガレット)に預けたので、リリアはあまり装飾品を持っていないはずだ。
ラジオの商談の日も綺麗な令嬢になっていたが、もう少し着飾っても良かったと後から思う。
あの時は綺麗になっているリリアをラジオに見せるが惜しくてそこまで気が回らなかったが。



護衛の一人に、年頃の女性に人気のある店はどこか聞き出して店に向かった。

護衛から、あまり平民の店だと、質も保証できないと言われたので中流貴族をターゲットにしている店になった。


まあ、そこならセキュリティもしっかりしているだろうからゆっくり品を見ることができるしな。

と、思っていたが…
いざ店に入ると、煌びやかなものが多すぎて何が何だか分からない。

そう言えば俺こんな店入るの初めてだ。

店に入るまえ、護衛から店にセキュリティチェックと、
王族の関係者が来店することを事前に説明されていたから客はいなかったが、
これはどこをどう見て良いかわからず困ってしまった。

急な訪問だったからか店員は爺さんだった。
ダンジジイみたいなのではなくてもっと柔らかい品ある物静かな爺さんだ。

「お客さま、どのようなものをお求めでしょうか?」

「16歳の女の子に土産で渡すんだけど、あまり派手なのは似合わない。
いや、似合う時もあるが、普段つけられそうな物がいい。」

「なるほど。その女性は恋人でしょうか?」

「い、い、いや。恋人ではない。友達だ。向こうはそう思っている。」

「向こうは。ですか。向こうは。」

「何だよ。」

「いいえ、お客様の想いが通じるといいですね。
じゃあ、指輪はまだちょっと重たいなあ。そうだなあ。イヤリングなんかはいかがでしょう?」

「イヤリングは大切にしているものがあるらしいんだ。
それには敵わない。というか、俺の想いとは何だ?変なこと言うな。」

「ああ、すみません。羨ましくてつい。」と店員の男はにっこり笑う。

「それでは、髪飾りやブローチなどもありますが。」

「髪飾りは、あいつの髪が短すぎるからやめておく。ブローチか…。いいな。」

「こちらがブローチになります。ブローチと言っても色や素材、デザインが様々なので。」

「そうだな。」

ロイの目に一つのブローチが目に止まった。
一見地味だがよく見ると一つ一つ細かい細工がしてあり、光の加減によって白から青に色が変化するものだ。

「これがいいな。これにする。」

「ああ、嬉しいですね。これはわたしの自信作です。お客様お目が高い。
ここに来られるお客様は派手で一見して高価なものを好まれます。
今外出しているオーナーからは地味だと言われますが、このブローチが完成する手間はここに置いてある品々の中でトップクラスです。
いつもは工房にこもっていますが、今日は珍しく店番ができてよかった。」店員は満足そうな声で話す。

「よかったら、これには男性用にペアのカフスがあるんです。そちらをプレゼントさせてください。」

「い、いや俺はそんな物つけないし、店の売上が減るからいらない。」

「いえいえ、一緒にいてほしいんです。ブローチもカフスも魔法を一切使わず仕上げました。
魔法があれば早く簡単に加工できるんですか、この輝きは手作業でなくては出せないんです。
オーナーの意向で効率が悪い品は作らないようになりました。

この二点はつがいのようなものです。一つだけ残されたらかわいそうなので、どうか一緒に使ってやってください。」

「魔法がなくてもこんな綺麗なものができるのか。いや、魔法がないからできるのか。
知らなかった。分かった。じゃあこのカフスも頂く。でも金は取ってくれ。分かったな。」

「はい。承知しました。ありがとうございます。
そのガールフレンドの素敵なレディにもよろしくお伝えください。」

「あ、ああ。俺も魔法がなくてもできることがあると知れて嬉しかった。ありがとう。」



ロイは店を出る。


リリアのことばかり考えていたが、シスターやレディダーク、カズやダンのジジイ、ラジオへの土産をすっかり忘れていた。

護衛にお願いして、魔法じゃ作り出せない価値のあるものを城に持ってきてもらうよう伝えた。

護衛が謎解きを出されたように戸惑っていた。


「はははは。悪いな。あんまり王都に長居したくないから早めに頼む。」と付け加えた。


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