疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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王都にて 3

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途中、護衛の一人にある店に寄って欲しいと頼まれた。

何かの罠かと思ったが、どうもその様な感じではない。
理由はしっかり話さなかったが、今の自分にはコントロールはできないが膨大な魔力もある。

「分かったよ。行こうじゃないか。」と店に入った。

店の中には誰も客がいない。奥に通されると、知らない男がソファに座って待っていた。

見たことのない顔だが…。

「街を楽しんでいたところ、悪いな。
お前とどうしても話したかったがのだが、城の中では妙に勘繰る輩が多くてな。」

声を聞くと分かった。俺の母親を見殺しにした父親、つまり皇帝陛下だ。

「何でこんな所にいるんだよ。顔を魔法で変えやがって。」

「ロイーズ様!そのようなお言葉遣いはおやめなさい!」
隣に構えていた執事が割り入った。

「よい。今は陛下ではない。中堅貴族の爺さんとなっている。いいんだよ。」

「は、はあ。そうでございますか。」

「そうやって、王族であることを隠して母さんに近づいて…。
用が済んだら見向きもしなくなって、都合が悪くなったら見殺しにしたんだろ。
いいご身分だな王様は。」ロイが睨みつけながら吐き出す。

執事が顔を真っ赤にしている。

「そうだ。わたしは卑怯な奴だ。それを否定する気はない。」

「へ、陛下!ロイーズ様!違います!

あなたのお母上様は確かにこのような街で陛下とお会いになりました。
あなたを産んで陛下はあなたの事も大切になさっていました。
…しかし宮中はあなた方親子をよく思わない連中が多く、
陛下があなたの母上様と近づけば近づくほど過激な嫌がらせをしたので、陛下はわざと距離を取ったのです!」

「あっそ。だから?」

「結果的にそれがよくなかった。
お前の母親に対して、宮中での不安を誰もケアすることができなかった。
そこにわたしがいない隙を見てある組織に付け入れられたのだ。
気がついた時はもう、手遅れだった。
何とかして彼女を救おうとしたが叶わなかった…。
そうだ、わたしはお前の母より国の安全を取った大馬鹿者だ。」

「陛下!あの時は奥方をあのように扱わなければこの国が滅びるほどの状況でした。
あなた一人に責任があるわけではありません。」

「何の茶番を見せられてるんだよ。今さらあんたが謝ったって母さんは生き返らない。
もういいよ。その組織の連中に俺の存在をダシに操られてたんだろ。それくらい馬鹿な俺にだって分かってるよ。」


「ロイーズ…。本当にすまなかった。
お前の母親は子供を思う素晴らしい女性だった。儚くて美しかった。
王族の中でやっていけるほど器用な人でないともっと早く判断して、遠方で保護すればよかった。
わたしの慢心が招いたのだ。本当にすまなかった…。」


「もういい。俺今まであんたが憎かった。今も憎いには変わりないけど、
でも最近になって立場っていうのが分かった。
貴族の立場、大人の立場、強者の立場、弱者の立場。あんたの立場も大変なんだってのも分かった…全部はわかんねーけどな。
でも、俺は大切な人を絶対守る。決めたんだ。
…あんたを頼りにする気はないけど、ただ、見守っていて欲しいんだ。」

「お前の視野が広がったんだな。」

「あいつならそう言ったと思う。相手の立場を見て考えるんだ。」

「あいつとは、シスター見習いのジーナという平民か?」

「あ、ああ。そうだ。」
(リリアだけどな。レディダークの情報操作は完璧だな。国王を欺くなんて。)

「平民の女の子か…。わたしが言うのもおかしいが、身分のことを考えると心配だな。」

「あんたがそれ言うのかよ。
なあ、今まで中途半端な立ち位置にいさせてもらっているのは分かっている。
王族の関係者っていう平民でもない王族でもない、いいとこ取りってやつだよな。
本当は王族なんて興味ないし、むしろ憎くてたまらない奴らだ。でも、王族の肩書きがまだ必要なんだ。
俺は、あの地区が上手くいけば、平民になる覚悟なんだ。」

「王位は必要ないと言うことか?」

「いらない。強がりじゃないぜ。
俺自身の力で守って生きるんだあの地を。
だから、何度も言うけどあと少しこの立ち位置を利用させてください、国王陛下。」
ロイは深々と国王陛下に頭を下げた。

「まあ、いい。ある意味愛するもののために平民になる選択肢があるお前が羨ましいよ。」

少し寂しそうな表情でロイを見る。

「そうだな。まあ、そう言うことだから貴族連中に近づかれると色々面倒だから、そこんところ釘刺しておいてよ、国王陛下。」ロイがニヤリと笑う。

「はははは。分かった。お前は王族だが王位は今後譲る気のない人物と説明しよう。」

「これでもかって言うくらい、皆の前でそっけなくしてくれよ。
俺に媚を売るのは無駄骨ってわかってもらいたいからな。」

「分かっておる。では、あまり王宮を出ると隣の執事に大目玉にされるからな。
もうここを去る。他、お前の希望はないか?」


「あ、あの、これから魔法を使わなくても作れるものを考えたいんだ。
薬とか特産物とか…。でもそれを作る技術とか知識がないと困るんだ。
もしかしたらその教科書とか職人を王都から寄越して欲しいっていうかもしれない。
子供たちが生きていくための仕事が欲しいんだ。それを教えてあげたいから。」

「知識、技術の伝達目的だな。考えておこう。人のために動くのは良いことだ。
それが王族関係者の立ち位置が必要な理由か?」

「そうだ。それが十分済んだら、王族の位置はもういらない。それまでだ。」

「分かった。くれぐれも健康でな。人を守るための魔法を身につけるのだぞ。ではもう行く。達者でな。」

「ああ、わざわざありがとうございました。」ロイは再度深々と礼をした。


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