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報告
しおりを挟むシスターの事務室でダン、リリア、ロイ、ラジオ、シスターが揃った。
修道院における薬草事業はまずまず順調だった。
ラジオの実家ビッツ家は魔力・魔法以外に関心はないので今回の事業に何ら反応がないそうだ。
子供たちを使役として働かせることには抵抗があるので、あくまでも学業の一環として動いてもらっている。
強制はしないし、学業を優先するスタイルをとっている。
収益は明瞭会計で子供たちに還元もしていた。いいお小遣いになり、家計の足しにしている子供もいるらしい。
薬草の評判は良く、徐々に顧客がついている。
今後転売の防止やブランド化を考えなければならない。
ちなみにブランドのロゴはジャスミンのとマーガレットの花をモチーフにしたロゴになった。
ラジオは資料から、以前この地区を治めていたのがその二人姉妹の両親と突き止めた。
再起、再生の意味合いと二人の強い元貴族令嬢を敬してどうしてもそのロゴデザインが良いとラジオが希望した。
シスターは昔話を掘り返したくないと嫌がっていたが、マーガレットのレディダークは「何でもいいよ。金になるなら。」と了承したので決定した。
ラジオはやはり秀才で、薬草の活用を常に研究している。
ゆくゆくは薬として販売したいが、身内の治療師から狙われる可能性が高いので、今はリリアの助言から薬草を化粧品に応用する加工を行なっている。
肌が荒れている年頃の女性に配り経過を見ているが、使用後は明らかに肌質の改善が見られている。
ロイからも報告が入る。
魔力封じが解けて、膨大な魔力があること。
この魔力はこの地を守ることに使いたい。
そのためには、リリアもレディダーク(マーガレット)に言われたように魔力のコントロールが必要だから、セリ先生の夫ジルを教え手に選んだことを説明。
また、自分はこの事業が確立できるまで王族の端くれのポジションを降りない。
利用できるものは何でも利用するつもりだが、王位はなく後ろ盾(皇帝陛下)も自由に動ける身ではないので、頼りにはできない、と話す。
「でも、王都に行って分かった。魔法を使わない方が価値のあるものが一定数あるってことだ。
後でみんなに土産として渡す。魔法で楽をしないで一つ一つ手間をかけることが美しいものもある。ここの薬草と一緒だ。」
ロイは嬉しそうだ。
皆も、この地に明るい兆しが出てきたことを疑いながらも感じていた。
その時、
シスタージャスミンが突然話し始めた。
「皆さんに伝えておくことがあります。
本人が言うなと言っていたけれど知っておかないといけないことですから…。
私の姉マーガレットですが、最近調子が悪いのです。体を起こすのもかなり重労働になりつつあります。
口では強がりを言っていますが明らかにあの無理やりねじ込んだ魔力に体が太刀打ちできなくなっているようです。」
「むしろ、今まであんな状態で自分を保っていていたことだけでも大したものだ。精神力だけは本当に化け物だぜ。」
ダン爺さんは皮肉を言いながら心配そうな顔をしていた。
「姉が魔に飲み込まれることがあれば私が始末をすると約束しています。皆さん止めないでください。それだけです。」
「そ、それだけって、シスターがそんなことしたら修道院はどうなるんですか?」ラジオが困ったように聞く。
「魔に取り憑かれた人間ほど厄介なものはありません。これは姉のためです。私たち姉妹がいなくても、もうここは大丈夫です。あなたたちに託します。」
「そんなこと絶対させません!絶対に!」リリアがピシャリと言った。周囲が一瞬で緊張する。
リリアは一呼吸置いてニコリと笑顔を作り
「私にも考えがあります。大丈夫!この地が再生するとき、ここの皆さんが揃っているはずです。必ず。」とただの気休めではなく、本当そうだ思わせるような確信を持って言った。
その後も、皆で今後の事業計画を確認し、修正する作業を行なった。
皆で議論することがこんなに楽しいものとロイは初めて知った。
(俺は絶対この仲間を守る。絶対だ。)
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