疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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大切な人

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リリアは考えながら話す。

「ま、まあ。私もあの方々が来てくれたら、百人力です。でも、ジルさん、約束して下さい。
もしここに何かが起こったら、絶対セリ先生のそばを離れず、セリ先生を守って下さいますか?」

「もちろんだ!俺の大事な女房と子供は絶対俺が守る!」

「…分かりました。ではシスタージャスミンとラジオ様に手続きをとってもらうようお伝えしてきます。」

「おう。よかったなジルのおっさん!」

「ああ、ありがとう。すごく嬉しいよ。」ジルはホッとした表情を見せていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



一週間後、セリ先生とリタさんがバスク地区の修道院に着いた。

「リリちゃん!あんたまた綺麗になったね!その短い髪型も結構似合ってるよ!」

リタさんがリリアを抱きしめた。

「リタさん。ご無沙汰していました。屋敷でのお別れは急だったからすごく心残りだったの。
また一緒に過ごせるなんて夢みたい。」
リリアは感動で少し涙目になってた。


セリ先生が赤ちゃんを抱いたままリリアに近づいた。

「リリア様。この子があなたがあの時守ってくれた子供です。ずっとお礼を言いたかった。
あの時メソメソしていた私はもういません。次は私がリリア様を守る番です。
ここでもう一度教師として教壇に立たせて下さい。それが恩返しになるか分からないですが、良いですか?」

「もちろんです!こんなに心強い助っ人はいません。本当にありがとうございます。でも、お二人とも無理はしないでください。なにぶんまだまだ物騒な問題を抱えている地なので安全第一で動いて下さいね。」

「リリちゃんに言われたくないよ。大丈夫。是非この地の再生を手伝わせてちょうだいね。よろしくリリちゃん。」

「リリア様よろしくお願いいたします。」

礼をした後、3人で視線を合わせ自然に笑みが溢れた。







セリ先生とリタさんがバスク地区に来てから、シスタージャスミンに余裕ができた。

セリ先生はシスタージャスミンの方針をしっかり汲み取り的確に授業を進めている。
生徒達からの評判も非常に良い。セリ先生も、教師を続けられることが毎日充実していて楽しいと何度もリリアに報告してくる。

そして、リタさんだが、気難しいダンさんやあのマーガレットさんと対等に言い合っている。
一見みんな喧嘩腰だが、リタさんなりに年長者を立てている。
その上で憎まれ口の更なる憎まれ口を返しており、一つのコミュニケーションとしても成り立っているようだ。
リタさんは二人の過去を一切知ろうとしなかった。


失礼を承知で気にならないのか聞いたことがあったが
「そんなこと知ってどうすんのさ。あたしには関係ないことだろ?人それぞれ事情があるんだろ。あの人たちもリリちゃん、あんたにもさ。良いじゃない、これからが大事なんだよ。」と笑ってた。

こんなにも素晴らしい人たちが一斉に集まるのは奇跡なのかもしれない。
リリアになってから、立場上人に頼ることばかりだ。でもみんな不器用だけど、温かく応援してくれる。リリアになって良かったと最近すごく実感している。




そして、こんな私を好きだと言ってくれる人もいてる。

以前、ロイに告白されてから何も返事をしていないのは心のどこかに引っ掛かっている。
二人きりになるとどうしても変な調子になってしまうから、無意識に少し距離を空けてしまう。
すごく失礼なことと分かっているけど、こんな恋愛事情にはからっきし免疫がないからどうしても意識して態度がおかしくなってしまう。

皐月の頃、あんなにストレートに思いを告げてくれる人はいなかった。


『適齢期だし、君もそろそろ世間体を気にするなら結婚したいでしょう?
あなたの仕事ぶりを見ていたら、将来身内の介護や世話を安心して任せられる。』


といったどこか男性が優位のプロポーズだった。


何で私が上から評価されなきゃいけないのだろうか。
私は結婚したら自分の意思を通す権利さえなくなってしまうのではないかと不安になった。

結婚後も教師を続けたいと伝えた時、向こうの家族に猛反対されたし、
誰も私の味方はいなかった。結局破断になったのよね。
しばらくはショックから抜け出せなかった。結婚できない女と陰で言われているのも聞いた。
すごく惨めで、情けなかった。


救ってくれたのはお母さんと、学校の子供達の笑顔だった。

今思えば、あの時全てを譲って結婚したところで後悔ばかりの人生だったんじゃないかと思う。
自分のことしか考えないパートナーやその家族と人生を共にしたところで何が楽しいのか。

でも、ロイは違った。真っ直ぐ私を見て、私を支えたいと言ってくれた。
私の進む道を一緒に隣で歩きたいと言ってくれた。
ロイと初めて会った時は幼い青年と思っていたのに。根は優しいけど拗ねたりふざけたり子供じみた態度が印象的だったのに。
でも大切な場面にはいつもいてくれた。
そして、いつの間にか気がついたら大人の顔つきになっていた。
優しい目でいつも見守ってくれているのも感じる。

リリアはドキドキしながら色々葛藤していた。

どうしても皐月の感覚が抜けきらないのかしら。
ロイの事、考えれば考えるほど好きでいてくれるのが嬉しいけど、でも…。

「何百面相してるんだ?リリア?」ロイが突然話しかける。

「きゃー~ー!ロ、ロ、ロイ…。居てたの?」

「きゃーって何だよ。面白えな。」眩しい笑顔でロイが笑う。



「リタさんが、レディダークいや、もう黒くないからマーガレットのおばさんだな。
マーガレットのおばさんの体力がついてきたから、リリアの魔力を器に注ぐのも準備しても良いんじゃないかってさ。それ言いにきた。」

「あ、ありがとう。それは良かった。」リリアの表情が少し硬い。

「どうした?何かあったのか?」

「私、人の器に魔力を注ぐって想像できないのよ。あの時無我夢中で提案したのに、マーガレットさんに迷惑をかけないよう絶対成功させなきゃいけないのにね。」無理してリリアは笑う。

「リリア、自分一人で責任を負いすぎだ。リリアの魔力がダメなら俺の魔力もある。
そのために、俺ももっと繊細な魔力のコントロールの訓練をしているんだ。まあ、あのおばさんが俺の魔力は嫌がるだろうけどな。」ロイは力強くリリアに伝える。真剣すぎたのか途中リリアの両手を自分の手にとっていた。

「ロイ、ありがとう。本当にありがとう。」

「こんなことしか出来ないけどな、リリアの役に立ちたいんだ。おっと、あれは精霊かな?
光がこっちに近づいてくる。」ロイはリリアの手を取ったままだ。

精霊が飛んできて、リリアに近づく。
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