疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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ラジオに用意された室内は魔力を注ぐ人物と注がれる人物用の椅子が小さな机を挟み、向かい合わせに組んである。執事がロイとシスタージャスミンの分の椅子を用意してくれた。

4人分の椅子の周りを光沢のある綺麗な紐で編み込まれたカーテンのような仕切りが囲んでいる。

「この仕切りは何ですか?不思議な感じ…。」リリアが近づく。

「これは魔力封じですー。リタさんにお願いして撚り合わせた紐になりますー。取り寄せたシルクで作っていますー。原料の蚕(カイコ)の飼育もはじめたいのでー試験的に加工してみましたー。」

「これは、誰の保護のために魔力封じをしているんだ?」ロイが紐を見ながら質問する。

「もちろんラジオ様の保護のためですー。魔力を注ぐ際に問題が生じることもありますー。大爆発でも起これば修道院ごと吹っ飛ぶかもしれませんしー。そうならないように魔力封じをさせてもらっていますー。何かあってもこの紐のカーテンの中で完結しますー。私は結界が張れないのでー、リタさんお手製のシェルターのようなものですー。」

「「「「「…。」」」」」全員が絶句している。

「君、みんなが引いているからそれくらいにしてくれ。僕の保護ではなく修道院にいる子供達の保護だろう。」
ラジオが慌てて執事に修正する。

「そうとも言えますー。」

「絶対心からそう思ってねえだろうな…。」ダンがボソリとつぶやいた。

「魔力を注ぐってそんな物騒なのか…?」
ロイが少し心配になる。何が何でもリリアを守る気持ちは変わらないが。

「何でも良いよ。早く始めて早く終わらせちまうよ。」マーガレットが椅子にずかずかと近づき勢いよく座る。

「ではー何か気配がおかしくなったらダンさんに入ってもらいますねー。私たちは一度退席しますー。ラジオ様は一番離れてくださいねー。」と執事がラジオの退室のついでに他の者の退室をを促した。

室内に残されたマーガレット、リリアは机を挟んで座る。それぞれの相方の側にロイとシスタージャスミンが座る。





「では、マーガレットさん。これから魔力をあなたの器に注ぎます。」

とリリアがこわばった表情でマーガレットを見る。

その時、窓からリリアの精霊が入ってきた。
「このチビも同席するのかい?物好きな精霊だね。」

精霊は、4人を優しく囲むようにツタを這わせた。植物で出来た神秘的た空間だ。
その空間がほんのり白の光に覆われる。

「精霊が手伝ってくれている。リリア。大丈夫だ。何かあれば俺がみんなを何とかする。人を守るために俺は魔力を戻してもらったんだ。何があっても絶対大丈夫だ。リリアは一人じゃない。」



シスタージャスミンが口を開ける。
「リリア・アルバ。あなたに一度お礼を言わないといけないと思っていました。あなたがこの地区に来なければ、この地区はもう限界を迎えていたはずです。
私たち姉妹が願っていた平和をあなたが持ち込んできてくれた。本当はもう十分と言えるほど私達は満足しているのです。もし、ここでマーガレットに何かがあってもあなたへの感謝は変わりません。これまで、本当にありがとうございました。リリア・アルバ。」

「何だよ。別れの挨拶かい?クククク。あたしの黒い魔力を捨てさせたんだ。あんたには成功してもらわなきゃ困るよ。アルバ家のお嬢ちゃん。

でも、妹の言った通り、この人生にもう悔いはない。思いっきりいきな。遠慮したら承知しないからね。」
マーガレットが笑いながらシスターに続いた。

精霊もリリアの手を握りじっと見つめて頷く。

リリアの目から涙がこぼれた。
「フフフフフ。泣いちゃった。私、今一人じゃないのね。そうね。みんなが助けてくれる。仲間が居ることって、こんなに幸せで心強いものなのね。体の奥から安心と力がみなぎってくるわ。
みんな、ありがとう。精霊さん。気づかせてくれたのね。私、もう大丈夫。さあ、マーガレットさんに魔力を注ぎましょう。」
リリアは穏やかな表情で言った。

精霊の植物に囲まれた形でロイはリリアの肩を、シスタージャスミンはマーガレットの肩を、リリアの手はマーガレットの手に添え、その上に精霊の手が添えられる。

「では、始めます。」リリアはゆっくりと目を瞑る。

「ああ、良いよ。」マーガレットも静かに目を閉じた。

精霊は添えている手に自分のおでこをそっと付けた。

リリアが魔力を発動させると、リリアを中心に白い光が更に強く光はじめた。
ゆっくりとマーガレットの体も光が移るように変化する。

「ああ、今魔力があたしに移っているよ。怖がらなくて良い。この調子でいける。まだまだ魔力が入る余白があるよ。このチビが上手く魔力を調整してくれているみたいだ。全く無駄がないね。」

「私もまだまだお渡しできます。」リリアは目を瞑りながら肩に置かれているロイの手に安心を感じていた。

しばらくの間滞りなく魔力を注ぎ続けた。

「ああ、もう満タンだよ。これ以上は入らない。アルバ家のお嬢ちゃんもチビも、もう大丈夫だ。」
光をまとっているマーガレットが言う。後ろでシスタージャスミンがホッとした表情を見せていた。

「これが、魔力を注ぐと言うことなんですね。不思議な感覚でした。」リリアが感心したように話す。

「リリア、大丈夫か?」

「大丈夫よ、ロイ。不思議な感じがするだけ。あなたのお陰ですごく安心して出来たの。本当にありがとう。」

「そ、それなら良かった。」

精霊がニヤニヤ見ている。マーガレットは自分の両手をまじまじを見て色々感じているようだ。

「魔力の質が良いんだろうね。変なクセも全然ないよ。これならすぐ使いこなせそうだ。」

「レディダークの時まがまがしい魔力をあそこまで使いこなせていたから心配いらなさそうだな。」ロイも嬉しそうだ。

「チビが手伝ってくれたんだ。お互い負担にならないように調整されてたの分かったよ。あんたの精霊だからだね。」
マーガレットがリリアを見る。

「精霊が手伝ってくれていたのは私も感じました。でも、私はこの子の主人ではないんです。主人の刻印もないので。
多分この子はマーガレットさんが好きでやっていたのだと思います。」リリアは笑う。

「はあ、精霊は気まぐれってのは本当なんだね。まあ、いいや。ありがとうね。おチビ。」

精霊は嬉しそうに自分の頭をぽりぽりかいていた。


その後ろで
(リリア・アルバの魔力のせいか、姉が少し穏やかになっている…。)とシスタージャスミンは感動していた。



別室で待機していた他のメンバーに報告する。
皆拍手をしたり、ガッツポーズをしたりとそれぞれ喜んでいた。
ダンは精霊の頭を撫でてて「よくやったな。お手柄だぞ、チビ。」と精霊を褒めていた。

精霊は今日一番の笑顔を見せていた。


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