疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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勾留中

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国家偵察隊の施設にダンが勾留、拘束されている。


デリス殺害の容疑だが、証拠もなく被害や経緯も明確でないので、罪人ではない。


証拠集めと、罪の確定方法は今後審議されるだろう。



自傷や他害を防ぐためダンはほとんどの衣類を脱がされ、薄いぼろ布一枚を下半身に巻くだけの姿になった。


独房に一人入れられる。


高天井に小窓があるので微々たる日光を感じるのみの明るさだ。

その小窓を使って精霊が出入りしている。






ダンはむすっとした普段の表情で地べたに座っていた。


自分は叩けばいくらでも埃が出る身だ。
暗殺を生業としていた事は関係者全員周知している。


生業を問われれば処刑されても文句は言えない。

それは仕方がない。





心残りはバスク地区に、自分の存在が悪い影響を及ぼすのではないかと言うことだ。



薬草の知識はカズやラジオ、リリアに伝承できている。


ただ、それを権力や魔力で地区の人間が強引に働かされるようになることが最悪のシナリオだ。



「チビ、俺のことはどうでもいいが、最悪の事態になったらお前が育ててくれた薬草全部燃やすことになる。

薬草があいつらの足枷になるのは困るんだ。

覚悟しておいてくれ。

すまねえな。」
ダンの横に付き添っていた精霊が複雑な表情でダンを見つめていた。





そこに、気の弱そうな冴えない男が入ってきた。


精霊が驚いてダンの後ろに隠れる。


男は舐められないようにか、全く迫力のない虚勢を張ってズカズカダンに近づく。



「お、おい!お前がダンだな!我(われ)がこれからお前をい、痛めつけてやるか、からよ!覚悟…しておけよっ!」

最後の方は声が上ずっている。



その男は、国家職員の制服ではなく、明らかに教会関係者の服を着ている。


「お前、教会の人間だろ?何でこんな所にいるんだよ!」ダンが睨みを効かせて聞く。


「え?え?何でだって?だって、今回のことは教会も介入するから、あんたの世話は教会の人間がするって事になったんだよ。国家と教会がかなり揉めて、何とかお互い譲歩してこうなったって聞いたんだ。」



男は、全てをダンに伝えてしまっている。

「…。お前、馬鹿なんだな…。お人好しか…。まあ、何でもいい。で、痛めつけるってのも上の命令か?」


「うっ…。馬鹿とは何だ!初対面で失礼だろ!そうだ!体も精神も弱らせるのが上からの命令だ!」


「質問に全部答えて大丈夫かよ。ふう…。教会の人間の拷問は施行側に異常者が多いから国家機関よりむごいって同業者に聞いてる。くそ!いっそのこと早く殺してもらったほうが良いな。」


「とっ、とにかく!我(われ)がお前を痛めつける!わっ分かったか!」




精霊が、ダンの後ろからひょこっと顔を出す。

「…?ん?何だ、猫か?光っている?」


精霊が羽をパタパタと羽ばたかせ、ダンの横で飛んでみる。


「………!!??」男は声が出ず、腰を抜かしてしまった。

そのまま、あわあわ言いながら床を這って退室した。


「あの変な男、チビのことちょっと見えたんじゃないか?」

精霊もうんうんと頷いていた。




初対面の時に、腰を抜かしたダンの世話がかりだったが、次の日からも世話係として勾留所に入室してきた。



精霊がわざとダンの目の前に立ちはだかると、男は絶対目を合わさないように精霊を避けてダンに近づく。



向こうは精霊を見ないように無視を決め込むことに決めたのだろう。

向こうには向こうの理由があるだろうし、ダンも特に精霊のことを見ているか聞こうとも思わなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



食事は一日3回支給された。
世話係の男が持ってくる。

質素な食事だが、時々ハムや魚の干物など肉類が不自然に用意されていた。

そもそも拘束中の身で食事が3回からして不自然だ。


毒でも盛っているのかと不気味だったが、そういう訳でもないらしい。


お陰で、狭い室内で運動もしねえから、体が鈍ってきた。



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