疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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面倒な奴ら

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翌日、ロイが変装して面会に来た。


王族のコネクションを使い込み、何とかロイ一人が入れたようだ。


「ジジイ、思ってたより元気そうじゃないか。もっと痛めつけられていると思っていた。」


「うるせえ。ちょっとは心配しろ。世話係に面白いやつがいてな。何とか命は繋がっている。で、俺の裁判はいつ頃だ?」


「ああ、まだ正式に決まっていないんだ。教会や国家はいつでも良いらしいが、肝心のリリアのアルバ家が色々先延ばしにしてくるんだ。教会や国家を味方につけようとしているってマーガレットのおばさんが言っていた。」


「お嬢ちゃんもややこしい家から来たな。お嬢ちゃんは大丈夫か?」


「ああ、あの日からダンのジジイを取り返す!ってしっかりリタさん特製メニューを食べ始めた。
あの戦いについては、俺たち色々反省して訓練もみっちり受けてるんだぜ。

リタさんとジルのおっさんも本気で実戦練習してくれている。
クタクタだけど、みんなジジイと一緒に働きたいから必死だぞ。」
ロイはクスリと笑っている。


「はっ。どうだろうな。

俺はもう十分だ。あんまり変な事考えるなよ。」
ダン自身に争う意欲はないと話す。


精霊が横で悩まし気に聞いていた。

ロイが精霊に気がつく。

「お前、本当にジジイが好きだよな。しかし、何であのタイミングであの大木を出したんだ?」

「やめろ、バカ王子。チビを責めるな。」

「はいはい。」

「ロイーズ様、もうお時間です。教会の者もやって来ます。この辺で。」スクーが呼びにきた。


「じゃあな。ジジイ。次に会う時は裁判かもしれない。絶対勝つからな。」


「知らねえよ。さっさと行け!ああ、あのお嬢ちゃんに伝えておいてくれ、俺のことは気にするなって。
それだけだ。じゃあな!」ダンはそれだけ言って床に横になりロイの反対側を向いた。


「ああ、リリアにそう言っておく。」とロイは言いながら退室した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



更に次の日、厄介な奴らが束になってダンの見物に来た。


アルバ家の長男ケント・アルバ、その執事ゲイブ、それと以前オレに蹴りを入れた悪人顔の司教だ。



最悪の取り合わせだ。



後ろで小さくなって待機している世話係が部屋の隅にいた。



おおかた、自分の妹を陥れるために教会と手を組んだのだろう。



教会は修道院の薬草、アルバ家はお嬢ちゃんの引き戻しの利害が一致したんだろうよ。


欲まみれの奴らだな。



しかし、同じ両親から産まれた兄妹に何でそこまで執着するんだ?


初めてお嬢ちゃんの兄を見たが、顔なんてそっくりじゃねえか。




ダンは黙って訪問者を睨んでいた。


丁度精霊も窓から様子を見て慌ててダンの元に着いた。




「ケント様、こやつがあなた様のメイドを殺した重罪人です。

裁判など待たずに殺してやって良い男です。なんせ、前職は暗殺者ですからね。罪深き男です。はい。」



(気持ち悪い態度しやがって。あの悪人顔司教め。)



執事のゲイブがダンに近づく。


「お前、デリスを殺したな。遺体はどこに捨ててきた?」


「…。」ダンは睨んだまま何も答えない。


「まあ、素直に吐きはしないか。」ゲイブは指で顎をこすりながらつぶやく。



「ケント様、こやつは罪人です。いくらでも拷問にかけてもらって構いません。

多少傷があっても、こやつが錯乱状態で勝手に暴れてつけた傷とでも言っておけば良いのです。」
司教はニタニタ笑ってケントを煽る。


それを見て、世話係の男がもよおした振りをして室内を出ていった。


「こやつは生意気なジジイでねえ、本来教会でさまざまな拷問で罪を罰しておかなければならないものなんですよ。」


「ほう、そうですか…。司教様がそうおっしゃるのなら、そうなのでしょうな。まあ、こんな汚い老人にケント様の手を煩わせるのもいかがなものと思いますので、私から…。」


ゲイブは、容赦なしに拳でダンの顔を攻撃した。


「ぐっ!」ダンは両手を縛られており、衝撃にバランスが取れず床に倒れた。



「ゲイブ!やめろ!そのような方法で聞き出すのはおかしくないか?」ケントがゲイブを咎める。



「ケント様、あなた様は優しすぎる。敵に情けは不必要です。

あなた様のお父様もこのような状況であれば容赦なく敵に裁きを受けさせますよ。

この汚い老人は我がアルバ家で懸命に働いてくれていた若き女性のデリスを殺した男です。

デリスはリリアお嬢様とこの者のせいで明るい未来を奪われたのです。
このままではデリスは浮かばれません。」ゲイブはわざとらしいほど白々しく悲しい顔でケントを諭す。


「い、いや、そうなのだが…。」ケントが困惑する。






ガチャリと扉を開ける音がした。


そこに国家偵察管理者のスクーが入って来た。

後ろにひっそりと世話係が後から入ってきた。


多分、世話係がスクーを呼びに行ってくれたのだろう。



「何事ですか。なぜ容疑者が顔を腫らして倒れ込んでいるのですか?

あなた方が面会するときは偵察隊の人間が立ち会う約束でしょう?

情けない…。我が隊の人間が買収されたのですね。」




司教が大袈裟に明るい声で笑い始める。

「おお、忘れとった!そうでしたな。いやいや、歳をとると忘れっぽくなっていけない。

あれ?なぜこの者は倒れておるのかな?

ああ、こやつがケント様に殴りかかろうとするから引き離した時にちょっと頬を小突いてしまったのです。」



「…。で、要件は何ですか?」


「いやね、アルバ家の大切なメイドの遺体がまだ発見されていないのです。

ケント様も早くメイドの家族に亡骸を渡したいと毎日眠れないほど嘆いておいでで…。

なので直接この者に聞きに来ました。手順を踏まずに申し訳ありません。」


ゲイブも物腰は柔らかいが目が笑っていない。
スラスラと耳障りの良い言い訳を出してくる。



「…。で、その者は答えたのですか?」


「いいえ、やましいことが多いのか答えてはしません。
困りましたね。遺体がなければ裁判もできません。
国家機関の皆様も早くこの案件を終わらせたいでしょうに…。」ゲイブはスクーの心配をも装う。











「遺体の場所は俺が教える。」ダンがついに口を開いた。
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