疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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捜索 2

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(先頭の人間を通すように草が自ら道を開けている…?)

ケントは不思議な光景を見ていると、世話係が立ち止まった。



そこには、墓標が立ててあった。



「ここが、あの老人が言っていた埋葬場所か。」

スクーが冷静に手を合わせた後、魔力を使い土を掘り返し作業を始める。

荒々しさはなく、少し離れたところから小さな竜巻をドリルのように扱い土を掘る。

土が柔らかくなったら、風を起こしてシャベルのように土を持ち上げ移動させていた。



「珍しい…。風使いか。」ケントが驚いている。



「偵察隊なので戦闘能力はそこまで必要とされませんが、多少の応用は可能です。

ただ、手の内を見せるのは緊急時以外はご法度です。口外はしないで下さい。」

スクーは今後の任務に支障をきたしたくないのでケントに口止めを依頼した。



「分かっている。協力感謝する。」



しばらく埋葬した場所の土を掘り起こすと、何かがほんのり光っていることに気がついた。


「こ、これは何でしょう?見たことのない、花?少しひ、光っている?」世話係が確認した。


可憐な花が土から出てきた。

この環境で花の形を保っているのは相当特殊な花というのはすぐ分かった。


「あ、あの人がやったのか…。」世話係はダンを思い出す。


あの老人がこんな美しい花を添えて埋葬してくれていた。

あの老人は自分が思っているような人ではないような気がしていたが、その思いは更に大きくなった。


花に埋もれる形で黒い何かが姿を現した。


「こ、これは…?」
世話係が優しい手つきで花を端に寄せる。

「く、黒いですね。ん?も、もしかして…。」世話係の顔が引き攣った。


ケントが身を乗り出して黒いかたまりを見たとき、スクーが説明した。


「お二人、この黒いかたまりが魔力に取り込まれた人の成れの果てです。この悲しい姿があなたのメイドの女性です。」


一瞬でケントの顔が青ざめた。
「っひ!!」声にならない声をケントが挙げる。



世話係は険しい表情で手を組み、弔いのまじないを唱える。

教会関係の仕事をしていると似たような状態の人間を何度か見たことがある。

しかし、ここまで悲しい姿は初めて見た。




「こ、これがデリスだと言うのか…?嘘だろう?嘘だ…。」ケントは動揺し、目を背ける。


気持ちが悪くなり、吐き気も起こっている。



「時間がありません。あの老人が言っていた魔法道具を確認しましょう。私が検証します。」


スクーは冷静に遺体に触り、頭部を確認する。

(確かに、ダンという老人が伝えていた魔法道具がガッチリ口腔内にはめ込まれている。
魔法道具とはいえ、兵器に近い代物だ。
こんなものを手に入れ装着できる組織は限られている。王族か貴族その周辺の者たちだろう…。)



スクーがケントにも確認してもらおうとケントを見ると、青白い顔で吐き気と戦ってる姿があった。

(有力貴族の長男と言えど、まだ経験の少ない子供だ。
しかし、このような状態だと物事は進まないしこの遺体も浮かばれない。)



「アルバ家、ケント様。早くご確認下さい。どのような残酷な現状でもあなたは受け止める義務があります。
だからここに来られたのでしょう?そのようなお覚悟もなかったのですか?これが真実ですよ。」


「う…。気持ちが悪い…。」ケントはすぐ動けない。


「ああ、あなたはこれから記録玉を作成してください。新品の記録玉を何個か用意しています。出来ますか?」
スクーは世話係に記録を頼む。


「は、はい。い、今から始めます。この口の中にある装置を記録すれば良いですね。」

世話係はデリスに申し訳ない顔をしながら約束通り自分の仕事を遂行する。


「ケント様。

あなたがこの遺体の事実を受け止められないのなら、今回のこの件についてはアルバ家として関与しないで頂きたい。
私の個人的意見はそう思います。

この女性は、あなた方の争いの犠牲者とも言えるのではないですか?」


「う…。そ、そうだ…。その通りだ…。」ケントはよろめきながらも、ハンカチを口に当ててデリスの遺体のそばに寄り魔法道具を確認した。


「…ああ、確かに、魔法道具が取り付けられている。

燃え方からして魔力に取り込まれる前から装着された可能性が高い…。」

ケントは言葉にしながら目から涙を流していた。


頭の中は
(デリス、デリス、すまない…。こんな姿になるなんて…。僕は知らなかったんだ。)と悔いていた。



「遺体は刃物で処理されているが、これも魔力に取り込まれてどうしようもなくなった後のことのようだな。」
スクーは記録中の目が紫になっている世話係に見えるよう指をさして説明している。


「ケント様も同様の考察でよろしいですか?」


「あ、ああ。」ケントはショックでそれ以上上手く話せないでいる。


(僕は知らなかった。

こんなことになるなんて知らなかった。

知らなかったんだ。


何でこんなことになったんだ?あの老人は悪くない…。

じゃあ、誰が悪いんだ…?)


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