疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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裁判 7

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その瞬間、精霊がダンの前に立ちはだかり両手を上げて精霊の力を発動させた。




地面から多量のツルが伸びて司教の持っていた剣を取り上げた。
また、ダンを守るためにダンの周囲をも硬いツルで覆った。



ダンの体が白と薄い緑が混ざった光に包まれる。

光の眩しさに悪人顔の司教が目を開けていられず後ろによろめいた。



精霊が伸ばしたツルはダンの両手を拘束している器具を破壊していた。

ダン自身も一体何が起こっているか全く分からなかった。
しかし、自分の体を駆け巡る魔力が普段とは違うことだけ感じた。






隣で地面に頭を擦り付けて泣いていた世話係がダンの方を見ると、

「あ、あ、あなた様の胸元に何か光っています。こ、これは、刻印?」

「ん?本当だ、この印…どこかで見たことがあるような…。」
ダンは解放された両手で胸の辺りにある不思議な模様の刻印を触って確かめた。



弁護席からリリアが駆け出してきた。

「ダンさん!この刻印、おじい様の体に記されていた精霊の刻印と同じだわ!!」

「あ!そうだ!お嬢ちゃんと深緑の谷に行ったときに見た模様だ。チビ、どういうことだ?」

「ダンさんがあなたの主(あるじ)になったということなの?」リリアは精霊に問いかける。


精霊は大きく頷いた。

もう一度両手を上に上げ精霊の力を発動させた。

すると、ダンの周りを囲んでいた植物のツルから祝福の花が満開に咲いた。



「まあ、これが精霊の意志なのね。あなたって子は…。」リリアが優しく笑う。


精霊は自慢するかのように胸を張った。

後ろで見ていたマーガレットははっきりと精霊が見えるが、まさかダンが精霊の主になるとは予想していなかったので驚いている。


「何とまあ。人生生きてりゃ色んなことがあるんだね。
まさかダンが精霊付きになるなんて…。
たまげたよ。」

「僕は精霊は見えないが、ダンさんの胸の刻印は分かる。
実家にあった資料で見たものと同じだ。
そしてあのダンさんを囲んでいる植物たちが精霊の力で現れたのも見える。こんな瞬間に立ち会えるなんて…。」


「くっ。眩しくて見えない…。ん?何だこの植物は?誰が出した?剣はどこに行った?」

司教が目をこすりながら状況を把握しようと辺りをキョロキョロしている。



「裁判長さん。この国の法律知ってるでしょ?

どのような事態であっても精霊付き、すなわち精霊の主は保護され崇められる対象になるんだ。

ダンの処刑はこれで無理になった。あんたの上司もしっかりばっちり今の状況見てるんだよ。」
マーガレットはすかさず司教に説明した。


「な、何だと!?この豚女!勝手な事を言うな!
精霊がこんなチンケな老害を主に選ぶわけがないだろ!
バカもほどほどにしろ!お前もついでに処刑するぞ!

この花は祝福の花じゃないか!?こんな所に隠しおって!これは俺のものだ!誰にも渡さない!」


悪人顔の司教が話せば話すほど醜態を晒している事に本人が一番気づいていない。


「…あの老人が精霊付きになったのは、私も確認した…。
あの愚か者は精霊の存在すら感じられないのか…。もうよい。
これ以上教会の顔に泥を塗るのは困る。あの愚か者を捉えろ。」

特等席にいた大司教が教会側の警備のものに命じると、すぐ悪人顔の司教は捉えられた。

さらに大司教は側近に今回の裁判は教会は関係していなかったことにし、退却する事を表明した。

悪人顔の司教は最後まで汚い言葉でダンやリリアの事をののしっていた。





残されたのは、ケントとゲイブ、ダン側のリリアたちである。
傍聴人はまだこの先を見届けようと誰も退室していない。

ダンは拘束が解かれたのでリリアたち弁護側の席に世話係と一緒に座らせてもらっている。
精霊はダンにべったりだ。世話係は安心してその様子をうっとり見ていた。

リリアが真ん中の答弁席でケントに語りかける。

「お兄様、もうこのような不毛な争いはやめませんか?デリスの事は私も反省しています。
私にもっと力があれば違う形であの子を別の道に導けたかもしれません。
私の力不足でした…。でも、ここで争うのは間違っていると思います。

…お兄様?」

リリアはケントの方を見た。
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