疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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裁判 9

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弁護席に座っていたダンがケントに話しかける。


「なあ、チビの主人になった今の俺だからチビの記憶が分かるんだがよ、
チビ、ああ精霊がな、お前の母親が沼でお前を助けるために精霊に頼んで安全な場所に移したんだ。

その身代わりに腐敗沼に自分が浸かっちまったんだな。

あんたと妹のお嬢ちゃんの器に魔力を注ぐときもチビはいてたようだぜ。なあ、チビ。」

精霊が頷く。


「チビはあんたの母親を主にしてたんだ。主が死んじまったからチビはあえて主を決めずにお前ら二人を見守ろうとしてたんだとよ。」

「う、嘘だ!僕よりもリリアの方が母上の魔力をもらっていた!リリアの方が精霊を貰うのに有利じゃないか!」

「あのなあ。何だよその有利とか貰うとか。チビは物じゃねえんだ。
現に今まで誰も主にしてこなかったじゃねえか。
お前たちがそんなんだからあんたもお嬢ちゃんもチビが見えなくなったんだろ。なあチビ。」

精霊はまた頷いている。

「だって、だって…。そんな…。」ケントは考えがまとまらない。

「お兄様がそのような考えだから精霊が見えなくなりお母様の魔力も発動できなかったのですよ。

そしてわたしたち兄妹の惨状を見て精霊は精霊の谷に帰ってしまったのです。

ダンさんが主になったのはこれまでの生業に悔いて償い続けたから。
亡き人たちに祈りを与え続けたからよ。
…まあ、相性もあるでしょうけど。どちらも天邪鬼なのよ。」

リリアが真剣な顔で最後の説明も加えると、ダンも精霊も天邪鬼のキーワードに引っかかり二人で「え?」という表情でリリアを見た。

「そんなもの、そんなもの…。僕だって、母上が亡くなったから。
魔力でこの地を収めて父上に認めてもらうために努力したんだ。
母のために、父のために、領民のために必死にやってきたんだぞ!」


「…。全部自分のためじゃない。
なら幼いリリアを孤立させて歪な人格にする意味は?
デリスを兵器にしてこの街を襲わせた意味は?
無関係なダンさんを処刑させてまで勝ちとる正義の意味は?

全部自分のためじゃない!」

リリアの目から涙がボロボロ出てくる。

これは皐月の感情だけじゃないリリアの感情も絡み合って溢れかえっている。


リリアの指摘が全て正論で言い当てられたケントは混乱し過ぎて
「あ…、あ…、あ…。」と言葉が何も出てこず思考が停止している。

ケントの父親は息子の様子を見て後悔の涙が頬を伝っていた。

これは父親として子供たちに向き合わなかった自分の責任だ。

息子が必死でもがいていても気づくことさえ出来なかった。

間違いを正してやる機会を一つも与えらなかった自分が悪い。

この兄妹をこのような形で争わせてしまった。

「ケント…。私も同罪だ…。すまない。」ケントの父親は涙でケントの顔が見れない。



そんな中、リリアの注意はケントではなくゲイブに向いた。


「それで、執事のゲイブ。

私がダンさんを唆したとか言ってるけど、あなたこそケントお兄様の弱みを握って支配しているじゃない。

私を潰したところであなたに何のメリットもないわ。

何故かしらね。私の魔力がそんなに欲しいの?」


「ふっふっふっふ。めっそうもございません。
ケント様があまりにもリリア様の受け継がれた魔力に執着しているので、少し手助けをして差し上げたのですよ。
私のような身分の者が大きなことは考えられません。リリア様もお分かりでしょう?」

「そうかしら?お父様の膨大な魔力を血統により受け継ぎ、
お母様からの魔力を注がれ、更に精霊の主人となったケントお兄様を支配できたら国を動かすほどの人材になるでしょうね。」


「そのような支配だなんて。私はそこまで浅ましい男ではございません。」

「マーガレットさんに聞いたけど、あなた元々宮廷に仕えていた貴族の出身だそうで。

今は家系共々身なりを隠して色々なところに潜んでいるとか。」


「レディダークの情報なんか鵜呑みにしてはいけませんよ。あの女は裏稼業で情報を操作する不届きものですから。」

「もう、裏稼業は閉店だ。でも顧客情報は全部頭に入っているよ。
顧客に恨まれた時弱みの情報を手に入れておいて契約を結ぶのさ。」

マーガレットは自分の頭に指をさしながら説明する。


「ちっ。面倒なやつがそっちに着いたな…。さあ、何のことやら。私にはさっぱりです。」
ゲイブは更にシラをきる。


「そうそう、私の友達のロイがね、幼い頃ある貴族にお母様を陥れられた悲しい過去があるの。
ちょうどあなたが幼い時ね。あなたの肉親は宮廷にいたのよね。ロイ、お知り合い?」


傍聴席にいたロイが皆の視線を浴びる。

「ああ、初めて見た時からずっと思っていた。
このゲイブってやつ、俺と母さんの部屋によく訪ねてきた貴族の息子と顔がそっくりだ。

あと、友達じゃなくてリリアの恋人だけどな。」

「え?」ロイ父

「え?」リリア父

「…。」リリア

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