疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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ロイとリリア

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さて、リリアとロイは




「今夜はバスク地区の幹部会だったな。リリア一緒に行こうぜ。」ロイが嬉しそうに誘う。

「ええ。もちろんよ。今日は子供たちの給食のメニューと食材の卸業者の検討をマーガレットさん達としてからは時間が空いているの。だからその後夜までに新しい薬草畑を見学に行こうかと思っているわ。その後にロイと合流ね。」
リリアもロイに微笑む。

「…。せっかく時間が空いたんならゆっくりしろよ。それじゃあ仕事と同じだろ?」

「ふふふ。そうかもしれない。でも、楽しいのよ、すごく。ロイだってここ最近訓練に一層励んでいるじゃない。バスク地区の防衛管理部門に就いてから魔力が格段に上がったって聞いたわ。」


「どこから聞くんだそんな話。ああ、ラジオの執事だな。いや、マーガレットのババアか。リタさん?セリさん?ジルのおっさん?あ、ダンのジジイだな。」

「ぶー。不正解。正解はジャスミンさんでした。」

「えー?シスタージャスミン?あ、もうシスターじゃなくなったのか。」

「マーガレットさんの補佐とセリ先生の部署の補佐を兼務してもらっているの。表情は相変わらず硬いけど、ジャスミンさんがいると学校の子供たちがひっきりなしに近づいて行くのよ。どんな荒れていた子供もジャスミンさんに構って欲しくてちょっかいかけに行く感じ。」

「えー?何で怖い人物にわざわざ近づくんだ?」

「ふふふ。ジャスミンさんは魔力ある無しに関わらず生徒と向き合うでしょ。
表向きは冷たくて怖いけど一つ一つの言葉や関わりに愛情が伝わるの。子供だったらきっとむずむずするでしょうね。そのむずむずの正体を知りたくてまた近づくのよ。そして尊敬し認めてもらいたくなる。そんな人を動かす素晴らしい指導者なのよジャスミンさんは。」

「ふーん。なるほどな。確かにあの人怖いけどいっつも自分以外の心配しているもんな。」

「そうそう。ふふふふ。性分なのね。」

「それより、リリアの方はどうなんだ?前世?だっけ。別の女の人がリリアの中にいるって教えてくれたけど、落ち着いているのか?俺にはわからない感覚だし、気持ちが安定しなかったらリリアもその人も辛いんじゃないか?」

「ロイ、ありがとう。本当に優しいのね。
そうね。前世の皐月は以前より薄れていく感覚なの。全部忘れるわけじゃないんだけど、ちょうどリリアと上手く溶けて融合する様な感じね。感情が高ぶるとどちらの感情が優位になるみたいだけど、滅多にないしそれも私って受け止めているわ。」

「そっか。俺はどんなリリアでも好きだからな。」

「ロイ、何かさらっとそういう事言えるのよね。きっと経験値の違いなんだろうけど。」


リリアが遠い目でロイを見る。
軽蔑でもない不思議な感情だ。

前世で色恋沙汰に全くノータッチ、仕事一筋だったので一応王子様で金髪イケメン、モテモテのロイはリリアからも皐月からもある意味遠い存在だ。恋愛に関しては大先輩ということになるのか。同じ土俵に立とうという気にもならないというのが正直なところ。

「経験値って誰がリリアに何を言ったんだ?」ロイが焦る。

「まあ、色々と。ラジオ様の下で働いている人相のあまり良くないおじさんたちから。」

「あ、あいつらか。有る事無い事言いやがって…。信じられないかもしれないけど、女の子のいる店に行っていたのは本当だ。ただ、客がつかなくてどうしても金銭的に立ち行かない女の子だけだ。その女の子の殆どが子供を一人で育てていたんだ。だから、少しでも負担が減って子供がひもじくならない様にって…。ああ、話せば話すほど作り話に聞こえるな。」

ロイは困った表情をしている。

「私と初めて会った日私を助けてくれたわよね。」

「ああ、懐かしいな。あんな夜の街をリリア一人で歩いていたんだ。そりゃ助けるだろ。」

「普段から人に親切にしていなければ、あんなにすぐ助けてくれないわ。ロイのその話も本当だと思う。他の恋愛に関してはよく分からないけど。」

「そ、そんなこと言うなら俺の方がずっとリリアの前世の男関係気になっているんだぞ。」
ロイが少しムッとした表情で言い返す。

「へ?私の男性関係?」

「前世はそれなりに大人の女だったんだろ?今のリリアを見ていれば分かる。何でも出来て優しくて賢くて、つまり別の世界でも相当モテて恋人ももしかしたらたくさん作っていたんじゃないかって。俺みたいな男リリアに釣り合わないんじゃないかとか、これでもすごく不安なんだぜ。」

「え?そうだったの?知らなかった。あー。でも残念なことに、前世では仕事一筋で恋愛の一つもロクに出来てなかったの。ロイそんなこと心配していたなんて意外だわ。」

「そ、そうなのか?いや、でもリリアは鈍感だからな。気がついていない男の視線も多かった気がする。
ああ、こんな器の小さい男って思われるのを避けたかったから言わなかったけど、結局バレちまったな。」

「ううん。そうやって心の内を教えてもらえるのがすごく嬉しい。」リリアは朗らかに笑った。
その笑顔を見てロイが決心する。

「本当は、リリアの兄弟が回復してから話そうと思ってたんだけど。
俺も色々余裕がなくて。リリアの視界から俺が消えてしまうんじゃないか、他の男に取られるんじゃないかとかモヤモヤしてしまうんだ。」

「ロイ?」

「リタさんにしつこい男は嫌われるとか、セリさんに仕事に情熱を注いでいる時の恋愛は大変とか、ラジオの執事には…。」

「ロイ?ねえ、ロイ?」

「つまり、俺はそんなに器用じゃないしせっかちなんだ!でも、リリアを想う気持ちは誰にも負けない!だから…。

リリア・アルバさん、僕にはあなたしかいません。どうか、あなたの隣にいさせて下さい。一緒に楽しんだり、苦労したり、守ったり、守られたり。これからの人生を共に築き上げる関係になりたいです。」
「僕と、結婚してくれますか?」

ロイがリリアの前で片膝をつきそっと手を差し出す。真っ直ぐリリアを見つめる。

リリアは驚いた表情でロイを見つめ返す。

驚きと嬉しさと感動が頭の中で混在している。

その中に、恋愛と結婚は別物で、ロイのような未来のある男性の相手が私でいいのだろうか?と迷いも生じていおり、どう返して良いのか考える余裕もない。

(ああ、上手く返事が出来ない。ずっと黙っていたら嫌がっているように思われてしまう。違うの。すごく嬉しい。でも…。)リリアがなかなか声が出ずにいると

「私なんかで良いの?他にいい人がいるんじゃないのって思ってるだろ?」片膝つきのポーズのままロイが笑いながらリリアに質問する。

「え?どうしてそれを?」

「ずっとリリアを見てたんだ。リリアの考えそうなことだ。なあ、俺にプロポーズされて嬉しい?嫌だった?どっちかだけ教えて。嫌だった?」

「嫌なわけない!すっごく嬉しかった!」

「なら十分だ。余計なこと考えるのがリリアの悪いところだ。自分の気持ちを大切にしよう。もし俺のことを考えて迷っているのなら俺のためにも結婚してほしい。
リリアの願いは何だ?」

「私?私の願いは…。」

「もちろんロイと一緒にいたいわ。ダンさんやジャスミンさん達とこの地区を発展させるお手伝いをしていきたい。
一番の願いは…。

子供達が安心して暮らせる場所を作りたい。

私は子供達が平等に学べる場所を作りたいの。

偉い立場はいらないわ。子供達の間近で自分の目で見て動いていきたい。

だから…。もしかしてロイからするとこんなパートナーは選ぶんじゃなかったって思うのかなって心配はあるわ。」リリアはシュンとした表情で俯いてしまう。

「はははは。」ロイは笑い飛ばした。

「ロイ?」

「やっぱりそんな事だろうと思った。」

「え?」

「俺でもそんなこと十分分かってる。リリアの優先するのは子供達だろ?知ってるよ。それを含めてリリアと一緒にいさせて欲しいんだ。子供達の支援を邪魔する気はない。むしろ手伝わせて欲しい。そんなリリアが大好きなんだ。」

「何度でも求婚するつもりだ。お願いします。僕と結婚して下さい。」

「ロイ…。ありがとう。ここまで想ってくれる人がいるなんて。こんな私でよかったら、どうぞよろしくお願いいたします。」

リリアはロイの手をとった。

ロイはすぐリリアを抱きしめた。

「やった!リリア!これからは友達じゃない、恋人でもない。夫婦なんだ!大切にする!ずっと一緒だ!」

「ロイったら。」抱きしめられるロイの力が強く、その分リリアも幸せを噛み締めた。

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