俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン

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謝ればいいのよね

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私はアンジェリカ。ずっとこの檻の中に入れられているの。



ねえ、だからいつまでここに居させる気なのよ。

ああ、お母様会いに来てくれないかしら。きっと家の事情で忙しいのでしょうね。


それにしても、証拠があるなんて痛手だわ。

確かにあのメイドにお使いを頼んだのは私。もうばれちゃったら仕方がないわ。

でも、私はあの陰気な女を殺そうとはしていない。

ただの出来心であの女の本性を暴いてやろうと思っただけ。ここまでが私の計画よ。


それとアレクが死にかけたのはまた別の話でしょ。

なによ、みんなで私を悪者にしちゃってさ。


まあ、多少の罪は問われるかもしれないけど大丈夫よね。

いざとなったら反省してますってあの陰気な女とアレクに泣いて謝ればいいのよ。

あの二人なら馬鹿みたいに騙されそうだし情状酌量ってことですぐ解放してもらえるわ。



そうと決まればあの二人に面会を申請しなくちゃ!


私は監視の男に声をかける。

「ちょっと、今から面会の申請をしたいの!アリス=ドルーとアレックス=モーガンの二名よ。
早くしてちょうだい!」


「またこのお嬢さんか。俺もこんな仕事ツイてねえな。キーキーうるせえし。こいつのせいで上司にどやされるし。関わりたくねえんだよな。もっと近衛隊とか華々しい部署に行きてえよ。俺の口が軽いから却下ってそりゃねえよな。」

「ぶつぶつ言ってないで早く申請書もってきなさいよ!」


「ったくうるせえな。何様なんだよ。ああ、その二人なら最近結婚したぞ。女の方はすごい薬を開発した美女ってことで今は時の人だ。まあ、普段は学園にいるから一般人との接触はほとんどないけどな。」


「は?あの二人が結婚?陰気女が薬の開発で美女?意味わかんない。私が捕らえられている間に…。」

アレクを婚約者のターゲットから外そうと思っていたけど、結婚したと聞いたらやっぱりショックだった。
しかも陰気女が相手ときた。

「ああ、そうだった。この二人の面会は受け入れられねえんだってさ。それと、お嬢さんのこれからの処遇だけどな、裁判はせずにマリーナ様が采配するそうだぞ。これは喋って良いって言われた内容だ。」


「マリーナ様?あの侯爵令嬢の?」


「ああ、綺麗なお方だよな。お淑やかで、誰に対しても優しくて。俺この前仕事終わりに偶然見かけたら俺みたいな下級騎士に『おつかれさま。お仕事頑張っておられますね。』って言ってくれたんだぜ。

美しい人は心まで美しいんだな。まるで女神のようだ。お嬢さんはちょっと違うけどな。」


「うるさいわね!でも、マリーナ様ならお優しいから私に寛大な処遇を出してくださるわね。
ああ、運が回って来たかも。」

「そういえば、マリーナ様は侯爵家令嬢だが第一王子と婚約したから未来の王妃様ってことになるな。」

「え!?マリーナ様が王妃様?ってことは、マリーナ様と仲良くすれば王族との縁もゲットってことよね。うわあ!最高じゃない!あの美しくてお優しいマリーナ様なら絶対仲良くなれるわ。」

「何か一人で喋って気持ち悪いな。もう無視しておこう。」監視は小さな窓の外を眺めた。


よしよし。完全に私の運が向いてきたわ。

実はもしかして処刑されるんじゃないか、奴隷島送りになるんじゃないかってヒヤヒヤしていたのよね。

この流れなら大丈夫そう。うふふふ。もしかしたら私未来の王妃様の侍女とかになっちゃうんじゃないの?

うんうん、ありえる。そういうことならアンジェリカ頑張る!

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