103 / 168
第110話
しおりを挟む
それから一時間後。
コンコンー
「はい」
「俺だけど、入って大丈夫かな?」
「どうぞ」
私はしっかりと準備をして、マルクス様を招き入れる。
部屋にはいってテーブルの上を見たマルクス様は
「えっ!?これ・・・」
と驚いた。
「日本の事を話すのですよね。
でしたらやっぱり、お供は日本もどきにしたいな・・・と、思いまして」
「もどき?」
「はい。
うどんの時にも言いましたが、材料が違いますので、味が
近いものになりますから」
「あっ、そっか。そうだった。いや、ごめん」
マルクス様は、目の前に広がる乾物に興味津々。
「やっぱり、おつまみは気になりますか?」
「あー・・・年取ってきたら、日本酒にはまってね。
居酒屋で頼んだり、コンビニで買ったりしたからなぁ」
「コンビニ・・・懐かしいですね」
「うん。あれほど、便利なものはなかった」
なんか、懐かしそうにいうマルクス様が気になり、取って置きを準備する。
「マルクス様。何故おつまみが、たくさんあると思います?」
「えっ?まさか・・・」
「そのまさかです。日本酒もどき、作っておきました」
ドンっと透明で、おっきな瓶を置き
「一升瓶をイメージして、作ってみました。
内容量は、一升かどうか分かりませんが・・・」
「プッ、ハハハッ・・・威勢がいいな」
私は徳利を準備し、一升瓶から徳利に中身を移す。
「お冷やのままいきますか?それとも、熱燗?」
「今の時期は、お冷やかな?」
「では、冷やしますね」
そういうと、もくもくと煙の沸く入れ物に、徳利を浸けた。
「それってまさか、ドライアイス?」
マルクス様の言葉に、うなずく私。
「たまたまだったんです。
私がつい喋ってしまったことを、冷たいものが食べたかったお姉さまが
研究し始めてしまって・・・」
「見つけたと?」
「はい・・・」
ただ、その後の落ちがあって・・・
「その時は、お姉さまが見つけたと思っていたのですが、後日
他の方がもっと前に見つけていて、冷凍庫などに使われていることが
分かったのです」
「あぁ、冷蔵庫は冷気だけだけど、冷凍庫は庫内全体がそれで作られてる」
しかも、こちらのドライアイスは消えないのだ。
「それですね。でもやっぱり」
「消えないことが、すごいね」
私とマルクス様は、そう言って笑った。
私たち日本人としての認識と、この国の認識、それが全く違う。
まぁ、私達も日本人ではなく、日本人だった記憶を持っている、この国の人間だ
そして私とマルクス様は、お冷やとつまみをお夜食にして、懐かしい話をしまくった。
日本の、西暦2000年の事を軸にして、前後二年くらいの話を・・・
そしてやっぱり、53年生きていたマルクス様の、知識はすごくて、色々為になった。
それから、私の知らない調味料の作り方や、料理も知っていたので、その辺を詳しく教えてもらいながら、私とマルクス様はそのまま、眠りについた・・・
コンコンー
「はい」
「俺だけど、入って大丈夫かな?」
「どうぞ」
私はしっかりと準備をして、マルクス様を招き入れる。
部屋にはいってテーブルの上を見たマルクス様は
「えっ!?これ・・・」
と驚いた。
「日本の事を話すのですよね。
でしたらやっぱり、お供は日本もどきにしたいな・・・と、思いまして」
「もどき?」
「はい。
うどんの時にも言いましたが、材料が違いますので、味が
近いものになりますから」
「あっ、そっか。そうだった。いや、ごめん」
マルクス様は、目の前に広がる乾物に興味津々。
「やっぱり、おつまみは気になりますか?」
「あー・・・年取ってきたら、日本酒にはまってね。
居酒屋で頼んだり、コンビニで買ったりしたからなぁ」
「コンビニ・・・懐かしいですね」
「うん。あれほど、便利なものはなかった」
なんか、懐かしそうにいうマルクス様が気になり、取って置きを準備する。
「マルクス様。何故おつまみが、たくさんあると思います?」
「えっ?まさか・・・」
「そのまさかです。日本酒もどき、作っておきました」
ドンっと透明で、おっきな瓶を置き
「一升瓶をイメージして、作ってみました。
内容量は、一升かどうか分かりませんが・・・」
「プッ、ハハハッ・・・威勢がいいな」
私は徳利を準備し、一升瓶から徳利に中身を移す。
「お冷やのままいきますか?それとも、熱燗?」
「今の時期は、お冷やかな?」
「では、冷やしますね」
そういうと、もくもくと煙の沸く入れ物に、徳利を浸けた。
「それってまさか、ドライアイス?」
マルクス様の言葉に、うなずく私。
「たまたまだったんです。
私がつい喋ってしまったことを、冷たいものが食べたかったお姉さまが
研究し始めてしまって・・・」
「見つけたと?」
「はい・・・」
ただ、その後の落ちがあって・・・
「その時は、お姉さまが見つけたと思っていたのですが、後日
他の方がもっと前に見つけていて、冷凍庫などに使われていることが
分かったのです」
「あぁ、冷蔵庫は冷気だけだけど、冷凍庫は庫内全体がそれで作られてる」
しかも、こちらのドライアイスは消えないのだ。
「それですね。でもやっぱり」
「消えないことが、すごいね」
私とマルクス様は、そう言って笑った。
私たち日本人としての認識と、この国の認識、それが全く違う。
まぁ、私達も日本人ではなく、日本人だった記憶を持っている、この国の人間だ
そして私とマルクス様は、お冷やとつまみをお夜食にして、懐かしい話をしまくった。
日本の、西暦2000年の事を軸にして、前後二年くらいの話を・・・
そしてやっぱり、53年生きていたマルクス様の、知識はすごくて、色々為になった。
それから、私の知らない調味料の作り方や、料理も知っていたので、その辺を詳しく教えてもらいながら、私とマルクス様はそのまま、眠りについた・・・
19
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる