私の存在

戒月冷音

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第100話

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お庭のガゼボでお茶を楽しむ間、生地を冷暗所にいれ休ませていた。
私達が作ったものと、料理長が作ったもの。
今回は、その二つを試しに作成した。

うどんは多分、一番手軽に作れるものだと思う。
中力粉に、塩を混ぜた水をいれて混ぜ、纏まってきたら少し捏ねる。
その後、足で踏んでこしをだし、弾力のある麺にする。

私とマルクス様は、うどんを国王陛下に食べてもらうため、ヘンドリック様とマルガ様を巻き込んで、うどんを作っていた。
「どうでしたか?母上」
「はじめて、生地というものを作りましたが、
 料理というのは、色々な作業があるのですね」
「はい。ただ切って焼く・・・だけではないのです。
 ですがそれを、俺はミシェルに教えてもらいました」
「まぁ、そうなの?」
「はい。彼女は俺より、たくさんの事を知っていて、俺のほしいものを
 作ってくれるのです」
「では、この・・・うどん、と言うものも、ミシェル様が?」
マルクス様は、自分に出来ないことを、私が教えたと言いたいと思うのだが、なぜかスケールが大きくなるようだ。

「あの、マルガ様。
 うどんは、マルクス様が少し前に、料理長に提案していたものです。
 ですが、材料が特定できず、作るのを断念したのですが、たまたま私が
 それを知っていたので、お教えしたのです。
 間違っても、私がうどんを教えたとは記憶しないでください。
 もとは、マルクス様です」
そういった瞬間、マルガ様とヘンドリック様が笑った。
「ふふふっ、やっぱり、マルクスの選んだ方ね」
「そうですね、マルガ様。彼女は絶対に、自分を出すことをしませんね」
お二人はそういって、私のそばに来ると、マルガ様はキュッと抱き締めてくださり、ヘンドリック様は、頭をなでなでしたくださる。

「あ、あのぉ・・・」
「母上、兄上。ミシェルを独占しないでください。彼女は、俺の婚約者ですよ」
「いやぁ、義妹と言うのは、こんなに可愛いものなのかな?」
はい?
「私も、そう思うわ。お嫁さんって、こんなに可愛かったかしら?」
マルガ様とヘンドリック様の言葉を理解している間に、生地を寝かせるのに十分な時間がたったので、とりあえず生地を伸ばそうと言うことになった。
その間ヘンドリック様は、カサンドラ様を呼んでくるといって、コーラル公爵邸に走り、マルガ様が国王陛下を呼びに行かれた。


「準備が、出来たのか?」
そういって顔を出された国王陛下は、マルクス様が生地を伸ばしているのを見て?を飛ばす。
「陛下、陛下がお召し上がりになられる生地は、私とマルクスと
 ヘンドリック様がお作りしました」
そうマルガ様が言うと陛下は
「はぁ?」
と言って理解不能のよう。
「いま、俺が伸ばしている生地を、父上に切っていただきたいのですが・・・」
マルガ様とマルクス様の言葉に、少し混乱している国王陛下。

「国王陛下に進言いたします。
 マルクス様の伸ばされている生地を、隣で切っておられる料理長のように
 国王陛下に切っていただきたいのです。
 切っていただいたものを、あちらの大釜で茹でれば、うどんになります」
国王陛下がこられる前に、料理長の生地を私が伸ばし、国王陛下がこられた時点で、切る作業にはいってもらっていた。
その方が、説明しやすいと思ったからだ。
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