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44話
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「クラリサ嬢。そなたは、自身が何を言っているかわかっているか。自身が嘘をついているのにも拘らず、メルティ嬢を嘘つき呼ばわりにしたのだぞ」
陛下にそう言われたクラリサは、えっと言う顔つきをする。
今まで、両親に自分が正しいと言われ育った。聖女の件もメルティが予言をして自分が聖女として、人前に立つ。
そうする事になったのに、メルティが言おうとするから止めただけだった。
クラリサが、イヒニオを見る。私は、正しい事をしたのだよねと。
「クラリサ嬢。あなた、今でも自分が正しいと思っているのね」
ラボランジュ公爵夫人にそう言われ、クラリサが初めて何とも言えない表情をした。
「み、認めよう。クラリサを我がままに育ててしまった。自信を付けさせる為に、褒める教育をしていた。今回も、聖女になれると褒めてしまった。申し訳ありませんでした。クラリサは悪くありません。どうか、これ以上クラリサを責めないでやってほしい」
イヒニオは、陛下にそう言って頭を下げる。
「私も娘が可愛くて、甘やかしてしまいました。悪いのは私達です」
ファニタもそう言って頭を下げた。
「お父様、お母様……」
クラリサは俯く。自分の行動が正しくなかったのだとやっとわかったのだ。
「わかった。彼女に聞く事はやめよう。その代わり、邪魔をしないよう彼女をだまらせて置くように。クラリサ嬢、あなたも口を挟まない様に」
「……はい」
「わかりました。ご配慮ありがとうございます」
クラリサは俯き答え、イヒニオは深々と頭を下げる。陛下は、これ以上クラリサに問うのをやめた。
クラリサを庇った様に見えたが、実のところクラリサに質問をされて、彼女が暴露しないようにする為だ。
ラボランジュ公爵夫人が言った様に、悪いと思っていなければ色々話してしまうだろう。それに、12年前の契約の事を知らないのだから、契約違反だと言われる様な事も口にするかもしれない。
だからクラリサを黙らせたのだ。
「さて、クラリサ嬢は我がままに育ったようだが、メルティ嬢は違う様に思う。そこで、教育に関してわかる者を証言者として呼んである」
陛下の言葉に、イヒニオはギョッとする。誰だかわかったからだ。
「証言者を」
「っは」
「失礼したしますわ」
皆が知っている人物が入って来た。
「名を述べよ」
「はい。私は、ミリィ・リンアールペと申します」
「メルティ嬢との関係は」
「メルティ嬢の教師を務めさせて頂きました」
「メルティ嬢。彼女から習った事に間違いないか」
「はい。間違いございません」
リンアールペ侯爵夫人が現れた事により、クラリサが怒りを宿した瞳で彼女を見る。
クラリサにとって、リンアールペ侯爵夫人から教育を受けるに値しないと言われた事は、唯一メルティに負ける事になった汚点だった。
自分の方が勝っていると思っているクラリサにすれば、納得がいかない事だったのだ。
「さて、メルティ嬢の教育状況と彼女の能力について実直な意見を聞きたい」
「はい。彼女は素直な子で、教えた事をすぐに吸収し、遅れていた分をすぐに取り戻しました」
「遅れていたとは? 教師はついて教育は受けていたようだが」
陛下の問いに、教育は受けていたようだと頷く。
「教育は受けていたようですが、最低限のようでした」
「当主としての教育は施されていたと思われるか」
「いいえ。特に自尊心が足りないと感じました。また人と接する機会が少なったのだと感じました。ですが今は、私の指導により、当主になる地盤は出来たと自信を持って言えます」
凛として立つリンアールペ侯爵夫人は、自信満々だ。
(ありがとうございます。感謝しかないわ。後でもう一度、お礼を言いましょう)
彼女がいなければ、デビュタントを成功させられなかっただろう。厳しかったが楽しい日々だった。できれば、まだまだ色々と教わりたいと思ってもいる。
「リンアールペ侯爵夫人はこう言っているが、レドゼンツ伯爵はどう思っていたのだ?」
「ど、どうと申されましても……」
「契約では、当主になる為の教育を受けさせる事になっていた。足りていると思っていたのかと聞いているのだ」
足りているはずがない。メルティを当主にする気などなく、クラリサを当主にするつもりだったのだから。だがこれに関しては、手を打ってあった。
「私としましては、二人共同じ教師についてもらい、分け隔てなく教育を施しました。手は抜いておりません」
そう答えると、陛下はうむと頷く。
足りているかどうかの問いには答えていないが、契約違反はしていないと回答したのだ。足りないのなら、メルティの問題だと。
嘘を答えていない事は、アールの報告書を見ているのでわかっていた。
ただ彼女達が受けた教育は、一年間と短い。男爵家で当主にならない者ならあり得るが、普通ではあり得ない短さだ。
「確かにそのようだ。しかし、一年で通常より教育期間が短いようだが」
「人それぞれでしょう。クラリサは、それで事足りています。彼女もそうだと思っておりました」
イヒニオは、義務は果たしたと返した。
つまり、文句を言われる筋合いはないという事だ。契約ではそうなっているのだから。
陛下にそう言われたクラリサは、えっと言う顔つきをする。
今まで、両親に自分が正しいと言われ育った。聖女の件もメルティが予言をして自分が聖女として、人前に立つ。
そうする事になったのに、メルティが言おうとするから止めただけだった。
クラリサが、イヒニオを見る。私は、正しい事をしたのだよねと。
「クラリサ嬢。あなた、今でも自分が正しいと思っているのね」
ラボランジュ公爵夫人にそう言われ、クラリサが初めて何とも言えない表情をした。
「み、認めよう。クラリサを我がままに育ててしまった。自信を付けさせる為に、褒める教育をしていた。今回も、聖女になれると褒めてしまった。申し訳ありませんでした。クラリサは悪くありません。どうか、これ以上クラリサを責めないでやってほしい」
イヒニオは、陛下にそう言って頭を下げる。
「私も娘が可愛くて、甘やかしてしまいました。悪いのは私達です」
ファニタもそう言って頭を下げた。
「お父様、お母様……」
クラリサは俯く。自分の行動が正しくなかったのだとやっとわかったのだ。
「わかった。彼女に聞く事はやめよう。その代わり、邪魔をしないよう彼女をだまらせて置くように。クラリサ嬢、あなたも口を挟まない様に」
「……はい」
「わかりました。ご配慮ありがとうございます」
クラリサは俯き答え、イヒニオは深々と頭を下げる。陛下は、これ以上クラリサに問うのをやめた。
クラリサを庇った様に見えたが、実のところクラリサに質問をされて、彼女が暴露しないようにする為だ。
ラボランジュ公爵夫人が言った様に、悪いと思っていなければ色々話してしまうだろう。それに、12年前の契約の事を知らないのだから、契約違反だと言われる様な事も口にするかもしれない。
だからクラリサを黙らせたのだ。
「さて、クラリサ嬢は我がままに育ったようだが、メルティ嬢は違う様に思う。そこで、教育に関してわかる者を証言者として呼んである」
陛下の言葉に、イヒニオはギョッとする。誰だかわかったからだ。
「証言者を」
「っは」
「失礼したしますわ」
皆が知っている人物が入って来た。
「名を述べよ」
「はい。私は、ミリィ・リンアールペと申します」
「メルティ嬢との関係は」
「メルティ嬢の教師を務めさせて頂きました」
「メルティ嬢。彼女から習った事に間違いないか」
「はい。間違いございません」
リンアールペ侯爵夫人が現れた事により、クラリサが怒りを宿した瞳で彼女を見る。
クラリサにとって、リンアールペ侯爵夫人から教育を受けるに値しないと言われた事は、唯一メルティに負ける事になった汚点だった。
自分の方が勝っていると思っているクラリサにすれば、納得がいかない事だったのだ。
「さて、メルティ嬢の教育状況と彼女の能力について実直な意見を聞きたい」
「はい。彼女は素直な子で、教えた事をすぐに吸収し、遅れていた分をすぐに取り戻しました」
「遅れていたとは? 教師はついて教育は受けていたようだが」
陛下の問いに、教育は受けていたようだと頷く。
「教育は受けていたようですが、最低限のようでした」
「当主としての教育は施されていたと思われるか」
「いいえ。特に自尊心が足りないと感じました。また人と接する機会が少なったのだと感じました。ですが今は、私の指導により、当主になる地盤は出来たと自信を持って言えます」
凛として立つリンアールペ侯爵夫人は、自信満々だ。
(ありがとうございます。感謝しかないわ。後でもう一度、お礼を言いましょう)
彼女がいなければ、デビュタントを成功させられなかっただろう。厳しかったが楽しい日々だった。できれば、まだまだ色々と教わりたいと思ってもいる。
「リンアールペ侯爵夫人はこう言っているが、レドゼンツ伯爵はどう思っていたのだ?」
「ど、どうと申されましても……」
「契約では、当主になる為の教育を受けさせる事になっていた。足りていると思っていたのかと聞いているのだ」
足りているはずがない。メルティを当主にする気などなく、クラリサを当主にするつもりだったのだから。だがこれに関しては、手を打ってあった。
「私としましては、二人共同じ教師についてもらい、分け隔てなく教育を施しました。手は抜いておりません」
そう答えると、陛下はうむと頷く。
足りているかどうかの問いには答えていないが、契約違反はしていないと回答したのだ。足りないのなら、メルティの問題だと。
嘘を答えていない事は、アールの報告書を見ているのでわかっていた。
ただ彼女達が受けた教育は、一年間と短い。男爵家で当主にならない者ならあり得るが、普通ではあり得ない短さだ。
「確かにそのようだ。しかし、一年で通常より教育期間が短いようだが」
「人それぞれでしょう。クラリサは、それで事足りています。彼女もそうだと思っておりました」
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つまり、文句を言われる筋合いはないという事だ。契約ではそうなっているのだから。
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