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49話
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そよ風が心地よく首筋を撫でて行く。
夜会ではないので、テラスから見える風景は遠くまで良く見えるが、そこには湖がある樹林が広がっていた。
(あぁ、そう言えばあの場所で初めてルイス様にお会いしたのだったわね)
「ちょっと宜しいかしら?」
懐かしんで見つめていたメルティに、令嬢から声が掛かる。振り向いたメルティは、ハッとする。
水色の髪に瞳の令嬢と、ピンクの髪に瞳の令嬢が立っていた。水色の令嬢は瞳が吊り上がっていてキツメの印象だが、ピンク色の令嬢の瞳は、クリっとしていて可愛らしい印象だ。
二人は、メルティよりやや年上に見えた。
「婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます」
二人にそう言われ、警戒しつつも礼を言う。
「ところであなた、リンアールペ侯爵夫人の教育を受けたそうね」
「はい。そうです」
「リンアールペ侯爵夫人を通して、ラボランジュ公爵家と仲良くなってルイス殿下に近づくなど、考えたモノだわ」
水色の髪の令嬢にそう言われ、驚きの表情をすれば、二人はやっぱりと呟く。
「王城に通い詰めたとか聞きましたけど」
「あら、聖女だと偽ったのではなかったかしら? 嘘だとバレて一旦発表式が延期になったと聞きましたわ」
にやにやしながら二人がメルティに一歩近づいた。
「何が言いたいのです?」
「なぜ、犯罪者の子がルイス殿下と婚約できるのよ!」
「え……」
水色の令嬢が叫ぶ。
(犯罪者……)
きっと、イヒニオ達が両親だと彼女達は思っているのだろうとメルティは推測するも、彼女が言った言葉が衝撃的で思考が止まってしまった。
親ではないが親族なのだ。彼女達が言う様に、このまま婚約していいのだろうかと、頭をよぎる。
「だいたい、あなたまだ一度も交流会に来ていないのに、どうして婚約するのよ!」
ピンクの髪の令嬢が、可愛い顔を怖い形相にして叫んだ。
「え? 交流会?」
「まあ伯爵家の令嬢なのに知らないふり? 白々しい」
「………」
メルティは、本当に知らなかった。
この国では、王位を継ぐ王子や王女でなければ、一応自由恋愛なのだ。
ただし、デビュタントを迎えた令嬢で王家が主催する交流会に招待された者からとなる。
伯爵家以上なら周知の事実だ。なぜなら招待されるのは、伯爵家以上の令嬢だからだ。
クラリサは、招待されていなかった為、彼女からそういう話は聞かされていない。彼女は、レドゼンツ伯爵家の娘と言う事になってはいるが、一時的な為、伯爵家の令嬢にカウントされていなかったのだ。
イヒニオは、この交流会の事を知っていたが、異議を申す事はできなかった。本来は、イヒニオだけがレドゼンツ伯爵を名乗る事になっていたのだ。それをメルティの病状を盾に、家族三人にさせた。なので、クラリサには言っていない。言えば、行きたいと駄々をこねるのが目に見えていたからだ。
この交流会の招待が一度も来る事なく、婚約が決まってしまった。ルイスがメルティと婚約すると決まってからは、交流会が開かれていないからだ。
なので、初耳だった。
「犯罪者のクセに。その首飾りもリンアールペ侯爵夫人に取り入って、貰ったのでしょう? デビュタントの時に着けていたわよね」
(あのデビュタントに招待されていた令嬢なのね)
ハッとしてメルティは、アクアマリンの首飾りを握りしめた。そして、反対側の手でピンクの髪の令嬢が伸ばしてきた手を叩いて弾いた。
メルティは、予言で二人を見ている。ピンクの髪の令嬢が自分に手を伸ばし、アクアマリンの首飾りを引きちぎろうとしている場面だ。
なので咄嗟に、アクアマリンの首飾りを掴んで阻止したのだ。その上で、払いのけた。
「これは、形見です。リンアールペ侯爵夫人に頂いた物ではありません。何か誤解されているようですが、私の両親はすでに亡くなっています」
「あら、だったら育ての親が犯罪者?」
クスリと笑うピンクの髪の令嬢は、何となくクラリサに似ている。人を馬鹿にしたような笑い方だ。
「そうね……」
「まあ、ルイス殿下はそれを知らないでいらっしゃるのかしら?」
知らないわけがない。
少なくとも婚約をするのなら、素性を調査するだろう。そんな事は、二人の令嬢もわかっていた。
だが納得がいかないのだ。
ひょいと現れ、ルイスの隣に立つ彼女が。一人独占でリンアールペ侯爵邸でデビュタントした事も気に入らない。
そう彼女達は、メルティがあの時ルイスと踊ったのを知っている。
メルティが、特別扱いされているのが気に入らないのだ。
なんとか、引き釣り下ろしたい。
バチン!
突然、ピンクの髪の令嬢が水色の髪の令嬢の頬を叩いた。叩かれた令嬢は、左頬に手をあて座り込む。
そして……。
「きゃぁ、誰か! 誰か来て!」
ピンクの髪の令嬢が、自分の髪を引っ張りながらそう叫んだのだった。
メルティは、何が起こっているのかわからず、ただ立ちすくむ。そこに警備兵と近くに居た貴族がテラスへと入って来た。
「何がありました?」
「彼女が、私の髪を引っ張ったからリリアン嬢が止めに入ったらリリアン嬢の頬を彼女がぶったのよ!」
ピンクの髪の令嬢が、メルティを指さし信じられない事を言い出した。
その話を聞いた者が、メルティを非難した瞳で見つめる。
メルティはどうしたらいいかわからず、アクアマリンの首飾りをギュッと握りしめる事しかできなかった。
夜会ではないので、テラスから見える風景は遠くまで良く見えるが、そこには湖がある樹林が広がっていた。
(あぁ、そう言えばあの場所で初めてルイス様にお会いしたのだったわね)
「ちょっと宜しいかしら?」
懐かしんで見つめていたメルティに、令嬢から声が掛かる。振り向いたメルティは、ハッとする。
水色の髪に瞳の令嬢と、ピンクの髪に瞳の令嬢が立っていた。水色の令嬢は瞳が吊り上がっていてキツメの印象だが、ピンク色の令嬢の瞳は、クリっとしていて可愛らしい印象だ。
二人は、メルティよりやや年上に見えた。
「婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます」
二人にそう言われ、警戒しつつも礼を言う。
「ところであなた、リンアールペ侯爵夫人の教育を受けたそうね」
「はい。そうです」
「リンアールペ侯爵夫人を通して、ラボランジュ公爵家と仲良くなってルイス殿下に近づくなど、考えたモノだわ」
水色の髪の令嬢にそう言われ、驚きの表情をすれば、二人はやっぱりと呟く。
「王城に通い詰めたとか聞きましたけど」
「あら、聖女だと偽ったのではなかったかしら? 嘘だとバレて一旦発表式が延期になったと聞きましたわ」
にやにやしながら二人がメルティに一歩近づいた。
「何が言いたいのです?」
「なぜ、犯罪者の子がルイス殿下と婚約できるのよ!」
「え……」
水色の令嬢が叫ぶ。
(犯罪者……)
きっと、イヒニオ達が両親だと彼女達は思っているのだろうとメルティは推測するも、彼女が言った言葉が衝撃的で思考が止まってしまった。
親ではないが親族なのだ。彼女達が言う様に、このまま婚約していいのだろうかと、頭をよぎる。
「だいたい、あなたまだ一度も交流会に来ていないのに、どうして婚約するのよ!」
ピンクの髪の令嬢が、可愛い顔を怖い形相にして叫んだ。
「え? 交流会?」
「まあ伯爵家の令嬢なのに知らないふり? 白々しい」
「………」
メルティは、本当に知らなかった。
この国では、王位を継ぐ王子や王女でなければ、一応自由恋愛なのだ。
ただし、デビュタントを迎えた令嬢で王家が主催する交流会に招待された者からとなる。
伯爵家以上なら周知の事実だ。なぜなら招待されるのは、伯爵家以上の令嬢だからだ。
クラリサは、招待されていなかった為、彼女からそういう話は聞かされていない。彼女は、レドゼンツ伯爵家の娘と言う事になってはいるが、一時的な為、伯爵家の令嬢にカウントされていなかったのだ。
イヒニオは、この交流会の事を知っていたが、異議を申す事はできなかった。本来は、イヒニオだけがレドゼンツ伯爵を名乗る事になっていたのだ。それをメルティの病状を盾に、家族三人にさせた。なので、クラリサには言っていない。言えば、行きたいと駄々をこねるのが目に見えていたからだ。
この交流会の招待が一度も来る事なく、婚約が決まってしまった。ルイスがメルティと婚約すると決まってからは、交流会が開かれていないからだ。
なので、初耳だった。
「犯罪者のクセに。その首飾りもリンアールペ侯爵夫人に取り入って、貰ったのでしょう? デビュタントの時に着けていたわよね」
(あのデビュタントに招待されていた令嬢なのね)
ハッとしてメルティは、アクアマリンの首飾りを握りしめた。そして、反対側の手でピンクの髪の令嬢が伸ばしてきた手を叩いて弾いた。
メルティは、予言で二人を見ている。ピンクの髪の令嬢が自分に手を伸ばし、アクアマリンの首飾りを引きちぎろうとしている場面だ。
なので咄嗟に、アクアマリンの首飾りを掴んで阻止したのだ。その上で、払いのけた。
「これは、形見です。リンアールペ侯爵夫人に頂いた物ではありません。何か誤解されているようですが、私の両親はすでに亡くなっています」
「あら、だったら育ての親が犯罪者?」
クスリと笑うピンクの髪の令嬢は、何となくクラリサに似ている。人を馬鹿にしたような笑い方だ。
「そうね……」
「まあ、ルイス殿下はそれを知らないでいらっしゃるのかしら?」
知らないわけがない。
少なくとも婚約をするのなら、素性を調査するだろう。そんな事は、二人の令嬢もわかっていた。
だが納得がいかないのだ。
ひょいと現れ、ルイスの隣に立つ彼女が。一人独占でリンアールペ侯爵邸でデビュタントした事も気に入らない。
そう彼女達は、メルティがあの時ルイスと踊ったのを知っている。
メルティが、特別扱いされているのが気に入らないのだ。
なんとか、引き釣り下ろしたい。
バチン!
突然、ピンクの髪の令嬢が水色の髪の令嬢の頬を叩いた。叩かれた令嬢は、左頬に手をあて座り込む。
そして……。
「きゃぁ、誰か! 誰か来て!」
ピンクの髪の令嬢が、自分の髪を引っ張りながらそう叫んだのだった。
メルティは、何が起こっているのかわからず、ただ立ちすくむ。そこに警備兵と近くに居た貴族がテラスへと入って来た。
「何がありました?」
「彼女が、私の髪を引っ張ったからリリアン嬢が止めに入ったらリリアン嬢の頬を彼女がぶったのよ!」
ピンクの髪の令嬢が、メルティを指さし信じられない事を言い出した。
その話を聞いた者が、メルティを非難した瞳で見つめる。
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