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50話
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「まあ、リリアン」
リリアンの母親が彼女の横に来て屈み、キッとメルティを睨みつけた。
「噂通りね! 私知っておりますわよ、あなたの正体! リンアールペ侯爵夫人に教育を施してもらいながらも他の教育を受けていた事を。彼女の授業についていく為に受けていたのでしょう? 覚えは悪いし、暴言を吐くはで大変だったとか。裏表を使い分けるのがお上手の様ね」
「上手でしたら、ここで引っ叩いたりしないと思いますが」
余計な事を言って話に割って入って来たのは誰だと、リリアンの母親が振り向けば、冷ややかの瞳をその母親に向けているリンアールペ侯爵夫人が立っていた。
「彼女について、色んな噂が飛び交っているのは知っておりますが、ここで一つ事実をお伝えしましょう。私に習っていたのは、目の前にいるメルティ嬢ですが、他の教育者から習っていた令嬢は別の方ですわ」
「まあ、でしたら、彼女を語る偽物だとでもおっしゃるのですか?」
リンアールペ侯爵夫人に強気に出るリリアンの母親。なにせ、直接教えた本人に聞いたのだ。なのでリンアールペ侯爵夫人が言う事が本当なら、そうでなければあり得ない。
「その通りよ」
「え……」
だが肯定され、驚きの顔でリンアールペ侯爵夫人を見上げる。他の者もまさかと言う顔つきだ。
教えていた教育者が騙されていたというのだから。
「噂を聞いているでしょう。彼女の叔父の娘。つまり従兄弟がレドゼンツ伯爵家の娘として教育を受けていた。教えている方も彼女がレドゼンツ伯爵家の娘だと思っていたそうよ」
「では、彼女自身が言ったように、犯罪者の親族よね?」
ピンクの髪の令嬢が嬉々として述べる。
「そうなるかしらね。でも、メルティ嬢も被害者なのよ。彼らは、レドゼンツ伯爵家を乗っ取ろうとしたの」
スーッとリンアールペ侯爵夫人の後ろから現れたラボランジュ公爵夫人が答えた。
「それに、それを暴いたのは私達だけどね」
更に隣に並んだルイスがそう述べれば、二人の令嬢と母親は顔面蒼白になる。
「あまり、犯罪者、犯罪者と言わない方がいいと思うよ。私の婚約者を貶めようとした行為は、犯罪になると思わないかい?」
「っひ。し、失礼いたしました。しかし、彼女は王家の者と婚姻するのですから犯罪者が親族――」
「あらだったら私もそうなるわね」
「え?」
リリアンの母親が、そう述べたラボランジュ公爵夫人を驚いた顔つきで見つめる。
「あなた達は、リンアールペ侯爵夫人の伝手で私が彼女と知り合ったと思っているようだけど、違うわよ。私が彼女にリンアールペ侯爵夫人を引き合わせたのよ」
「はい!?」
つい驚いてリリアンの母親が驚きの声を上げた。
「メルティと私は、遠い親戚なの。だから犯罪者の彼らとは血の繋がりはないけど、親戚になるのよね。王弟を夫に持つ私はどうしたらいいのかしら? ねえ、ルイス殿下」
「母上。彼女達、失神寸前のようですので、その辺で勘弁してあげて下さい。バカな事をしたと、ずっと後悔する事でしょうから」
マクシムの言葉にハッとしたリリアンの母親が、振り返りやじ馬達を見てギョッとする。ほぼ会場内の全員が注目していたのだ。
彼女達は、ルイスの婚約者であるメルティに因縁をつけ、犯罪者だと罵った。
しかもメルティは、ラボランジュ公爵夫人の親族だと言う。王族を敵に回したのも同じだ。
「メルティ、大丈夫? 風に当たりたいっていうから一人にしたけど、私が傍に居ればよかったわね。辛い目に遭ったばかりなのに、犯罪者呼ばわりだなんて」
ワザとらしくそう言ってラボランジュ公爵夫人が、メルティに近づいた。
メルティは、困惑した様子で頷くだけだ。
「め、滅相もございません。私達の勘違いでした。本当に申し訳ありませんでした。どうか、お許し下さい」
リリアンの母親が深々と謝れば、二人の令嬢も頭を下げる。三人は青ざめ、フルフルと震えていた。
逃げ出したいが、今更逃げ出しても遅いのだ。
ラボランジュ公爵夫人やリンアールペ侯爵夫人は、こんな事もあるだろうと警戒をしていたが、まさかこの会場内で仕掛けてくるバカがいるとは思わなかったが、自分達がいる会場でよかったと逆に安堵する。
メルティが彼女達を負かす事は難しいだろう。メルティは、こういう場は慣れておらず、きっとここまでされるとは思っていないはずだからだ。
自分達が盾になる事で彼女を守れる。
今日の事はまた、噂となって駆け巡るだろう。バックには、ラボランジュ公爵夫人とリンアールペ侯爵夫人がついている。そうなれば、メルティを敵に回そうと考える輩は早々いるまい。
それに、一番強い味方がいる。
「彼女は、犯罪者の親族ではなく被害者だ。そうわかってくれたかい?」
ルイスが問えば、三人はこくんと頷いた。
「それと彼女の名誉の為に言っておくが、メルティの教師を請け負ったのは、ラボランジュ公爵夫人に頼まれたからではなく、メルティが彼女のお眼鏡に叶ったからだ。そうだよね、リンアールペ侯爵夫人」
「もちろんでございます、殿下。親友のお願いでもそこは譲れません。ご紹介頂きましたが、見極めてお受けいたしました」
つまり、メルティはルイス殿下に相応しいとここでお墨付きになった事になる。
「さあ、余計疲れただろう。部屋で休もう。失礼するよ」
ルイスがメルティの手を取りこの場を去っていく。その後にラボランジュ公爵夫人達も後を追った。
ぽつんと残された三人を警備兵が立たせる。
「一応、事情聴取を行うからついて来て下さい」
「「え!?」」
三人も、トボトボと警備兵と共にその場を離れて行くのだった。
リリアンの母親が彼女の横に来て屈み、キッとメルティを睨みつけた。
「噂通りね! 私知っておりますわよ、あなたの正体! リンアールペ侯爵夫人に教育を施してもらいながらも他の教育を受けていた事を。彼女の授業についていく為に受けていたのでしょう? 覚えは悪いし、暴言を吐くはで大変だったとか。裏表を使い分けるのがお上手の様ね」
「上手でしたら、ここで引っ叩いたりしないと思いますが」
余計な事を言って話に割って入って来たのは誰だと、リリアンの母親が振り向けば、冷ややかの瞳をその母親に向けているリンアールペ侯爵夫人が立っていた。
「彼女について、色んな噂が飛び交っているのは知っておりますが、ここで一つ事実をお伝えしましょう。私に習っていたのは、目の前にいるメルティ嬢ですが、他の教育者から習っていた令嬢は別の方ですわ」
「まあ、でしたら、彼女を語る偽物だとでもおっしゃるのですか?」
リンアールペ侯爵夫人に強気に出るリリアンの母親。なにせ、直接教えた本人に聞いたのだ。なのでリンアールペ侯爵夫人が言う事が本当なら、そうでなければあり得ない。
「その通りよ」
「え……」
だが肯定され、驚きの顔でリンアールペ侯爵夫人を見上げる。他の者もまさかと言う顔つきだ。
教えていた教育者が騙されていたというのだから。
「噂を聞いているでしょう。彼女の叔父の娘。つまり従兄弟がレドゼンツ伯爵家の娘として教育を受けていた。教えている方も彼女がレドゼンツ伯爵家の娘だと思っていたそうよ」
「では、彼女自身が言ったように、犯罪者の親族よね?」
ピンクの髪の令嬢が嬉々として述べる。
「そうなるかしらね。でも、メルティ嬢も被害者なのよ。彼らは、レドゼンツ伯爵家を乗っ取ろうとしたの」
スーッとリンアールペ侯爵夫人の後ろから現れたラボランジュ公爵夫人が答えた。
「それに、それを暴いたのは私達だけどね」
更に隣に並んだルイスがそう述べれば、二人の令嬢と母親は顔面蒼白になる。
「あまり、犯罪者、犯罪者と言わない方がいいと思うよ。私の婚約者を貶めようとした行為は、犯罪になると思わないかい?」
「っひ。し、失礼いたしました。しかし、彼女は王家の者と婚姻するのですから犯罪者が親族――」
「あらだったら私もそうなるわね」
「え?」
リリアンの母親が、そう述べたラボランジュ公爵夫人を驚いた顔つきで見つめる。
「あなた達は、リンアールペ侯爵夫人の伝手で私が彼女と知り合ったと思っているようだけど、違うわよ。私が彼女にリンアールペ侯爵夫人を引き合わせたのよ」
「はい!?」
つい驚いてリリアンの母親が驚きの声を上げた。
「メルティと私は、遠い親戚なの。だから犯罪者の彼らとは血の繋がりはないけど、親戚になるのよね。王弟を夫に持つ私はどうしたらいいのかしら? ねえ、ルイス殿下」
「母上。彼女達、失神寸前のようですので、その辺で勘弁してあげて下さい。バカな事をしたと、ずっと後悔する事でしょうから」
マクシムの言葉にハッとしたリリアンの母親が、振り返りやじ馬達を見てギョッとする。ほぼ会場内の全員が注目していたのだ。
彼女達は、ルイスの婚約者であるメルティに因縁をつけ、犯罪者だと罵った。
しかもメルティは、ラボランジュ公爵夫人の親族だと言う。王族を敵に回したのも同じだ。
「メルティ、大丈夫? 風に当たりたいっていうから一人にしたけど、私が傍に居ればよかったわね。辛い目に遭ったばかりなのに、犯罪者呼ばわりだなんて」
ワザとらしくそう言ってラボランジュ公爵夫人が、メルティに近づいた。
メルティは、困惑した様子で頷くだけだ。
「め、滅相もございません。私達の勘違いでした。本当に申し訳ありませんでした。どうか、お許し下さい」
リリアンの母親が深々と謝れば、二人の令嬢も頭を下げる。三人は青ざめ、フルフルと震えていた。
逃げ出したいが、今更逃げ出しても遅いのだ。
ラボランジュ公爵夫人やリンアールペ侯爵夫人は、こんな事もあるだろうと警戒をしていたが、まさかこの会場内で仕掛けてくるバカがいるとは思わなかったが、自分達がいる会場でよかったと逆に安堵する。
メルティが彼女達を負かす事は難しいだろう。メルティは、こういう場は慣れておらず、きっとここまでされるとは思っていないはずだからだ。
自分達が盾になる事で彼女を守れる。
今日の事はまた、噂となって駆け巡るだろう。バックには、ラボランジュ公爵夫人とリンアールペ侯爵夫人がついている。そうなれば、メルティを敵に回そうと考える輩は早々いるまい。
それに、一番強い味方がいる。
「彼女は、犯罪者の親族ではなく被害者だ。そうわかってくれたかい?」
ルイスが問えば、三人はこくんと頷いた。
「それと彼女の名誉の為に言っておくが、メルティの教師を請け負ったのは、ラボランジュ公爵夫人に頼まれたからではなく、メルティが彼女のお眼鏡に叶ったからだ。そうだよね、リンアールペ侯爵夫人」
「もちろんでございます、殿下。親友のお願いでもそこは譲れません。ご紹介頂きましたが、見極めてお受けいたしました」
つまり、メルティはルイス殿下に相応しいとここでお墨付きになった事になる。
「さあ、余計疲れただろう。部屋で休もう。失礼するよ」
ルイスがメルティの手を取りこの場を去っていく。その後にラボランジュ公爵夫人達も後を追った。
ぽつんと残された三人を警備兵が立たせる。
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三人も、トボトボと警備兵と共にその場を離れて行くのだった。
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