3 / 192
第一章 薬師になろうとしただけなのに……
第三話
しおりを挟む
「なんだよ? これでも母さんからは太鼓判を貰ってるんだ」
「いや、そうじゃなくて。明日は王宮専属薬師の試験だ。合格すれば、そのまま王宮専属薬師の地位につく。年に四回行われている中で、滅茶苦茶難易度が高い試験だ……」
「え!」
それを聞いたティモシーも驚いた顔をする。
「筆記試験はいつも通りだけど。明日の試験は、筆記試験の順位がいい者から陛下の前で技術試験を行うんだ。で、受かるのは数名。……だから、あの時一晩って言ったのか」
ティモシーはオズマンドに嵌められたのだ。普通の試験の時ならば受かっただろう。だが、明日の試験は数えるほどしか受からない。毎年多くても五名ほどだった。
「それって受かったら、ずっと王宮務め?」
「まあ、そうなるな。だから明日は百名ほどしか受けにこないはずだ……。まあ、オズマンドさんの方が上手……」
ダン! っとティモシーは、ぐうでテーブルを叩いた。
「嵌められた! それじゃ受かっても母さんと一緒に仕事出来ないじゃないか!」
「はぁ? そっち? おい、受かれば歓喜するほどの役職だぞ?」
ランフレッドも驚いて大きな声を上げる。
「一年ほど務めれば、村に戻れる思ったのに! どうしたら……」
本気で悩んでいる姿を見てランフレッドは頭が痛かった。もし受かったとして、ずっとこの調子だと問題を起こしそうだと。
「次の試験にしたいって言ったらOKしてくれると思う?」
「知るか! でもオズマンドさんは、薬師にしたくないんだからチャンスはもうくれないだろうな。そんなに母親と離れるのが嫌なら、試験を受けずに帰ればいいだろう……」
めんどくさいとばかりにランフレッドがそう言うと、仕方なさそうにティモシーは呟く。
「一年務めて、何とか理由付けて戻るしかないか……」
「お前、受かる気でいるのか? 言っておくが試験を受けに来る大半の者が薬師の資格を持った者だ! つまり経験を積んだ者が受けに来るんだぞ? その中の数名しか受からない。わかってるか?」
ランフレッドの言葉に、ティモシーは真面目な顔つきで頷く。
「勿論わかってるさ。父さんは受からないだろうと明日にした訳じゃなくて、受けないだろうと思ってしたんだと思う。ふん。父さんの思い通りになんてならない!」
「お前、マジで受ける気かよ……」
うんざりしてランフレッドが問う。
「なんだよ……。その為に来たんだけど!」
「一つ良い事を教えてやる。試験会場でそんな粗暴な態度とっていたら、なんぼ成績がよくたって受からない。なんせ王宮に務める者を選抜するんだからな。大体お前みたいな奴、薬師の試験を受けに来る者にいないから! そのままだと目立つ事この上なし! 受けても受かんねぇよ!」
「何それ! 酷い!」
ティモシーは、ランフレッドを睨み付けた。
「酷くない! そんなに自信があるなら試験の日ぐらい大人しくしてろよ!」
「大人しくって……。別に暴れる気はないけど?」
ランフレッドは、ガシガシと頭をかく。
「そうじゃなくて、その容姿自体目立つ。だからちょっとした態度でもギャップがありすぎるって言っているんだ。どうしても受けるって言うのなら、明日一日女のフリでもしていろ! 普段私って使っているんだろう?」
ティモシーは、嫌そうな顔をする。
「わかった。ご忠告通り、明日は気を付けるよ」
ティモシーは、そう言って頷く。
「まあ、頑張れ……」
ランフレッドが一応そう声を掛けると、ティモシーはもう一度頷いた。
(この人、見かけによらずお人好しだな。面倒ならほっとけばいいのに……)
ティモシーは、お人好しで助かったと、冷めた紅茶を飲んだ。
「いや、そうじゃなくて。明日は王宮専属薬師の試験だ。合格すれば、そのまま王宮専属薬師の地位につく。年に四回行われている中で、滅茶苦茶難易度が高い試験だ……」
「え!」
それを聞いたティモシーも驚いた顔をする。
「筆記試験はいつも通りだけど。明日の試験は、筆記試験の順位がいい者から陛下の前で技術試験を行うんだ。で、受かるのは数名。……だから、あの時一晩って言ったのか」
ティモシーはオズマンドに嵌められたのだ。普通の試験の時ならば受かっただろう。だが、明日の試験は数えるほどしか受からない。毎年多くても五名ほどだった。
「それって受かったら、ずっと王宮務め?」
「まあ、そうなるな。だから明日は百名ほどしか受けにこないはずだ……。まあ、オズマンドさんの方が上手……」
ダン! っとティモシーは、ぐうでテーブルを叩いた。
「嵌められた! それじゃ受かっても母さんと一緒に仕事出来ないじゃないか!」
「はぁ? そっち? おい、受かれば歓喜するほどの役職だぞ?」
ランフレッドも驚いて大きな声を上げる。
「一年ほど務めれば、村に戻れる思ったのに! どうしたら……」
本気で悩んでいる姿を見てランフレッドは頭が痛かった。もし受かったとして、ずっとこの調子だと問題を起こしそうだと。
「次の試験にしたいって言ったらOKしてくれると思う?」
「知るか! でもオズマンドさんは、薬師にしたくないんだからチャンスはもうくれないだろうな。そんなに母親と離れるのが嫌なら、試験を受けずに帰ればいいだろう……」
めんどくさいとばかりにランフレッドがそう言うと、仕方なさそうにティモシーは呟く。
「一年務めて、何とか理由付けて戻るしかないか……」
「お前、受かる気でいるのか? 言っておくが試験を受けに来る大半の者が薬師の資格を持った者だ! つまり経験を積んだ者が受けに来るんだぞ? その中の数名しか受からない。わかってるか?」
ランフレッドの言葉に、ティモシーは真面目な顔つきで頷く。
「勿論わかってるさ。父さんは受からないだろうと明日にした訳じゃなくて、受けないだろうと思ってしたんだと思う。ふん。父さんの思い通りになんてならない!」
「お前、マジで受ける気かよ……」
うんざりしてランフレッドが問う。
「なんだよ……。その為に来たんだけど!」
「一つ良い事を教えてやる。試験会場でそんな粗暴な態度とっていたら、なんぼ成績がよくたって受からない。なんせ王宮に務める者を選抜するんだからな。大体お前みたいな奴、薬師の試験を受けに来る者にいないから! そのままだと目立つ事この上なし! 受けても受かんねぇよ!」
「何それ! 酷い!」
ティモシーは、ランフレッドを睨み付けた。
「酷くない! そんなに自信があるなら試験の日ぐらい大人しくしてろよ!」
「大人しくって……。別に暴れる気はないけど?」
ランフレッドは、ガシガシと頭をかく。
「そうじゃなくて、その容姿自体目立つ。だからちょっとした態度でもギャップがありすぎるって言っているんだ。どうしても受けるって言うのなら、明日一日女のフリでもしていろ! 普段私って使っているんだろう?」
ティモシーは、嫌そうな顔をする。
「わかった。ご忠告通り、明日は気を付けるよ」
ティモシーは、そう言って頷く。
「まあ、頑張れ……」
ランフレッドが一応そう声を掛けると、ティモシーはもう一度頷いた。
(この人、見かけによらずお人好しだな。面倒ならほっとけばいいのに……)
ティモシーは、お人好しで助かったと、冷めた紅茶を飲んだ。
34
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!
まったりー
ファンタジー
転生した主人公は、平民でありながらダンジョンを作る力を持って生まれ、その力を持った者の定めとなる貴族入りが確定します。
ですが主人公は、普通の暮らしを目指し目立たない様振る舞いますが、ダンジョンを作る事しか出来ない能力な為、奮闘してしまいます。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる