62 / 192
第六章 真実と魔術師組織
第六十二話
しおりを挟む
「さて、次はあなたですね」
その言葉に、ダグはゾッとする。
「あなたが王宮専属魔術師になった理由をお聞かせ下さい」
「理由って……。他の人と同じです! 別に変な目的があった訳じゃない! 魔術師だと隠していたのは、バレると厄介だからです!」
トンマーゾの様に、何か目的があって王宮専属薬師になったと思われているとダグは焦って答えた。
「そうですか。では、昨日の事を隠していたのは、魔術師だと知られるのを避ける為という事で宜しいですか?」
レオナールにそう問われ、ダグは頷く。
「ではもう、知れてしまったのですから何があったのかお話頂けますね?」
ダグは、大きなため息をつき頷いだ。そして、観念し話し出した――。
三人が現れ、聞いた事のない言葉を話し石の様な物を投げつけて来た。それは、粉々に砕け、眠りの魔術を発動した。ダグがハッとするも二人は眠ってしまう。
そして、反撃のチャンスを伺っていた所、また石を投げつけて来た。今度は攻撃で、石が砕けると同時に爆発した。ダグは結界を張り難を逃れるも、二人は土砂に埋まってしまう。
慌てるも相手はもう石が無いようで、一人がこっちに向かってきた。よくわからないが、石が無いと魔術は使えないと判断したダグは、三人に動きを封じる魔術を掛ける。それは成功し、自分に向かってきた男の首に手を掛け、トンマーゾにしようとしたように魔力を吸い取った。そして、男は昏倒し倒れる。
今度は二人の首に手を掛け、同じようにしようとした所、二人は苦しみだしたので、術を解くも二人は意識を失った。
そこに兵士が来たので慌てて倒れたフリをするが、到着した兵士に二人は死んでいると言われダグは驚く。なぜそうなったのかわからなかった――。
話を聞き終えたレオナールは頷いた。
「矛盾はなさそうですね」
それを聞いたダグは、驚いた顔をする。まるで知っていたようだからである。
「確認なのですが、聞いた事がない言葉に、心当たりは本当にありませんか? また、彼らが投げたとされる石についても。いかがです?」
ダグは、嘘をついても見透かされそうで正直に話す事にする。
「もしかしたらですが、呪文なのではないかと思います。あの石の様な物を使うのに必要だったのではないかと……」
「なるほど」
レオナールは頷くが、ティモシーは違った。
エイブは石を使っていた。だが、呪文の様な言葉は発してなかった。
(同じ物ではなかったのか? 使い方が色々あるとかなのか?)
考えたところでティモシーにはわからなかった。
「ダグ。呪文と申しましたが、なぜそう思ったのでしょう? 呪文は言い伝えの中での存在。アリックも他国の言葉だと思ったと言っていましたよね? もしかして、見聞きした事がおありなのではありませんか?」
「まさか! ち、違います!」
「違いますか? 石が投げつけられるまで、その者が石を持っていたのを知らなかったのですよね? 普通ならアリックの様に他国の人間なのだから他国の言葉だと思うと思うのですが?」
「………」
レオナールの言葉に、ダグはごくんと生唾を飲み込んだ。
ダグが、呪文かと言ったタイミングをティモシーから聞いているレオナールは、手を緩めない。ジッと、彼を見つめる。
「どうしても、答えたくありませんか?」
先ほどから投げかけの様に問われるが、確定事項の確認のようだとダグは思った。
「……一度見たことがありました」
ダグは、とうとう観念してボソッと呟いた。
その言葉に、ダグはゾッとする。
「あなたが王宮専属魔術師になった理由をお聞かせ下さい」
「理由って……。他の人と同じです! 別に変な目的があった訳じゃない! 魔術師だと隠していたのは、バレると厄介だからです!」
トンマーゾの様に、何か目的があって王宮専属薬師になったと思われているとダグは焦って答えた。
「そうですか。では、昨日の事を隠していたのは、魔術師だと知られるのを避ける為という事で宜しいですか?」
レオナールにそう問われ、ダグは頷く。
「ではもう、知れてしまったのですから何があったのかお話頂けますね?」
ダグは、大きなため息をつき頷いだ。そして、観念し話し出した――。
三人が現れ、聞いた事のない言葉を話し石の様な物を投げつけて来た。それは、粉々に砕け、眠りの魔術を発動した。ダグがハッとするも二人は眠ってしまう。
そして、反撃のチャンスを伺っていた所、また石を投げつけて来た。今度は攻撃で、石が砕けると同時に爆発した。ダグは結界を張り難を逃れるも、二人は土砂に埋まってしまう。
慌てるも相手はもう石が無いようで、一人がこっちに向かってきた。よくわからないが、石が無いと魔術は使えないと判断したダグは、三人に動きを封じる魔術を掛ける。それは成功し、自分に向かってきた男の首に手を掛け、トンマーゾにしようとしたように魔力を吸い取った。そして、男は昏倒し倒れる。
今度は二人の首に手を掛け、同じようにしようとした所、二人は苦しみだしたので、術を解くも二人は意識を失った。
そこに兵士が来たので慌てて倒れたフリをするが、到着した兵士に二人は死んでいると言われダグは驚く。なぜそうなったのかわからなかった――。
話を聞き終えたレオナールは頷いた。
「矛盾はなさそうですね」
それを聞いたダグは、驚いた顔をする。まるで知っていたようだからである。
「確認なのですが、聞いた事がない言葉に、心当たりは本当にありませんか? また、彼らが投げたとされる石についても。いかがです?」
ダグは、嘘をついても見透かされそうで正直に話す事にする。
「もしかしたらですが、呪文なのではないかと思います。あの石の様な物を使うのに必要だったのではないかと……」
「なるほど」
レオナールは頷くが、ティモシーは違った。
エイブは石を使っていた。だが、呪文の様な言葉は発してなかった。
(同じ物ではなかったのか? 使い方が色々あるとかなのか?)
考えたところでティモシーにはわからなかった。
「ダグ。呪文と申しましたが、なぜそう思ったのでしょう? 呪文は言い伝えの中での存在。アリックも他国の言葉だと思ったと言っていましたよね? もしかして、見聞きした事がおありなのではありませんか?」
「まさか! ち、違います!」
「違いますか? 石が投げつけられるまで、その者が石を持っていたのを知らなかったのですよね? 普通ならアリックの様に他国の人間なのだから他国の言葉だと思うと思うのですが?」
「………」
レオナールの言葉に、ダグはごくんと生唾を飲み込んだ。
ダグが、呪文かと言ったタイミングをティモシーから聞いているレオナールは、手を緩めない。ジッと、彼を見つめる。
「どうしても、答えたくありませんか?」
先ほどから投げかけの様に問われるが、確定事項の確認のようだとダグは思った。
「……一度見たことがありました」
ダグは、とうとう観念してボソッと呟いた。
13
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!
まったりー
ファンタジー
転生した主人公は、平民でありながらダンジョンを作る力を持って生まれ、その力を持った者の定めとなる貴族入りが確定します。
ですが主人公は、普通の暮らしを目指し目立たない様振る舞いますが、ダンジョンを作る事しか出来ない能力な為、奮闘してしまいます。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる