【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第六章 真実と魔術師組織

第六十二話

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 「さて、次はあなたですね」

 その言葉に、ダグはゾッとする。

 「あなたが王宮専属魔術師になった理由をお聞かせ下さい」
 「理由って……。他の人と同じです! 別に変な目的があった訳じゃない! 魔術師だと隠していたのは、バレると厄介だからです!」

 トンマーゾの様に、何か目的があって王宮専属薬師になったと思われているとダグは焦って答えた。

 「そうですか。では、昨日の事を隠していたのは、魔術師だと知られるのを避ける為という事で宜しいですか?」

 レオナールにそう問われ、ダグは頷く。

 「ではもう、知れてしまったのですから何があったのかお話頂けますね?」

 ダグは、大きなため息をつき頷いだ。そして、観念し話し出した――。



 三人が現れ、聞いた事のない言葉を話し石の様な物を投げつけて来た。それは、粉々に砕け、眠りの魔術を発動した。ダグがハッとするも二人は眠ってしまう。
 そして、反撃のチャンスを伺っていた所、また石を投げつけて来た。今度は攻撃で、石が砕けると同時に爆発した。ダグは結界を張り難を逃れるも、二人は土砂に埋まってしまう。
 慌てるも相手はもう石が無いようで、一人がこっちに向かってきた。よくわからないが、石が無いと魔術は使えないと判断したダグは、三人に動きを封じる魔術を掛ける。それは成功し、自分に向かってきた男の首に手を掛け、トンマーゾにしようとしたように魔力を吸い取った。そして、男は昏倒し倒れる。
 今度は二人の首に手を掛け、同じようにしようとした所、二人は苦しみだしたので、術を解くも二人は意識を失った。
 そこに兵士が来たので慌てて倒れたフリをするが、到着した兵士に二人は死んでいると言われダグは驚く。なぜそうなったのかわからなかった――。



 話を聞き終えたレオナールは頷いた。

 「矛盾はなさそうですね」

 それを聞いたダグは、驚いた顔をする。まるで知っていたようだからである。

 「確認なのですが、聞いた事がない言葉に、心当たりは本当にありませんか? また、彼らが投げたとされる石についても。いかがです?」

 ダグは、嘘をついても見透かされそうで正直に話す事にする。

 「もしかしたらですが、呪文なのではないかと思います。あの石の様な物を使うのに必要だったのではないかと……」
 「なるほど」

 レオナールは頷くが、ティモシーは違った。
 エイブは石を使っていた。だが、呪文の様な言葉は発してなかった。

 (同じ物ではなかったのか? 使い方が色々あるとかなのか?)

 考えたところでティモシーにはわからなかった。

 「ダグ。呪文と申しましたが、なぜそう思ったのでしょう? 呪文は言い伝えの中での存在。アリックも他国の言葉だと思ったと言っていましたよね? もしかして、見聞きした事がおありなのではありませんか?」
 「まさか! ち、違います!」
 「違いますか? 石が投げつけられるまで、その者が石を持っていたのを知らなかったのですよね? 普通ならアリックの様に他国の人間なのだから他国の言葉だと思うと思うのですが?」
 「………」

 レオナールの言葉に、ダグはごくんと生唾を飲み込んだ。
 ダグが、呪文かと言ったタイミングをティモシーから聞いているレオナールは、手を緩めない。ジッと、彼を見つめる。

 「どうしても、答えたくありませんか?」

 先ほどから投げかけの様に問われるが、確定事項の確認のようだとダグは思った。

 「……一度見たことがありました」

 ダグは、とうとう観念してボソッと呟いた。
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