65 / 192
第六章 真実と魔術師組織
第六十五話
しおりを挟む
レオナールの部屋に入ると座るように言われ、ランフレッド以外はソファーに座った。
奥側の三人掛けのソファーにレオナール、その左横にルーファスが座り、後ろにランフレッドが立つ。レオナールの向かい側にはダグが、その横にティモシーが座った。
「あの、俺はお咎めなしなのでしょうか?」
ダグは聞きたい事を座ってすぐに質問した。村の人達が拉致された事を今まで黙っていた事に対し、何も言われていなく彼としては凄く疑問に思ったのである。
「不正を行った事については、私が関知するところではありませんので、後程陛下から述べられるでしょう。村が襲われた事については、魔術師もおり一人ではどうにもならなかったと思われます。今になってと思うところがありますが、あなたが魔術師だと考慮すると、それも致し方ないかと……。残念な事ですが、魔術師に対し世間は冷たいですからね。陛下もそこを考慮し寛大なお心遣いをして下さったと思います」
ダグはルーファスに聞いたのだが、答えたのはレオナールだった。だが聞きたい答えが聞けたので、礼を言って頭を下げた。
「さて、ここからは私の提案なのですが、ダグ、あなたのその力、私に貸して下さいませんか? ご両親共々、身の安全は保障致します。いかがでしょう?」
「力ですか……?」
レオナールに突然そう言われ、タグは驚く。その力とは、魔術師の力の事だろうと思うも何をさせる気なのかと、すぐには答えられない。
「あなたの村を襲った相手は、おそらく魔術師の組織です。あなた方が見つかれば、狙われる恐れがあります。もしよろしければ、あなたのご両親は我が国で保護しましょう。入国するのには、こちらが用意したアイテムが必要で、それは不正出来ません。そして、身体検査も行っております。国の中に居れば安全です」
ダグもそうだが、ティモシーも驚いた。魔術師の国と言われるだけあって、警戒態勢が凄い。容易には忍び込めず、魔術師だとしても難しそうに思われる。
「どうしてそこまで……」
「そんなに警戒しなくても宜しいですよ。魔術師だと知れれば、この世界では生きづらい。私は自身を魔術師だと明かし、行き場のなくなった魔術師達を保護しようと考えました。まあ、そんな事をしていれば、驚異の国なのは確かですが……。いかがでしょう?」
確かに身の安全は保障される、だがそれは、両親を人質に取られたのと同じで、裏切る事は許されない。えらく頭が回る人物だが、悪い人物ではない。と、ダグはレオナールの事を分析した。
どちらにしても自分が生きていると知れれば狙われる。せめて両親だけでも安全な場所に居られるのであればと、考えはまとまった。
「わかりました。宜しくお願いします」
ダグは立ち上がり、レオナールに頭を下げた。
「宜しくお願いします。ダグ」
レオナールもそう言ってほほ笑んだ。ダグは座り直す。
「話はまとまったか。では、このままダグは在籍させるよう父上に言っておこう。その方がこちらも都合がいいからな」
「え?」
また、ダグが驚いた。
「出来上がったモノも素晴らしかったが、我々は工程も見ていた。魔術を使わずとも一番ではなかっただろうが選ばれていただろう。まあ、何もお咎めなしとはいかないだろうが、父上もそのつもりだろう」
「ありがとうございます」
ルーファスの言葉に、ダグは素直に嬉しかった。薬師の腕も認められていた。そしてダグは、恩を返さなければと心の中でそっと誓う。
「では、今の状況をお話ししておきましょう」
「あの、ティモシーも話を聞くのですか?」
レオナールが話し出そうとすると、ダグはそう言った。さきほどまでは聴取だったが、これからの話は違う。ダグは、ティモシーの事が忘れられて、そのままここにいると思っていた。
(そう言えば、別に俺はここにいる必要ないよな)
そう思いティモシーは、レオナールを見ると、彼はにっこりと微笑んで頷いた。
「ティモシーは、当事者ですので、このまま聞いて頂こうと思います」
「当事者?」
不思議そうにダグは、ティモシーを見る。
「話を聞いて行けばわかります。ティモシーもそれで宜しいですね?」
問われているが、決定事項であるのは承知しているティモシーは頷いた。
レオナールは、今知りえている情報を話始める――。
奥側の三人掛けのソファーにレオナール、その左横にルーファスが座り、後ろにランフレッドが立つ。レオナールの向かい側にはダグが、その横にティモシーが座った。
「あの、俺はお咎めなしなのでしょうか?」
ダグは聞きたい事を座ってすぐに質問した。村の人達が拉致された事を今まで黙っていた事に対し、何も言われていなく彼としては凄く疑問に思ったのである。
「不正を行った事については、私が関知するところではありませんので、後程陛下から述べられるでしょう。村が襲われた事については、魔術師もおり一人ではどうにもならなかったと思われます。今になってと思うところがありますが、あなたが魔術師だと考慮すると、それも致し方ないかと……。残念な事ですが、魔術師に対し世間は冷たいですからね。陛下もそこを考慮し寛大なお心遣いをして下さったと思います」
ダグはルーファスに聞いたのだが、答えたのはレオナールだった。だが聞きたい答えが聞けたので、礼を言って頭を下げた。
「さて、ここからは私の提案なのですが、ダグ、あなたのその力、私に貸して下さいませんか? ご両親共々、身の安全は保障致します。いかがでしょう?」
「力ですか……?」
レオナールに突然そう言われ、タグは驚く。その力とは、魔術師の力の事だろうと思うも何をさせる気なのかと、すぐには答えられない。
「あなたの村を襲った相手は、おそらく魔術師の組織です。あなた方が見つかれば、狙われる恐れがあります。もしよろしければ、あなたのご両親は我が国で保護しましょう。入国するのには、こちらが用意したアイテムが必要で、それは不正出来ません。そして、身体検査も行っております。国の中に居れば安全です」
ダグもそうだが、ティモシーも驚いた。魔術師の国と言われるだけあって、警戒態勢が凄い。容易には忍び込めず、魔術師だとしても難しそうに思われる。
「どうしてそこまで……」
「そんなに警戒しなくても宜しいですよ。魔術師だと知れれば、この世界では生きづらい。私は自身を魔術師だと明かし、行き場のなくなった魔術師達を保護しようと考えました。まあ、そんな事をしていれば、驚異の国なのは確かですが……。いかがでしょう?」
確かに身の安全は保障される、だがそれは、両親を人質に取られたのと同じで、裏切る事は許されない。えらく頭が回る人物だが、悪い人物ではない。と、ダグはレオナールの事を分析した。
どちらにしても自分が生きていると知れれば狙われる。せめて両親だけでも安全な場所に居られるのであればと、考えはまとまった。
「わかりました。宜しくお願いします」
ダグは立ち上がり、レオナールに頭を下げた。
「宜しくお願いします。ダグ」
レオナールもそう言ってほほ笑んだ。ダグは座り直す。
「話はまとまったか。では、このままダグは在籍させるよう父上に言っておこう。その方がこちらも都合がいいからな」
「え?」
また、ダグが驚いた。
「出来上がったモノも素晴らしかったが、我々は工程も見ていた。魔術を使わずとも一番ではなかっただろうが選ばれていただろう。まあ、何もお咎めなしとはいかないだろうが、父上もそのつもりだろう」
「ありがとうございます」
ルーファスの言葉に、ダグは素直に嬉しかった。薬師の腕も認められていた。そしてダグは、恩を返さなければと心の中でそっと誓う。
「では、今の状況をお話ししておきましょう」
「あの、ティモシーも話を聞くのですか?」
レオナールが話し出そうとすると、ダグはそう言った。さきほどまでは聴取だったが、これからの話は違う。ダグは、ティモシーの事が忘れられて、そのままここにいると思っていた。
(そう言えば、別に俺はここにいる必要ないよな)
そう思いティモシーは、レオナールを見ると、彼はにっこりと微笑んで頷いた。
「ティモシーは、当事者ですので、このまま聞いて頂こうと思います」
「当事者?」
不思議そうにダグは、ティモシーを見る。
「話を聞いて行けばわかります。ティモシーもそれで宜しいですね?」
問われているが、決定事項であるのは承知しているティモシーは頷いた。
レオナールは、今知りえている情報を話始める――。
14
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!
まったりー
ファンタジー
転生した主人公は、平民でありながらダンジョンを作る力を持って生まれ、その力を持った者の定めとなる貴族入りが確定します。
ですが主人公は、普通の暮らしを目指し目立たない様振る舞いますが、ダンジョンを作る事しか出来ない能力な為、奮闘してしまいます。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる