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第九章 追われる者
第九十五話
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ティモシーとレオナールは宿を出た。そして王宮に向かい歩き始める。
二人は、王宮内に入る隠し通路の扉の前に到着した。
「あの……お願いがあるのですが……」
ティモシーはレオナールに振り向き声を掛けた。
「なんです?」
「母さんも助けて頂けないでしょうか? 俺、知らなかったんです。追われているを……。そんな素振りもなかったし、魔術師だと隠して暮らしていたけど、それは魔術師の者にとっては普通だと思っていたから」
「そうですね。私もお助けしたいとは思っておりますが、ご本人が拒否されるのならば、どうにも出来ません。ですが少なくとも、私を敵ではないと認識したのでしょう。いや、チミキナスナと対立している者として言った方がいいでしょうか……」
「どうして母さんは、チミキナスナという組織から追われているんでしょうか……」
ティモシーは、俯いてボソッと呟く。
「それは本人に聞いた方が早いのですが。ところで母親のお名前はなんと申しますか?」
「え? ミュアンですけど……」
「……ミュアン」
「何か?」
ティモシーは不安げに聞く。レオナールが一瞬眉をひそめた様に見えたからである。
「いえ。素敵なお名前ですね。では行きましょうか。あまり遅くなると、ルーファスが心配します」
「え? 母さんに会いに行くのを知っていたんですか?」
レオナールは扉の鍵を懐から出し、胸の辺りまで掲げる。
「これをお借りする時にあなたと出掛ける事を伝えておきました」
レオナールは、ティモシーから話を聞く前からミュアンに会いに行くつもりだったのである。知っているのはルーファスだけで、カミーユ達にも伏せていた。だから、王宮内を周るという体裁を作る為に、薬師の制服に着替えていたのである。
「どういう事ですか?」
「前の日の夜に会っているというに、次の日の朝早くに訪れたとお聞きしました。何か重要な事をあなたに伝えに為、あるいは、あなたの安否を確認をしに訪れたかのどちらかだと思いました。どちらにしても魔術師としてのあなたに関する事だろと思い尋ねるつもりだったのです」
ミュアンが訪ねて来ただけで、そこまでわかるとはとティモシーは驚く。そして、組織と繋がりがあった事まで見抜いていたのではないか。そう思った。
「組織の事を知っているとわかっていたんですか?」
「いえ、そこまでは。ただ魔術師を避けている事はペンダントでわかってはおりました。試しに聞いてみただけだったのですが……相手に彼女の息子があなただと知れたかもしれません。あなたの母親だけではなく、あなたの身にも何か起きるかもしれません。心しておくように。では、行きますよ」
ティモシーは頷き、レオナールに続き隠し通路に下りて行った。
エイブは知らない素振りはしていたが、自分の事をミュアンの息子だと知っていて接触をしてきたのだろうか? 何の為に自分に接触をしていたのか……。ティモシーは、怖くなってきていた。自分は一体、彼に何を話していたのか思い出せないからである。
二人は、王宮内に入る隠し通路の扉の前に到着した。
「あの……お願いがあるのですが……」
ティモシーはレオナールに振り向き声を掛けた。
「なんです?」
「母さんも助けて頂けないでしょうか? 俺、知らなかったんです。追われているを……。そんな素振りもなかったし、魔術師だと隠して暮らしていたけど、それは魔術師の者にとっては普通だと思っていたから」
「そうですね。私もお助けしたいとは思っておりますが、ご本人が拒否されるのならば、どうにも出来ません。ですが少なくとも、私を敵ではないと認識したのでしょう。いや、チミキナスナと対立している者として言った方がいいでしょうか……」
「どうして母さんは、チミキナスナという組織から追われているんでしょうか……」
ティモシーは、俯いてボソッと呟く。
「それは本人に聞いた方が早いのですが。ところで母親のお名前はなんと申しますか?」
「え? ミュアンですけど……」
「……ミュアン」
「何か?」
ティモシーは不安げに聞く。レオナールが一瞬眉をひそめた様に見えたからである。
「いえ。素敵なお名前ですね。では行きましょうか。あまり遅くなると、ルーファスが心配します」
「え? 母さんに会いに行くのを知っていたんですか?」
レオナールは扉の鍵を懐から出し、胸の辺りまで掲げる。
「これをお借りする時にあなたと出掛ける事を伝えておきました」
レオナールは、ティモシーから話を聞く前からミュアンに会いに行くつもりだったのである。知っているのはルーファスだけで、カミーユ達にも伏せていた。だから、王宮内を周るという体裁を作る為に、薬師の制服に着替えていたのである。
「どういう事ですか?」
「前の日の夜に会っているというに、次の日の朝早くに訪れたとお聞きしました。何か重要な事をあなたに伝えに為、あるいは、あなたの安否を確認をしに訪れたかのどちらかだと思いました。どちらにしても魔術師としてのあなたに関する事だろと思い尋ねるつもりだったのです」
ミュアンが訪ねて来ただけで、そこまでわかるとはとティモシーは驚く。そして、組織と繋がりがあった事まで見抜いていたのではないか。そう思った。
「組織の事を知っているとわかっていたんですか?」
「いえ、そこまでは。ただ魔術師を避けている事はペンダントでわかってはおりました。試しに聞いてみただけだったのですが……相手に彼女の息子があなただと知れたかもしれません。あなたの母親だけではなく、あなたの身にも何か起きるかもしれません。心しておくように。では、行きますよ」
ティモシーは頷き、レオナールに続き隠し通路に下りて行った。
エイブは知らない素振りはしていたが、自分の事をミュアンの息子だと知っていて接触をしてきたのだろうか? 何の為に自分に接触をしていたのか……。ティモシーは、怖くなってきていた。自分は一体、彼に何を話していたのか思い出せないからである。
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