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第十一章 彼らの選択
第百十五話
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「おい、ティモシー!」
誰かに呼ばれた気がして目を開け、ティモシーは固まった。
「な、なんでトンマーゾさん……」
「いいか。朝方王宮に忍び込む。お前は手引きをしろ!」
「え! いきなりなんで!」
ティモシーは、ごくんと生唾を飲み込んだ。エイブではなく、トンマーゾが直接来た。もしかしたら、彼に何かあったのかも知れない。しかし聞いたところで何も言わないだろう。困惑しながらもそう考えた。
「て、手引きって……。何を?」
「裏口の錠を外すだけでいい」
「え! そんなの無理!」
だけでいいと言われたが、そこには兵士がいる。眠らせでもしない限り無理な話だ。
「無理でもやれ!」
そう言い残し、トンマーゾはフッと消えた!
「え! 待って!」
ティモシーは、茫然とする。
「なんでいきなりそんな事を……」
(情報を自分から得れないと思ったからなのか? そんな事より、エイブさんを助け出さないと!)
ティモシーは、まずはエイブの救出に向かわないと思った――。
☆~~~~~☆~~~~~☆~~~~~☆
ティモシーは、ハッとして目を覚ます。まだ辺りは薄暗い。
時間はある。そう思い体を起こす。
ランフレッドを見ると隣のベットで寝ていた。彼を起こさない様に着替えるとそっと部屋を出た。そして、前にミュアンに会いに行った時に使った通路を通り外に出た。
「エイブさん、待ってて!」
きっとエイブに何かあったのだと、ティモシーはまず確認する事にした。出来れば連れて帰ろうと思った。そして、トンマーゾが来る事を告げ彼を向かい打つ。
エイブがいた建物の中に入り、地下に下りて行く。そして、エイブが眠る部屋のドアを開けた。
だが、そこには誰も横たわってはいなかった。慌ててティモシーはベットに近づく。
(いない!)
「おい!」
ティモシーは、背後からかかった声にビクッと肩を震わせる。
「そこには誰が寝ているはずだったんだ?」
その言葉にティモシーは振り返った。聞き覚えのある声。振り向かずともわかった。ランフレッドだ!
寝ていると思っていたランフレッドは、ティモシーの後を付けて来ていた。
ランフレッドは、ゆっくりとティモシーに近づいて来る。
「もしかして、エイブか?」
ティモシーは、戸惑いながらもゆっくり頷いた。
「お前! 俺達を騙していたのか? 夢を見ただけだって言っていただろう!」
ティモシーは、ブンブンと首を横に振る。
バタン!
開けてあったドアが閉まった。そしてガチャリと錠をする音が聞こえる。
「しまった!」
慌ててランフレッドがドアの元に行き、開けようとするが開かない!
「まあ、誰か一緒に来るかもと思ったが、それがお前でよかった」
「その声は……トンマーゾか! 一体何を考えている!」
ランフレッドが叫んだ!
(ここに来ることが読まれていた……)
ティモシーは、自分がここに誘導だれたのだと気が付いた。
「ティモシー。エイブを助けたいのなら俺が来るまでにランフレッドを殺しておけ!」
「そんな事出来ない!」
驚いて叫ぶも返事は帰ってこなかった。
ランフレッドは、ティモシーに振り返り睨む。
「お前、寝返っていたのか?」
ティモシーはブンブンを首を横に振る。
「違う……」
「じゃ、全部話せ! 最初から全部!」
ティモシーは頷いた。
(もうこのままじゃ、誰も守れない。母さんもランフレッドもエイブさんも……)
「ごめんなさい。俺、実は……」
ティモシーは、ギュッと両手を強く握った。
「ま、魔術師なんだ……」
「は? いや、だって……。あんなに怯えていたのに? え?」
ランフレッドは、あまりの驚きに怒りが吹き飛んでいた。
「俺は、魔術師と言っても母さんの言いつけで、魔術なんて使った事はなかった」
「もしかして、それがトンマーゾにバレたのか?」
「わからない……」
「わからないって……」
「エイブさんには気づかれたみたい。だけど、エイブさんは組織を抜けたいんだ」
「あのさ。そう思わされているだけだろう? 大体お前、あんなに怯えていたのに……」
ティモシーは、首を横に振った。
「俺は、ブラッドリーさんに怯えていたんだ。魔術師だとバレたら殺されるとあの時思ったから……」
「……そうなのか」
そう言えば、ブラッドリーにエイブを殺されたと思っていたとランフレッドは思い出す。
「ここには、夢の事がバレて外に出た時に、たまたまエイブさんを見つけて……」
それを聞いたランフレッドは深いため息をついた。
「そんな偶然あるか?」
「でも、この場所らへんに来たのは自分の意思だし。エイブさん、ほとんど歩けなくて、ここに俺が運んだんだ」
「だから、ここにエイブがいるとわかっていたのか。それで? 今日、ここに来たのはなぜだ?」
「それは……」
ティモシーは躊躇する。言えば、何も告げずに逃げ出したと捉えられるかもしれない。それでも正直に言う事にした。
「……この前ここにエイブさんを運んだ時にトンマーゾさんに見つかって、情報を流せって言われて……。夢にエイブさんが来るはずなのに、さっきトンマーゾさんが直接来て……」
「お前情報売ったのか? 何を話した!」
ガシッとランフレッドは、ティモシーの肩を掴んで揺らす! ティモシーは、またもや大きく首を振った。
「何も!」
「って言うか。そんなにエイブを助けたかったのか? そこまでして?!」
「ち、違う。そうじゃない。俺も……刻印を……」
そこまで言ってティモシーは、その場で泣き崩れた。
誰かに呼ばれた気がして目を開け、ティモシーは固まった。
「な、なんでトンマーゾさん……」
「いいか。朝方王宮に忍び込む。お前は手引きをしろ!」
「え! いきなりなんで!」
ティモシーは、ごくんと生唾を飲み込んだ。エイブではなく、トンマーゾが直接来た。もしかしたら、彼に何かあったのかも知れない。しかし聞いたところで何も言わないだろう。困惑しながらもそう考えた。
「て、手引きって……。何を?」
「裏口の錠を外すだけでいい」
「え! そんなの無理!」
だけでいいと言われたが、そこには兵士がいる。眠らせでもしない限り無理な話だ。
「無理でもやれ!」
そう言い残し、トンマーゾはフッと消えた!
「え! 待って!」
ティモシーは、茫然とする。
「なんでいきなりそんな事を……」
(情報を自分から得れないと思ったからなのか? そんな事より、エイブさんを助け出さないと!)
ティモシーは、まずはエイブの救出に向かわないと思った――。
☆~~~~~☆~~~~~☆~~~~~☆
ティモシーは、ハッとして目を覚ます。まだ辺りは薄暗い。
時間はある。そう思い体を起こす。
ランフレッドを見ると隣のベットで寝ていた。彼を起こさない様に着替えるとそっと部屋を出た。そして、前にミュアンに会いに行った時に使った通路を通り外に出た。
「エイブさん、待ってて!」
きっとエイブに何かあったのだと、ティモシーはまず確認する事にした。出来れば連れて帰ろうと思った。そして、トンマーゾが来る事を告げ彼を向かい打つ。
エイブがいた建物の中に入り、地下に下りて行く。そして、エイブが眠る部屋のドアを開けた。
だが、そこには誰も横たわってはいなかった。慌ててティモシーはベットに近づく。
(いない!)
「おい!」
ティモシーは、背後からかかった声にビクッと肩を震わせる。
「そこには誰が寝ているはずだったんだ?」
その言葉にティモシーは振り返った。聞き覚えのある声。振り向かずともわかった。ランフレッドだ!
寝ていると思っていたランフレッドは、ティモシーの後を付けて来ていた。
ランフレッドは、ゆっくりとティモシーに近づいて来る。
「もしかして、エイブか?」
ティモシーは、戸惑いながらもゆっくり頷いた。
「お前! 俺達を騙していたのか? 夢を見ただけだって言っていただろう!」
ティモシーは、ブンブンと首を横に振る。
バタン!
開けてあったドアが閉まった。そしてガチャリと錠をする音が聞こえる。
「しまった!」
慌ててランフレッドがドアの元に行き、開けようとするが開かない!
「まあ、誰か一緒に来るかもと思ったが、それがお前でよかった」
「その声は……トンマーゾか! 一体何を考えている!」
ランフレッドが叫んだ!
(ここに来ることが読まれていた……)
ティモシーは、自分がここに誘導だれたのだと気が付いた。
「ティモシー。エイブを助けたいのなら俺が来るまでにランフレッドを殺しておけ!」
「そんな事出来ない!」
驚いて叫ぶも返事は帰ってこなかった。
ランフレッドは、ティモシーに振り返り睨む。
「お前、寝返っていたのか?」
ティモシーはブンブンを首を横に振る。
「違う……」
「じゃ、全部話せ! 最初から全部!」
ティモシーは頷いた。
(もうこのままじゃ、誰も守れない。母さんもランフレッドもエイブさんも……)
「ごめんなさい。俺、実は……」
ティモシーは、ギュッと両手を強く握った。
「ま、魔術師なんだ……」
「は? いや、だって……。あんなに怯えていたのに? え?」
ランフレッドは、あまりの驚きに怒りが吹き飛んでいた。
「俺は、魔術師と言っても母さんの言いつけで、魔術なんて使った事はなかった」
「もしかして、それがトンマーゾにバレたのか?」
「わからない……」
「わからないって……」
「エイブさんには気づかれたみたい。だけど、エイブさんは組織を抜けたいんだ」
「あのさ。そう思わされているだけだろう? 大体お前、あんなに怯えていたのに……」
ティモシーは、首を横に振った。
「俺は、ブラッドリーさんに怯えていたんだ。魔術師だとバレたら殺されるとあの時思ったから……」
「……そうなのか」
そう言えば、ブラッドリーにエイブを殺されたと思っていたとランフレッドは思い出す。
「ここには、夢の事がバレて外に出た時に、たまたまエイブさんを見つけて……」
それを聞いたランフレッドは深いため息をついた。
「そんな偶然あるか?」
「でも、この場所らへんに来たのは自分の意思だし。エイブさん、ほとんど歩けなくて、ここに俺が運んだんだ」
「だから、ここにエイブがいるとわかっていたのか。それで? 今日、ここに来たのはなぜだ?」
「それは……」
ティモシーは躊躇する。言えば、何も告げずに逃げ出したと捉えられるかもしれない。それでも正直に言う事にした。
「……この前ここにエイブさんを運んだ時にトンマーゾさんに見つかって、情報を流せって言われて……。夢にエイブさんが来るはずなのに、さっきトンマーゾさんが直接来て……」
「お前情報売ったのか? 何を話した!」
ガシッとランフレッドは、ティモシーの肩を掴んで揺らす! ティモシーは、またもや大きく首を振った。
「何も!」
「って言うか。そんなにエイブを助けたかったのか? そこまでして?!」
「ち、違う。そうじゃない。俺も……刻印を……」
そこまで言ってティモシーは、その場で泣き崩れた。
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