【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第十一章 彼らの選択

第百十七話

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 朝もやの中、四人の人影があった。

 「いいか。皇女は殺しても構わないから、文献を見つけしだい燃やせ!」

 そう命令された者達は頷いた。

 「そんな事はさせませんよ」

 その声に、四人は振り向いた。声の主はレオナールだ。

 「よくここがわかったな」

 そこは、秘密通路の出入り口付近だった。そして、そう返したのはトンマーゾだ!

 「えぇ。ティモシーは熱で汗をかいたご様子だったので、首を拭いて差し上げたのです」
 「レオナール様、そんな事をなさったのですか!」

 驚いたのは、レオナールと一緒にいたブラッドリーだった。

 「いけませんか?」
 「いえ、そうではないですが……。レオナール様がなさらなくとも……」
 「なるほどな。首の刻印を見つけた訳か」

 レオナールは、そうですと頷くとトンマーゾを睨み付けた。

 「あの刻印は居場所が把握できるモノでしょう? ティモシーをたぶらかし外へ出る様に誘導した。そして、鍵を持っていなければ開けたままになる脱出口から侵入するつもりだったのでしょう。まさかここを使用するとは思いもよりませんでしたが……」
 「ふん。あのガキも役に立つと初めて思ったんだがな。作戦変更だ。あの二人を殺せ!」

 レオナールを指差しトンマーゾが言うも、命令された三人には怯えがあった。先ほど相手がレオナールだとわかったからだ。魔術師の国ハルフォード国第一王子の名だ!

 「む、無理です……」

 青ざめた顔で一人の男が言った。

 「ですよね。あなた達は魔術師ではないのでしょうから……」

 そうレオナールは述べる。

 「ほお」

 トンマーゾは、レオナールを睨んだ。

 「降伏なさいなさい。殺しはしません」

 トンマーゾは、振り向くと今度は三人を睨み付けた。

 「お前ら、自分から組織に入ったんだよな? 魔術を使いたかったんじゃなかったのか? 裏切ったらどうなるかも知っているよな?」

 三人はビックとする。

 「脅して動かすなど驚か者がする事です!」

 レオナールとトンマーゾは睨みあう!

 「トンマーゾ!」

 そこへ、遠くから声が飛んできた。全員振り向くと二人の人影が近づいてくる。ランフレッドとティモシーだ!

 「こちらへ来てはダメです!」

 ハッとしてレオナールが叫ぶのが早いか、トンマーゾが二人に向かって走り出す!

 「ブラッドリー! そちらを頼みます!」

 そうレオナールは命令するとトンマーゾを追いかける!

 「お待ちください!」

 ブラッドリーが慌ててそう返すもレオナールはもう背を向けていた。ブラッドリーは、残された三人を似た見つけると、彼らはすくみ上った。

 「トンマーゾ! 貴様!」

 ランフレッドは剣を抜いた!

 「マヌケが! 眠れ!」

 トンマーゾは、そう叫んだ! だが、二人は立ったままだ。ティモシーだけでなくランフレッドもレジストしたのである。

 「ふん。ビンゴだったか!」

 そう呟くとトンマーゾは、ニヤリとする。

 「うわー!!」

 ティモシーはいきなり倒れ込み首を押え叫び出した!

 (刻印が!)

 「ティモシー!」

 ランフレッドは、驚くもトンマーゾの仕業だと彼を睨む。

 「てめぇ! やめろ!」

 ランフレッドが叫ぶもトンマーゾ更にはニヤリとするだけだ。

 「お前は死ね!」

 トンマーゾは、手を振り上げた!

 「させません!」

 トンマーゾが手を振り下ろすも魔術は発動されなかった! レオナールの封印が間に合ったのだ!

 「っち。本当に邪魔な王子だ!」

 トンマーゾがそう言った時だった。彼はランフレッドを見た。いやその後ろをだ。レオナールもハッとして見た為、ランフレッドも振り返り驚いた。
 大きな炎が四人に向かって来ていた!
 勿論、ティモシーも気づき振り向いている。

 (うそ……何あれ……)

 「ブラッドリー!」
 「遠すぎます! 結界が届きません! レオナール様、お逃げください!」

 ブラッドリーがレオナールに叫ぶが、レオナールは炎に手を向けた。そして、結界を張った!
 だが、その結界はすぐに破られる! 熱風が四人に襲い掛かった!
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