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第十一章 彼らの選択
第百二十一話
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エイブが目を覚ますと、見た事ない天井が見えた。彼は、体に戻った途端眠気に襲われ、眠ってしまっていた。
「おぉ、起きたか?」
その声に顔を向けると、トンマーゾがエイブに近づいて来て、ベットの端に座り足を組んだ。
「少し薬が強かったか? ぐっすりだったな」
「……なんで殺さないんだ」
「そんなの利用価値があるからだろう?」
トンマーゾがニヤッと、冗談っぽく言う。
「利用価値って……もうないだろう?」
トンマーゾはエイブの顔を覗き込む。
「魔力が練れないか?」
「やっぱり! 俺に何かしたな! 薬に何を混ぜたんだ!」
肩肘を付いて上半身を少し起こし、もう片方の手でエイブはトンマーゾの腕を掴んで叫ぶ様に言った!
「薬? お前、薬は最初の一回ぐらいしか飲んでないだろうが。ちゃんと飲んでいれば、今頃はだいぶ動けるようになっていたのになぁ」
「じゃ、何に混ぜて……」
エイブが睨む様にトンマーゾを見るとニヤッとして答える。
「お前が毎回、飲み干していたモノだよ」
エイブは、目を見開く。
「水? あの水に薬を混ぜてあったのか……」
「いや、薬は混ぜてない」
「じゃ、魔術でもかけて……」
「それもちょっと違うな」
「それじゃ一体何を……」
トンマーゾは、エイブが掴んでいた手を払うと立ち上がって言った。
「内緒だ。知りたければいう事を聞けよ」
「何、言ってるんだよ! そんな事を聞いて言う事をきくとでも思ってるのかよ!」
エイブは、上半身をがばっと起こし、トンマーゾを睨み付ける。
「じゃお前どうするんだ? あの魔術師の王子に助けを求めるか?」
「まさか、今更……。もう殺してくれよ……」
「言っただろう? まだ利用価値があるって」
ベットに片手をついて、トンマーゾはエイブの顔を覗き込んで行言った。
「何をさせたいんだ? 協力しないっていってるだろう?」
「別に大人しくしていればいいさ。お前が魔力を練れるようになるまでな」
トンマーゾは、体を起こし腕を組んで、いつも通りニヤリと言った。
「なるほど。実験体かよ! じゃ、殺したくなるように教えてやるよ! 皇帝を見つけ出した! 今頃は助け出さているさ! ……う」
エイブが言い終わるか終わらないかにトンマーゾは、彼のお腹にパンチを食らわせた!
「ったく。余計な事しやがって!」
エイブは倒れ込み、お腹を押さえて丸くなり呻く。
バンッ!
勢いよくドアが開きザイダが入って来た。
「やめて! エイブさん大丈夫?」
ベットの前に膝を付きエイブを覗き込んで問う。
「君、まさかずっと聞いていて……」
ザイダは、エイブの質問にこくんと頷いた。それを見たエイブは俯いた。
「そう。聞いていたんだ……。わかっただろう? 俺は魔術師だ」
「知ってた……」
「え……」
驚きエイブは、ザイダの顔を見た。
「王宮から逃げ出した時に、俺もお前も魔術師だと教えた上で選択させたんだ。まあ気持ちは揺るがなかったみたいだな。ザイダもティモシーもお前のどこがそんなにいいのかねぇ」
ザイダは、脅されていた訳ではなかった。進んで組織に入っていたのだ。
「……魔術師が嫌いじゃなかったの?」
「そうね。でも、エイブさんはエイブさんよ。魔術師だろうがそうでなかろうが……」
「ザイダさん……」
「で、どうする? 一緒に心中でもするか?」
トンマーゾがそう言うと、エイブはお腹を押さえながら上半身を起こす。
「わかったよ。協力するよ。でも、ザイダさんには手を出さないって約束してよ」
「お前がちゃ~んと良い子にしていれば、何もしない。って俺は、お前よりザイダの方を信用してるぐらいだぜ」
ニヤッとして、トンマーゾはそうエイブに返した。
「話はついた?」
そう部屋に入って来たのは、クレだ。
「おう。クレちょっと向こうで話がある。ザイダ、そこの薬飲ませておけよ。もう普通の水しか飲ませないから安心しろ」
トンマーゾは、そう言ってクレと一緒に部屋を出て行った。
言われた通りテーブルの上にあった薬をザイダは取りに行く。そして、水と一緒にエイブに渡す。
「はい。飲んで早く良くなって!」
「ありがとう」
エイブは、笑顔で受け取ると、薬と水を飲みほした。
空になったコップを受け取ろうとするザイダをグイッと引っ張り、エイブは彼女を抱きしめる。
「ごめん。君の未来を奪ってしまって……」
ザイダは、ううんと首を横に振る。
「傍に入れるだけで幸せ……」
「……ありがとう」
エイブが国を出てから初めて魔術師だと知っても受け入れてくれた相手だった。
「お取込み中の所悪いが、ザイダはクレと一緒に買い出しに行ってこい」
エイブは、ハッとしてザイダを離す。トンマーゾは腕を組みニヤニヤと二人を見ていた。
「はい。行って来ます」
ザイダは頬を染め、小走りで部屋を出て行った。
「お前も現金な奴だな」
「………」
トンマーゾは、壁に立てかけてあったラグをベットの横に広げる。
「もしかしてそこに魔法陣を描くの?」
「あぁ。毎回描くのも面倒なんでな。そうする事にした。お前は描いている間もう少し寝ていろ。そんな体なのに長い間精神を飛ばしていたんだろう?」
そう言われなくとも寝ると思う程、エイブは眠気に襲われる。
「それ、俺のだったら音も聞こえる様に描いておいて。聞こえないのは不便……」
「めんどくせい注文だな……。って寝たのかよ。結構薬が効く体質だなこいつは……」
そう言うとトンマーゾは、エイブからラグに目を移した。
「おぉ、起きたか?」
その声に顔を向けると、トンマーゾがエイブに近づいて来て、ベットの端に座り足を組んだ。
「少し薬が強かったか? ぐっすりだったな」
「……なんで殺さないんだ」
「そんなの利用価値があるからだろう?」
トンマーゾがニヤッと、冗談っぽく言う。
「利用価値って……もうないだろう?」
トンマーゾはエイブの顔を覗き込む。
「魔力が練れないか?」
「やっぱり! 俺に何かしたな! 薬に何を混ぜたんだ!」
肩肘を付いて上半身を少し起こし、もう片方の手でエイブはトンマーゾの腕を掴んで叫ぶ様に言った!
「薬? お前、薬は最初の一回ぐらいしか飲んでないだろうが。ちゃんと飲んでいれば、今頃はだいぶ動けるようになっていたのになぁ」
「じゃ、何に混ぜて……」
エイブが睨む様にトンマーゾを見るとニヤッとして答える。
「お前が毎回、飲み干していたモノだよ」
エイブは、目を見開く。
「水? あの水に薬を混ぜてあったのか……」
「いや、薬は混ぜてない」
「じゃ、魔術でもかけて……」
「それもちょっと違うな」
「それじゃ一体何を……」
トンマーゾは、エイブが掴んでいた手を払うと立ち上がって言った。
「内緒だ。知りたければいう事を聞けよ」
「何、言ってるんだよ! そんな事を聞いて言う事をきくとでも思ってるのかよ!」
エイブは、上半身をがばっと起こし、トンマーゾを睨み付ける。
「じゃお前どうするんだ? あの魔術師の王子に助けを求めるか?」
「まさか、今更……。もう殺してくれよ……」
「言っただろう? まだ利用価値があるって」
ベットに片手をついて、トンマーゾはエイブの顔を覗き込んで行言った。
「何をさせたいんだ? 協力しないっていってるだろう?」
「別に大人しくしていればいいさ。お前が魔力を練れるようになるまでな」
トンマーゾは、体を起こし腕を組んで、いつも通りニヤリと言った。
「なるほど。実験体かよ! じゃ、殺したくなるように教えてやるよ! 皇帝を見つけ出した! 今頃は助け出さているさ! ……う」
エイブが言い終わるか終わらないかにトンマーゾは、彼のお腹にパンチを食らわせた!
「ったく。余計な事しやがって!」
エイブは倒れ込み、お腹を押さえて丸くなり呻く。
バンッ!
勢いよくドアが開きザイダが入って来た。
「やめて! エイブさん大丈夫?」
ベットの前に膝を付きエイブを覗き込んで問う。
「君、まさかずっと聞いていて……」
ザイダは、エイブの質問にこくんと頷いた。それを見たエイブは俯いた。
「そう。聞いていたんだ……。わかっただろう? 俺は魔術師だ」
「知ってた……」
「え……」
驚きエイブは、ザイダの顔を見た。
「王宮から逃げ出した時に、俺もお前も魔術師だと教えた上で選択させたんだ。まあ気持ちは揺るがなかったみたいだな。ザイダもティモシーもお前のどこがそんなにいいのかねぇ」
ザイダは、脅されていた訳ではなかった。進んで組織に入っていたのだ。
「……魔術師が嫌いじゃなかったの?」
「そうね。でも、エイブさんはエイブさんよ。魔術師だろうがそうでなかろうが……」
「ザイダさん……」
「で、どうする? 一緒に心中でもするか?」
トンマーゾがそう言うと、エイブはお腹を押さえながら上半身を起こす。
「わかったよ。協力するよ。でも、ザイダさんには手を出さないって約束してよ」
「お前がちゃ~んと良い子にしていれば、何もしない。って俺は、お前よりザイダの方を信用してるぐらいだぜ」
ニヤッとして、トンマーゾはそうエイブに返した。
「話はついた?」
そう部屋に入って来たのは、クレだ。
「おう。クレちょっと向こうで話がある。ザイダ、そこの薬飲ませておけよ。もう普通の水しか飲ませないから安心しろ」
トンマーゾは、そう言ってクレと一緒に部屋を出て行った。
言われた通りテーブルの上にあった薬をザイダは取りに行く。そして、水と一緒にエイブに渡す。
「はい。飲んで早く良くなって!」
「ありがとう」
エイブは、笑顔で受け取ると、薬と水を飲みほした。
空になったコップを受け取ろうとするザイダをグイッと引っ張り、エイブは彼女を抱きしめる。
「ごめん。君の未来を奪ってしまって……」
ザイダは、ううんと首を横に振る。
「傍に入れるだけで幸せ……」
「……ありがとう」
エイブが国を出てから初めて魔術師だと知っても受け入れてくれた相手だった。
「お取込み中の所悪いが、ザイダはクレと一緒に買い出しに行ってこい」
エイブは、ハッとしてザイダを離す。トンマーゾは腕を組みニヤニヤと二人を見ていた。
「はい。行って来ます」
ザイダは頬を染め、小走りで部屋を出て行った。
「お前も現金な奴だな」
「………」
トンマーゾは、壁に立てかけてあったラグをベットの横に広げる。
「もしかしてそこに魔法陣を描くの?」
「あぁ。毎回描くのも面倒なんでな。そうする事にした。お前は描いている間もう少し寝ていろ。そんな体なのに長い間精神を飛ばしていたんだろう?」
そう言われなくとも寝ると思う程、エイブは眠気に襲われる。
「それ、俺のだったら音も聞こえる様に描いておいて。聞こえないのは不便……」
「めんどくせい注文だな……。って寝たのかよ。結構薬が効く体質だなこいつは……」
そう言うとトンマーゾは、エイブからラグに目を移した。
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