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第十三章 嘘に紛れた思惑
第百五十話
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ティモシーが目を覚ますとそこは見た事がない部屋だった。
(あれ? 俺、生きてる?)
体を起こそうと手に力を入れると、右肩付近に激痛が走る。
「っいった……」
前襲われた時の傷がと思ったが、反対側の肩の下らへんに包帯が巻いてあるのに気が付き、商人に切りつけられた事を思い出した。
左手だけで体を起こし、辺りを見渡す。
ベットが二つ。それ以外にあるとすれば、ベットの間にテーブルがありそこに照明が置いてあるだけ。
窓からは森の木しか見えない。
病院でもなさそうだと思った時、ドアが開いた。
「ティモシーさん起きた? 起き上がって大丈夫?」
「エイブさん!」
「おぉ、起きたか?」
声を聞きつけたのかトンマーゾも顔を出す。
(トンマーゾさん! じゃここは、魔術師の組織のアジト!)
「エイブさんが生きてた! よかったぁ!」
「何言ってるの? それはこっちの台詞だよ」
「お前、殺されかけたんだぞ」
それを聞きハッとする。途中から記憶が曖昧だが、商人に切り付けられた事は事実だ。
「トンマーゾさんにまた助けて貰ったんだ、俺……」
「トンマーゾさんって、助けたの俺だけど、覚えていない?」
エイブは不服とばかりティモシーに言う。
(あれは夢じゃなくて現実!?)
エイブに手を引かれ走った事は夢だと思っていた。でも不思議な事に森の中を走った記憶がないのである。
「えっと。ごめんなさい。記憶が曖昧で……。助けてくれてありがとう」
「まあ、痺れ薬がナイフに塗られていたみたいだからな。少しでもタイミングがずれていたらお前は刺されて死んでいたな」
体が動かなくなったのは、痺れ薬のせいだったのかとティモシーは納得する。
「俺がいう事じゃないけど知らない人について行っちゃだめだよ。相手は下心があって誘っているんだから。男だと気づけば、そりゃ逆上もするよ」
「え?! 俺、気づかれたから襲われたの?」
大抵の者は、ティモシー自身が男だと言った所で信じない。何故バレたのだろうと凄く驚いた。
「多分違うだろうな。あいつは身分を証明する物を持っていなかった」
腕を組み壁に寄しかかり、相変わらず偉そうにトンマーゾは言った。
「何それ。俺を見張っていたわけ?」
「一応な。一緒に逃亡の恐れもないとは言えないしな」
「ふ~ん。まあ、いいや。疑われているのは前からだし。ところでさっき、また助けてもらったって言っていたよね? 襲われた事あったの?」
エイブは、ジッとティモシーを見つめる。
「えっと……」
「どうやらハルフォード国に狙われているらしいな。何故狙われているかは知らないがな」
「嘘。知っている癖に!」
ティモシーは俯いて叫び、その後トンマーゾを睨んだ――。
(あれ? 俺、生きてる?)
体を起こそうと手に力を入れると、右肩付近に激痛が走る。
「っいった……」
前襲われた時の傷がと思ったが、反対側の肩の下らへんに包帯が巻いてあるのに気が付き、商人に切りつけられた事を思い出した。
左手だけで体を起こし、辺りを見渡す。
ベットが二つ。それ以外にあるとすれば、ベットの間にテーブルがありそこに照明が置いてあるだけ。
窓からは森の木しか見えない。
病院でもなさそうだと思った時、ドアが開いた。
「ティモシーさん起きた? 起き上がって大丈夫?」
「エイブさん!」
「おぉ、起きたか?」
声を聞きつけたのかトンマーゾも顔を出す。
(トンマーゾさん! じゃここは、魔術師の組織のアジト!)
「エイブさんが生きてた! よかったぁ!」
「何言ってるの? それはこっちの台詞だよ」
「お前、殺されかけたんだぞ」
それを聞きハッとする。途中から記憶が曖昧だが、商人に切り付けられた事は事実だ。
「トンマーゾさんにまた助けて貰ったんだ、俺……」
「トンマーゾさんって、助けたの俺だけど、覚えていない?」
エイブは不服とばかりティモシーに言う。
(あれは夢じゃなくて現実!?)
エイブに手を引かれ走った事は夢だと思っていた。でも不思議な事に森の中を走った記憶がないのである。
「えっと。ごめんなさい。記憶が曖昧で……。助けてくれてありがとう」
「まあ、痺れ薬がナイフに塗られていたみたいだからな。少しでもタイミングがずれていたらお前は刺されて死んでいたな」
体が動かなくなったのは、痺れ薬のせいだったのかとティモシーは納得する。
「俺がいう事じゃないけど知らない人について行っちゃだめだよ。相手は下心があって誘っているんだから。男だと気づけば、そりゃ逆上もするよ」
「え?! 俺、気づかれたから襲われたの?」
大抵の者は、ティモシー自身が男だと言った所で信じない。何故バレたのだろうと凄く驚いた。
「多分違うだろうな。あいつは身分を証明する物を持っていなかった」
腕を組み壁に寄しかかり、相変わらず偉そうにトンマーゾは言った。
「何それ。俺を見張っていたわけ?」
「一応な。一緒に逃亡の恐れもないとは言えないしな」
「ふ~ん。まあ、いいや。疑われているのは前からだし。ところでさっき、また助けてもらったって言っていたよね? 襲われた事あったの?」
エイブは、ジッとティモシーを見つめる。
「えっと……」
「どうやらハルフォード国に狙われているらしいな。何故狙われているかは知らないがな」
「嘘。知っている癖に!」
ティモシーは俯いて叫び、その後トンマーゾを睨んだ――。
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