【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第十四章 パンドラの箱

第百六十七話

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 追われる身。それは思いもしない事だった。

 「それと彼女は私の国の者ではなく、サラスチニ国の者です。まあ、同じようなものですがね……」
 「同じようなものですか……」

 ミュアンは頷いた。

 「これからどうして私が追われる身になったのかお話しします。そして、エイブとティモシーに手伝ってもらいたい事もお話しします」

 またミュアンは、真面目な顔になった。皆が注目する中、彼女は静かに口を開いた――。



 チミキナスナ国とサラスチニ国は、鎖国しても結界内だった為行き来が出来た。二国は、ある取り決めをしていた。それは、魔術師の血を絶やさぬ様に両国の魔術が優秀な者を嫁がせる事だった。こうして、二国は魔術師を絶やさぬようにしたのである。
 それは、十八年前まで続けられた。チミキナスナ国は、長い年月の間にラミアズア国と言う国名に変わっていた。
 十八年前、コーデリアはラミアズア国の王子と婚約が決まっていた。彼女は婚約時からラミアズア国の城内を訪れていた。勿論、ミュアンとも面識があった。
 そして、ラミアズア国からはヘルムートという男性だった。サラスチニ国は、その時代に王女しかいなかった。彼もまたサラスチニ国の城内を訪れていた。
 両国の関係は良好に見えた。だが思わぬ事が起きた! コーデリアとヘルムートが恋仲になったのだ! 激怒したサラスチニ国王は、二人を殺そうとする。慌てて二人は逃げ出した。
 しかしこれは口封じだった。サラスチニ国は、コーデリアに魔法陣の情報を収集するように命令していた。それをラミアズア国が気づいた。サラスチニ国は、証拠隠滅の為に先手を打ったのである。
 危機を察知したラミアズア国王は、ミュアンにある事を託した。彼女はこっそりと国を抜け出し二人を追った。
 ミュアンは運よく二人と接触する事が出来た。そして二人に協力を煽った。それは、あの『魔力』の封印の解除だった。三人でトライアングルを使って魔法陣を展開すると同時に、マジックアイテムを使い、封印を解除した魔力を散布するつもりだった。
 昔やった事を行い、今度は自分達を含め魔力を練れなくし、完全に魔術師をいなくしようと考えていた。そうしなければ、サラスチニ国による世界独裁が始まる。
 サラスチニ国は、封印した魔力の研究を密かに行っていた。ラミアズア国は、それを察知して探りを入れていた所、コーデリアがスパイ行為をしている事に気が付いたのだ。コーデリアがスパイだと気づいた事にサラスチニ国に気が付かれ、もう両国の関係は保てない。そうラミアズア国王は判断したのだ。だからこれしかなかった。
 だがコーデリアは、協力出来ないと言った。コーデリアが反対するとヘルムートも反対するのだった。そうこうしているうちに、追手が来てミュアン達はちりじりになった。
 途方に暮れたミュアンはエクランド国に流れ着いた。ミュアンも薬師の心得があった。今や一番多い職業だった。ミュアンは、薬師の試験を受け薬師になりエクランド国で密かに暮らしていた。
 だが自国の滅亡が耳に届いた。自分だけ生き残り、託された事も出来ないままだ。ミュアンは、自害しようと思い立つが、それを止めたのがオズマンドだった。そして二人が恋仲になるのには時間はかからなかった。
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