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第十二章 たがう二人の王子
第百四十三話
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「お騒がせして申し訳ありません。陛下、これはミュアンさんの願いでもあるのです」
「え、母さんの?」
レオナールは頷く。
「私の国に続いてヴィルターヌ帝国に襲われない様にする為の策でもあるでしょう。自分の身を守れれば、他の者を命を狙おうとしないと考えたのでしょう。浅ましいですが、それに私も便乗しようと思っております」
「父上がティモシー達を襲うと?」
今度はイリステーナが聞くと、またレオナールは頷いた。
「ないとは言い切れません。現に私の父上が襲ったのですから……。私は今、父上に会う事が出来ません。聞きたくとも魔術師の組織の事も、邪なる物の事も聞く事が出来ないのです。ミュアンさんも話して下さらない。もう皇帝に聞くしかないのです。皇帝がこの結界を望むなら少しは話を聞けるかもしれません……」
「なるほど。その手があったな。よし、わかった。ではこうしよう。レオナール殿は我が国の馬車でルーファスと一緒に向かってもらう。だがこれは、我が国がヴィルターヌ帝国と協定を結ぶ為に向かう。……表向きはな」
「ありがとうございます! 陛下」
「あの協定を結ぶのですか?!」
レオナールはグスターファスに深々と頭を下げるが、ブラッドリーは溜息をつく。
イリステーナは、提案の内容に驚いていた。実はあの協定内容は、彼女が作り勝手にハンを押した物だった。これは、グスターファスにも正直に話してあった。
「勿論、協定の内容は少し変えさせて頂く。その旨も伝えそちらで協議して頂きたい」
「わかりました……」
イリステーナは頷いた。
「レオナール殿。今回表向きはとなってはいるが、同意があれば本当に協定を結ぶ事になるがよろしいか?」
「なぜ、私に許可を……」
グスターファス言葉に驚いてそうレオナールは返した。
「今回、あなたの国との協定は解約された。もし事が落ち着いたとしてもまた協定を結ぶのには、ヴィルターヌ帝国も交える事になるだろう」
「構いません。それは仕方がない事ですので……。私としては、このようなご配慮をありがたく思います。必ず魔術師の組織の情報を持って戻ってまいります!」
「宜しく頼む」
「はい」
レオナールは、もう一度グスターファスに頭を下げた。
「イリステーナ殿達は、先に国に戻りこの作戦を伝え、魔法陣を描く準備をしておいてほしい。魔術師の者は付けられないが、数人護衛をつけよう。宜しく頼むな」
「はい。父上にご報告し協力を仰ぎます!」
イリステーナは、力強く頷いた。
「ルーファス。うまく頼むぞ」
「お任せ下さい。父上」
「ランフレッド。ルーファスを宜しくな」
「はい。お任せください!」
「で、ブラッドリー。あなたはどう致す? レオナール殿と一緒に向かうのなら許可するが……」
「……ついて参ります。ご配慮ありがとうございます」
ブラッドリーも深くグスターファスに頭を下げた。
事は上手く纏まり、イリステーナとフレアは、午前中の内に自国に向かった。そして午後、レオナールとブラッドリーもこっそりと乗り入れ、エクランド国の馬車はヴィルターヌ帝国に向かった。
ティモシーはダグに託されるが、今まで通り二人は仕事をすればいいだけだった。
「え、母さんの?」
レオナールは頷く。
「私の国に続いてヴィルターヌ帝国に襲われない様にする為の策でもあるでしょう。自分の身を守れれば、他の者を命を狙おうとしないと考えたのでしょう。浅ましいですが、それに私も便乗しようと思っております」
「父上がティモシー達を襲うと?」
今度はイリステーナが聞くと、またレオナールは頷いた。
「ないとは言い切れません。現に私の父上が襲ったのですから……。私は今、父上に会う事が出来ません。聞きたくとも魔術師の組織の事も、邪なる物の事も聞く事が出来ないのです。ミュアンさんも話して下さらない。もう皇帝に聞くしかないのです。皇帝がこの結界を望むなら少しは話を聞けるかもしれません……」
「なるほど。その手があったな。よし、わかった。ではこうしよう。レオナール殿は我が国の馬車でルーファスと一緒に向かってもらう。だがこれは、我が国がヴィルターヌ帝国と協定を結ぶ為に向かう。……表向きはな」
「ありがとうございます! 陛下」
「あの協定を結ぶのですか?!」
レオナールはグスターファスに深々と頭を下げるが、ブラッドリーは溜息をつく。
イリステーナは、提案の内容に驚いていた。実はあの協定内容は、彼女が作り勝手にハンを押した物だった。これは、グスターファスにも正直に話してあった。
「勿論、協定の内容は少し変えさせて頂く。その旨も伝えそちらで協議して頂きたい」
「わかりました……」
イリステーナは頷いた。
「レオナール殿。今回表向きはとなってはいるが、同意があれば本当に協定を結ぶ事になるがよろしいか?」
「なぜ、私に許可を……」
グスターファス言葉に驚いてそうレオナールは返した。
「今回、あなたの国との協定は解約された。もし事が落ち着いたとしてもまた協定を結ぶのには、ヴィルターヌ帝国も交える事になるだろう」
「構いません。それは仕方がない事ですので……。私としては、このようなご配慮をありがたく思います。必ず魔術師の組織の情報を持って戻ってまいります!」
「宜しく頼む」
「はい」
レオナールは、もう一度グスターファスに頭を下げた。
「イリステーナ殿達は、先に国に戻りこの作戦を伝え、魔法陣を描く準備をしておいてほしい。魔術師の者は付けられないが、数人護衛をつけよう。宜しく頼むな」
「はい。父上にご報告し協力を仰ぎます!」
イリステーナは、力強く頷いた。
「ルーファス。うまく頼むぞ」
「お任せ下さい。父上」
「ランフレッド。ルーファスを宜しくな」
「はい。お任せください!」
「で、ブラッドリー。あなたはどう致す? レオナール殿と一緒に向かうのなら許可するが……」
「……ついて参ります。ご配慮ありがとうございます」
ブラッドリーも深くグスターファスに頭を下げた。
事は上手く纏まり、イリステーナとフレアは、午前中の内に自国に向かった。そして午後、レオナールとブラッドリーもこっそりと乗り入れ、エクランド国の馬車はヴィルターヌ帝国に向かった。
ティモシーはダグに託されるが、今まで通り二人は仕事をすればいいだけだった。
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