【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜

大森 樹

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『レベッカ、この国では髪は女の命と言うでしょう?』

『うん』

『それは本当なの。だから、絶対に……絶対に自分の髪は大事にして。何があっても勝手に切ってはいけないわ』

 それは幼い頃に、何度も何度もお母様が口煩く私に繰り返し言った言葉だ。その時はそのことの本当の意味を理解していなかったけれど、あまりに真剣なお母様の様子に『わかった』と頷いていた。

 ――髪は女の命。

 お母様、その通りね。この国で長く艶のある髪は素敵な女性の象徴。美しさと同等の意味もある。



「大事だからこそ、今使うべきだわ」



 きっとあなたは、何てことをしたんだって怒るでしょうね。だけど、いいの。あなたのために使うなら本望だから。あなたにはその価値がある。

「どうか幸せになって」

 お父様、お母様……約束を破ってごめんなさい。私自身が望んだのだから泣かないで。お兄様……怒らないで私の気持ちをわかって欲しい。

 ――自分より大事なものができた。それだけ。

 生きていてそんな人に出逢えた私はとても幸せだったと思う。私は迷うことなく、髪をバッサリと切り落とした。


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