幸せな存在 ~歩み寄る恋をしよう~

志生帆 海

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成就編

深まる絆 1

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 季節は10月になっていた。

 朝晩の冷え込みが増してきて、布団から出るのが、少しずつ億劫になってくる時期だ。

 宗吾さんとふたりで一晩かけて生み出した布団の中のぬくもりが良すぎて、困ってしまう。

「ん……おはよう、瑞樹」
「おはようございます。宗吾さん」

『お・は・よ・う』のキスから始まる平日の朝。
 
 まずは窓を開けて深呼吸をし、それから洗面所に行って洗濯機を回し寝室を整え、芽生くんを起こしにいく。

「芽生くん、おはよう! 」

 まだ眠たそうに眼を擦る芽生くんと一緒に洗顔や歯磨きをして、その後は朝食の仕度を手伝う。

 朝の定時ニュースを観ながら、卵焼きとトーストを食べて、牛乳をたっぷり注いだコーヒーを飲む。あ、宗吾さんはブラックで!

 その後、芽生くんは幼稚園の制服に。最近はひとりで着替えてくれるようになったから助かっているんだ。

 幼稚園は給食と弁当の半々だ。今日は弁当の日だから、朝食と一緒に作った具材を丁寧に詰めて行く。

 芽生くんが背伸びして、にっこり微笑む。

「おにいちゃん、今日は車のがいい~」
「いいよ!」
 
 デコ弁は無理だから、既製品の子供用にカットされた海苔をのせたら完成だ。

「宗吾さん、僕、今のうちに洗濯を干してきますね」
「おう! 悪いが仕事のメールをしたいんだが」
「いいですよ! まだ時間ありますし」

 ベランダで洗濯物を干しながら、僕はもう一度深呼吸をして空を仰ぎ見た。

「空が高い……また一段と秋が深まったようだ」

 9月の連休に広樹兄さんの結婚式のために帰省し、その後宗吾さんと芽生くんと合流して、帯広から旭川までゆっくりと旅をした。

 そう言えば、僕たちは付き合いだしてから、いろんな場所へ旅行した。昨年の夏には葉山、今年は5月に函館へ帰省、6月に北鎌倉の月影寺に1泊……その中でも……今回は本当に旅行らしい旅行だった。

 日常生活から解き放たれ、3人の家族という小さな単位で移動し観光したので、何気ない行動の全てが愛おしかった。

「みーずき、いつまで干している? 遅刻するぞ」
「あっすみません」
「ン? 俺のパンツまた握ってるぞ」
「え! あ、つい癖で……じゃなくて! もうっ」

 いつの間にか握りしめていた宗吾さんのパンツは、一番目立つ所に干してやった。

 そのままバタバタと自室でスーツに着替えていると、宗吾さんが身支度を整えて入って来た。

「あと何分ですか」
「ん、あと10分だ」
「急がないと」
「おい、ネクタイがよれているぞ」
「あ、本当だ」
「鏡を見てやればいいのに」
「すみません」
「いや、ここで着替えてくれるのがいいよ」

 宗吾さんは後ろ手でドアをいつものように閉めて、僕の腰を抱いてくる。

「あ、あの?」
「ん? 栄養をくれないか」
「えっ」

 そのまま、躊躇いもなく口づけされる。これから出社するのに、こんなことしていいのかと思いつつ……朝の挨拶のキスでは物足りなくて、僕も彼を受け入れてしまう。

「ん……ふっ」

 リビングからテレビの音と溌溂とした歌声が聞こえてくる中、次第に僕からも宗吾さんを求めてしまう。

「ん……もう、そろそろ」

 彼の手が腰からヒップに滑り降りたタイミングで、身を捩ってしまった。

 だって、これ以上は危険行為だ。

「え、ここまで? 」
「す、すみません。僕……最近……更に過敏になったようで、その……困るんです」

 これ以上の触れ合いは下半身に直結してしまうので、駄目だ!

「うう……過敏になってくれるのは嬉しいが、……また寸止めだ。何かを思い出すぞ、この疼きは過去の何かを……」
「くすっ、あの、続きは週末まで待って下さいね」
「分かっているよ。その代わり覚悟しておけよ」

 気を取り直した宗吾さんが快活に笑ったので、迂闊にも見惚れてしまう。

 今日も男気溢れるよな。

 宗吾さんってスーツが本当によく似合う。

「おう! よーし、今日も頑張ろう!」
「はい!」

 お互いスーツをパリッと着こなして、芽生くんと一緒に家を出る。


 
 これがドタバタな僕の日常、朝のルーティン。

 忙しくも充実した時間を、相変わらず過ごしている。

 実りの秋には、家族のイベントも多い。

 運動会に参観日、それからハロウィンと、そうそう仕事も結婚式とハロウィンで、秋は大忙しだ。

 公私に渡って、充実した月間の到来だ。

 僕も頑張ろう。今出来ることを、目の前のことを、まずはしっかり一つ一つ丁寧にこなしていきたい。

「瑞樹、どうした? 遅刻するぞ」
「あっ、はい!」












あとがき(不要な方はスルーしてください)






*****

こんにちは。志生帆 海です。今日から新しい段に入ります。

秋は家族のイベントが多いですね。

物語は宗吾さんファミリーの日常メインに暫くなります。緩急のない展開かもしれませんが、1日の終わりに読むとほっこりできるような、お話を目指してみます。

クスッと笑ったり萌えていただけたら嬉しいです。更新の励みなので感謝の気持ちでいっぱいです!!

皆さんも実りの秋を満喫してください。

大変な世の中ですが、出来ることを出来る範囲で……

でもお話の世界では通常通り、触れ合いまくります!

 

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