3 / 22
過保護の社長2
しおりを挟む
「失礼します……」
中に入るとワークチェアに座っていた優が凛子の姿を確認すると優しく微笑み立ち上がった。
「凛子、入社おめでとう。よく頑張ったね」
優は凛子の目の前に立ち、嬉しそうに凛子の頭を撫でた。
「社長。あ、ありがとうございます」
「社長だなんて他人行儀だな。いつものように名前で呼んでくれ」
身長の高い優は腰を曲げて凛子の顔を覗き込んだ。
「優ちゃん。ありがとう。そしてよろしくお願いします」
「うん。凛子のこれからの活躍、期待しているよ。念願の社会人だもんな」
「優ちゃんの力になれるように頑張るね」
優は目を細めて「あぁ」と頷いた。優は周りからクールだの、冷徹だのと冷めた印象を持たれやすいが凛子はそう思った事は一度もない。キリッとした瞳は笑うと優しくなる。凛子、凛子と優しい声で名前を呼んでくれる。凛子がまだ学生の時は勉強を教えてくれて、正解すると優は凛子の頭を優しく撫でながら「よくできました」と褒めてくれた。美味しいご飯だって何度も作ってもらったことがある。とにかく凛子は優に対してクールなイメージは一つもないのだ。
凛子の中で優は常に自分の中で大切で一番の存在。優を好きだという気持ちは息をするように当たり前のこと。もし、優に対しての好きという気持ちを諦めなければならなくなった時、自分はきっと深い深い海の底に沈んでいくように息が吸えずにもがくだろう。上にあがりたい、優に助けてくれと手を伸ばしてしまう自分を想像できてしまう。
優が自分に優しくしてくれるのは妹のような存在だから。それは十分に分かっている。でも、やっと優と少しでも並べる社会人になったのだ。少しくらい大人扱いしてもらいたいと凛子は思った。
「凛子は広報部に配属になったんだよな? もし、なにか困ったことがあったらすぐに俺に言うんだよ。必ず助けてあげるから」
「優ちゃん……」
凛子は唇をきゅっと噛む。お兄ちゃんのような言葉に嬉しさと悔しさが入り交じる。キュンとする大人の余裕を感じる言葉だが、やはり子供扱いされている気がして凛子は素直にありがとうが言えなかった。
「本当優は凛子ちゃんに対して過保護なんだよな~」
ガチャット扉が開き、優の第一秘書、村上一樹(むらかみかずき)が社長室に入ってきた。茶髪の髪を短く切りそろえた一樹は見た目は優とは正反対の爽やか系。一樹も優同様、凛子の記憶ではモテているイメージしかなく、一樹は優の二個年下で高校時代の後輩だ。年齢差関係なく優と一樹はフラットな関係を築いている。
「あっ、一樹くんっ……じゃなくて、村上さん。お久し振りです」
「凛子ちゃん久しぶり~! 普通に今まで通り一樹くんでいいから。それより、念願の就職おめでとう。念願の大人の女に一歩近づいたな!」
一樹は凛子に向かってパチンとウインクをした。一樹は凛子が優のことを好きなことを知っている。むしろ凛子の気持ちを知らないのは鈍感な優、本人くらいだ。
麗奈は自分だけが蚊帳の外が面白くないのか、キッと鋭い眼光で凛子を人睨みしてからふらっと社長室を出ていった。
「一樹、お前はもういいから仕事に戻れ」
優は一樹に冷たく言い放つ。こういうところが他人には冷徹に見えてしまう所なのだろう。言われた一樹は何も気にせず「はいよ~」と明るく軽い返事で社長室を出ていった。
中に入るとワークチェアに座っていた優が凛子の姿を確認すると優しく微笑み立ち上がった。
「凛子、入社おめでとう。よく頑張ったね」
優は凛子の目の前に立ち、嬉しそうに凛子の頭を撫でた。
「社長。あ、ありがとうございます」
「社長だなんて他人行儀だな。いつものように名前で呼んでくれ」
身長の高い優は腰を曲げて凛子の顔を覗き込んだ。
「優ちゃん。ありがとう。そしてよろしくお願いします」
「うん。凛子のこれからの活躍、期待しているよ。念願の社会人だもんな」
「優ちゃんの力になれるように頑張るね」
優は目を細めて「あぁ」と頷いた。優は周りからクールだの、冷徹だのと冷めた印象を持たれやすいが凛子はそう思った事は一度もない。キリッとした瞳は笑うと優しくなる。凛子、凛子と優しい声で名前を呼んでくれる。凛子がまだ学生の時は勉強を教えてくれて、正解すると優は凛子の頭を優しく撫でながら「よくできました」と褒めてくれた。美味しいご飯だって何度も作ってもらったことがある。とにかく凛子は優に対してクールなイメージは一つもないのだ。
凛子の中で優は常に自分の中で大切で一番の存在。優を好きだという気持ちは息をするように当たり前のこと。もし、優に対しての好きという気持ちを諦めなければならなくなった時、自分はきっと深い深い海の底に沈んでいくように息が吸えずにもがくだろう。上にあがりたい、優に助けてくれと手を伸ばしてしまう自分を想像できてしまう。
優が自分に優しくしてくれるのは妹のような存在だから。それは十分に分かっている。でも、やっと優と少しでも並べる社会人になったのだ。少しくらい大人扱いしてもらいたいと凛子は思った。
「凛子は広報部に配属になったんだよな? もし、なにか困ったことがあったらすぐに俺に言うんだよ。必ず助けてあげるから」
「優ちゃん……」
凛子は唇をきゅっと噛む。お兄ちゃんのような言葉に嬉しさと悔しさが入り交じる。キュンとする大人の余裕を感じる言葉だが、やはり子供扱いされている気がして凛子は素直にありがとうが言えなかった。
「本当優は凛子ちゃんに対して過保護なんだよな~」
ガチャット扉が開き、優の第一秘書、村上一樹(むらかみかずき)が社長室に入ってきた。茶髪の髪を短く切りそろえた一樹は見た目は優とは正反対の爽やか系。一樹も優同様、凛子の記憶ではモテているイメージしかなく、一樹は優の二個年下で高校時代の後輩だ。年齢差関係なく優と一樹はフラットな関係を築いている。
「あっ、一樹くんっ……じゃなくて、村上さん。お久し振りです」
「凛子ちゃん久しぶり~! 普通に今まで通り一樹くんでいいから。それより、念願の就職おめでとう。念願の大人の女に一歩近づいたな!」
一樹は凛子に向かってパチンとウインクをした。一樹は凛子が優のことを好きなことを知っている。むしろ凛子の気持ちを知らないのは鈍感な優、本人くらいだ。
麗奈は自分だけが蚊帳の外が面白くないのか、キッと鋭い眼光で凛子を人睨みしてからふらっと社長室を出ていった。
「一樹、お前はもういいから仕事に戻れ」
優は一樹に冷たく言い放つ。こういうところが他人には冷徹に見えてしまう所なのだろう。言われた一樹は何も気にせず「はいよ~」と明るく軽い返事で社長室を出ていった。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
わたしの愉快な旦那さん
川上桃園
恋愛
あまりの辛さにブラックすぎるバイトをやめた。最後塩まかれたけど気にしない。
あ、そういえばこの店入ったことなかったな、入ってみよう。
「何かお探しですか」
その店はなんでも取り扱うという。噂によると彼氏も紹介してくれるらしい。でもそんなのいらない。彼氏だったらすぐに離れてしまうかもしれないのだから。
店員のお兄さんを前にてんぱった私は。
「旦那さんが欲しいです……」
と、斜め上の回答をしてしまった。でもお兄さんは優しい。
「どんな旦那さんをお望みですか」
「え、えっと……愉快な、旦那さん?」
そしてお兄さんは自分を指差した。
「僕が、お客様のお探しの『愉快な旦那さん』ですよ」
そこから始まる恋のお話です。大学生女子と社会人男子(御曹司)。ほのぼのとした日常恋愛もの
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる