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子供扱いしないでよ2
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リビングのドアを開けるとすき焼きの甘辛い匂いがふわっと鼻腔を刺激する。匂いのせいでお腹の虫も刺激されたようだ。ぐぅ~っと小さく腹の虫が鳴った。
「わぁ~いい匂い。お腹すいた! 優ちゃんありがとう」
凛子も優とは何もなかったかのように座布団の上に座りお箸を持った。
「いいんだよ。俺も肉が食べられて一石二鳥なんだから」
「ははっ、そっか。ならいいね。じゃあいただきまーす」
まずは生卵も何もつけずにお肉だけで。ふるふると脂がのった綺麗なお肉を口の中に凛子はダイブさせた。
「んぅぅ~、とろけるぅ~。優ちゃんも早く食べてみて。とろけるよ」
「あぁ。じゃあ頂こうかな。……うん、凛子の言う通りとろけるな」
「もう凛子ったら、優くんより先に食べて! ってことでかんぱーい」
プッシュっと開けた缶ビールのいい音に、グビグビプハーとビールのCMのような飲み方でご機嫌な母親は一口飲んだだけで頬を赤く染めている。
「もう。お母さんったらお酒弱いんだから程々にしなよ」
凛子は母親に注意しながらもお肉を食べることだけは止めない。美味しい、美味しいと三人で食べていたらあっという間にお肉も野菜もなくなってしまい、母親は満腹とお酒の力でいつの間にかテーブルに突っ伏しながら寝てしまっていた。
「だから程々にしなって言ったのに。お母さんったら。これなかなか起きないやつだよ絶対」
「だな。凛子ママ一回寝るとなかなか起きないもんな。寝室に運んであげよう。凛子も手伝って」
「あっ、うん」
手伝ってと言う割に優は軽々と母親を持ち上げ、お姫様抱っこで寝室まで運んだ。羨ましいなぁ、と思いつつ凛子が急いで敷いた布団の上に優は母親をそっとおろした。
「凛子、シーだよ」
優が人差し指を凛子の口元に当てる。ちょんと触れた指先にドクンと凛子の心臓が高鳴った。ほんの少し、自分に優が触れてくれることが嬉しい。けれど優は凛子の唇に自分の指が軽く触れたとしても何も気にしていない。今度はズキッと心臓が痛む。
「わかってるよ」
凛子は唇を尖らせながら小声で頷いた。
凛子と優は起きないとわかっていても抜き足忍び足で寝室から抜け出す。
「優ちゃん、ありがとう。お母さん重かったでしょう?」
リビングに戻り新しい麦茶をグラスに入れた凛子は座っている優の前にそっと麦茶を置いた。
「重くなかったよ。それを凛子ママが聞いたら絶対怒るぞ?」
「だ、だね。絶対秘密にして。じゃあ、優ちゃんタクシーで帰るよね? すぐに呼ぶよ」
凛子は座布団には座らず、立ったままスマホ画面でタクシーの番号を出した。いつも優が使っているタクシー会社の電話番号は凛子も登録済みだ。右人差し指でタップしようとしたが、パシンッと右腕を優に掴まれた。驚いて凛子は優を見ると、真剣な眼差しで優は凛子を見上げている。
「わぁ~いい匂い。お腹すいた! 優ちゃんありがとう」
凛子も優とは何もなかったかのように座布団の上に座りお箸を持った。
「いいんだよ。俺も肉が食べられて一石二鳥なんだから」
「ははっ、そっか。ならいいね。じゃあいただきまーす」
まずは生卵も何もつけずにお肉だけで。ふるふると脂がのった綺麗なお肉を口の中に凛子はダイブさせた。
「んぅぅ~、とろけるぅ~。優ちゃんも早く食べてみて。とろけるよ」
「あぁ。じゃあ頂こうかな。……うん、凛子の言う通りとろけるな」
「もう凛子ったら、優くんより先に食べて! ってことでかんぱーい」
プッシュっと開けた缶ビールのいい音に、グビグビプハーとビールのCMのような飲み方でご機嫌な母親は一口飲んだだけで頬を赤く染めている。
「もう。お母さんったらお酒弱いんだから程々にしなよ」
凛子は母親に注意しながらもお肉を食べることだけは止めない。美味しい、美味しいと三人で食べていたらあっという間にお肉も野菜もなくなってしまい、母親は満腹とお酒の力でいつの間にかテーブルに突っ伏しながら寝てしまっていた。
「だから程々にしなって言ったのに。お母さんったら。これなかなか起きないやつだよ絶対」
「だな。凛子ママ一回寝るとなかなか起きないもんな。寝室に運んであげよう。凛子も手伝って」
「あっ、うん」
手伝ってと言う割に優は軽々と母親を持ち上げ、お姫様抱っこで寝室まで運んだ。羨ましいなぁ、と思いつつ凛子が急いで敷いた布団の上に優は母親をそっとおろした。
「凛子、シーだよ」
優が人差し指を凛子の口元に当てる。ちょんと触れた指先にドクンと凛子の心臓が高鳴った。ほんの少し、自分に優が触れてくれることが嬉しい。けれど優は凛子の唇に自分の指が軽く触れたとしても何も気にしていない。今度はズキッと心臓が痛む。
「わかってるよ」
凛子は唇を尖らせながら小声で頷いた。
凛子と優は起きないとわかっていても抜き足忍び足で寝室から抜け出す。
「優ちゃん、ありがとう。お母さん重かったでしょう?」
リビングに戻り新しい麦茶をグラスに入れた凛子は座っている優の前にそっと麦茶を置いた。
「重くなかったよ。それを凛子ママが聞いたら絶対怒るぞ?」
「だ、だね。絶対秘密にして。じゃあ、優ちゃんタクシーで帰るよね? すぐに呼ぶよ」
凛子は座布団には座らず、立ったままスマホ画面でタクシーの番号を出した。いつも優が使っているタクシー会社の電話番号は凛子も登録済みだ。右人差し指でタップしようとしたが、パシンッと右腕を優に掴まれた。驚いて凛子は優を見ると、真剣な眼差しで優は凛子を見上げている。
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