【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん

文字の大きさ
13 / 35

13 悪巧み?

しおりを挟む
(アイリーン)

「このままじゃ~不味いわね。」

私はメルク、ルーン、キュアと顔を見合わせてボソボソと言った。

また勇者様に置いてかれた私達は、イシが洗濯物を干している間、すっかり恒例となっている『勇者様と如何に親密になるか?』を相談する会議の真っ最中で、円になって座っている。

「そうねぇ~思った以上に全然お近づきになれな~い。
一緒に戦っている内に恋心が芽生えるかと思ってたのにぃー。冷たい目で邪魔って言われちゃう。
まぁそんなクールなところも素敵♡」

メルクが手を頬に当ててウットリした顔を見せると、キュアが顎に手を当て、ううーん……と考え込む仕草を見せた。

「せっかく私達は他の女性達を出し抜くためのアドバンテージを手にしたというのに、このままではそれが水の泡ですね~。その他大勢の女性と同じになってしまいます。
どうにか旅を終えるまでに少しでもリードしなければ……。」

勇者様を虎視眈々と狙っている、沢山の美しい女性たちを思い浮かべ、焦る気持ちが芽生えた。

強く美しい完璧な勇者様。
その姿を一目見た者は誰も彼もが彼の虜になる。

それは勿論私も他の仲間達も……。

「…………。」

焦りとモヤモヤとした嫌な感情が、どんどんと心の中に生まれていった。

完璧な勇者様の周りには、常に沢山の女性達が群がり、それを出し抜くのは中々難しい。
しかし、なんと神託にて運良く勇者パーティーの仲間入りできたため、ここで一気にお近づきになりたい、そう思っていたが……。
一切相手にされずに追い払われ続ける日々を思い出し、四人で同時に、はぁぁぁ~……と大きなため息をついた。

愛嬌よく笑ってもダメ。
色仕掛けもダメ。
優しく気遣ってもダメ。
強引に誘ってもダメ。

正直お手上げだ。

「このままじゃ~全然仲が進展する気がしないぜぇ~。
まぁ、あの雑用のおっさんみたいに嫌われてはないけどさ。」

ルーンの言葉を聞いた私たちは、同時に、『あ~……。』と頷いた。

勇者様に与えられるギフト、異世界人は、勇者様が望む物を持ってやってくると言われている。
見た目麗しい美男美女が多い事から、強力なライバルになると思いきや、なんとやって来たのは中年の冴えないおじさんだった。

ホッと胸を撫で下ろしたが、勇者様は相当怒ってしまったらしく、異世界人のイシにそれはもうキツく当たり始めたのだ。
そのあまりの冷たい態度と乱暴な扱いに最初は驚いたが、それが自分ではないことに安堵と優越感を抱く。

「……あのおじさんって、考えてみれば凄いっちゃ凄いわよね~。
私だったら、あんなに酷い扱いされたら話しかけられないわ。」

「たしかにねぇ~。まぁ、鈍いんだと思うわよ?嫌になっちゃう!」

お色気が効かなかったメルクは、ムスッ!としながらおっぱいに手を当てて激しく揺らす。

そのブルンブルンと凄い動きを見せるソレをジッと見ながら、またしても話題は振り出しへ戻り、もう一度全員でため息をつく。

「愛想も色気もダメじゃ何がいいのよ~……。
そもそも勇者様は、ご飯も元々必要ないから料理アピールもダメ!……なのはおじさん見てて分かってるし……。」

頭を悩ませていた、その時、ルーンがポンっ!と手を叩いた。

「あっ!母ちゃんが前父ちゃんに使った手らしいんだけどよ、酔わせて襲うってのはどうだ? 
そのままその日のうちに結婚したらしいぜ!」

ナーハッハッ!と笑いながら言うルーンに、私とキュアはドン引いて、ビシッとルーンを指差す。

「それ犯罪じゃないの!!あんたのお母さん、よく捕まらなかったわね。」

「んん~??父ちゃんはそれが嬉しかったらしくて、喜んで結婚したらしいぜ。
獣人は、如何に情熱的に積極的に口説くかが大事だからな!」

「人族とは考えが根本的に違いますね……。」

キュアと二人で呆れながらため息をついたが、突然メルクがオッパイの間からササッ!と小さな小瓶を取り出したので、全員の視線はそれに集中する。

「何よ、それ。」

ジトっとした目でソレを見ながら問うと、メルクはチェシャ猫の様に笑った。

「対モンスター用の目眩薬。
モンスターを一瞬目眩状態にすることができる薬だけど……人族なら飲み物に一滴でも垂らせば泥酔状態に出来るわよぉ~。」

フリフリと振られる小瓶を見つめて、私たちはゴクリッと喉を鳴らした。

「ちょっ……ちょっとそれはいくらなんでも……。」

「そうですよ。犯罪ですし……。」

私とキュアはそう言って止めようとしたが、ルーンは拳を握りニヤッと笑う。

「良いもんがあるじゃねぇか~!よしっ!これで勇者様と結婚するぞー!アタイ1番~!」

「だ~め!これは私のアイテムなんだから1番は私♡ 」

ワイワイ騒ぎ出すメルクとルーンを見つめ、キュアと顔を見合わせると、キラッと目を光らせた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています

水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」 王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。 一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……? 勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!

異世界召喚に巻き込まれた料理人の話

ミミナガ
BL
 神子として異世界に召喚された高校生⋯に巻き込まれてしまった29歳料理人の俺。  魔力が全てのこの世界で魔力0の俺は蔑みの対象だったが、皆の胃袋を掴んだ途端に態度が激変。  そして魔王討伐の旅に調理担当として同行することになってしまった。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

30歳まで独身だったので男と結婚することになった

あかべこ
BL
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。 キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者、の予定

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

処理中です...