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17 駄目だ!
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有り余る程の才能と人が羨む全てを持って生まれて……。
沢山の人に囲まれて、誰も彼もが自分を必要としてくれる。
それって幸せで幸せで仕方ないだろうな!
何一つ持ってない自分はそう思う。
頑張っても頑張っても誰も見てくれない、その他大勢にすぐに紛れてしまう凡庸な俺。
そんな俺でも無条件で見てくれた両親が死んでしまえば…………こんなにも人で溢れたこの世界で、俺はひとりぼっちだ。
寂しくて寂しくて仕方がなかった俺は、そこで沢山考えた。
そして出した答えが……『何でも頑張ってみよう!』────だ。
自分に出来ることは何でも全力でやってみよう。
見てくれる人がいないなら、俺が見ればいい。
誰も見てくれなくたって、それでも俺の人生はこれでいいのだ。
だってそれが、自分で決めた自分の人生なんだから!
フワフワした気持ちよさに身を任せていると、また目の前に寂しい荒野と境界線の様に存在している崖が現れた。
向こう側には相変わらず背中を向けた勇者様。
そして境界線の下は断崖絶壁。
落ちたらひとたまりもなさそうだ。
「やれやれ……。」
ため息をつきながらその場に座り込み、チラッとヒカリ君の背中を見つめた。
俺が持ってないもの全てを持っているヒカリ君。
きっとその人生はピカピカ宝石の様に輝いていて、幸せの塊の様な毎日を送ってるんだろうな!
そう思っていたのに……その背中からはそれが伝わってこない。
「……なぁ。」
何となく声を掛けてみたが、全く返答はなし。
それは分かっていた事なので、俺はこれ幸いとその背中に語りかけた。
「ヒカリ君は何をするのが一番楽しいの?」
「好きな色って何?」
「見た事ない景色見るの好き?俺は凄く好きなんだ。だから毎年山登りして御来光を見に行ったりするよ。」
ペラペラと話し続け、自分の驚き失敗談なども混ぜて話していたが、突然ヒカル君がピクリと動き、そのまま前に向かって歩き出してしまう。
もう行っちゃうのか……。
これまでもたくさんの出会いと別れがあって、それは悪い事じゃない。
それが分かっていた俺は、残念に思いながらその背中を見つめた。
しかし、何となく嫌だと思う気持ちがぐわっと襲ってきて、そのままずっとその背を目で追いかけていると────突然ヒカリ君の進行方向に大きな崖が現れる。
「────えっ!!」
驚き目を見開く俺の前で、更にその崖から沢山の黒い手が伸びてきて、ヒカリ君を手招きし始めた。
『こっちに来ればもう寂しくないよ。』
『おいで。』
『おいで。』
『さぁ、一つに還ろう────。』
ヒカリ君にはその不気味な喋る手が見えないのか、それとも見えているのにあえて向かっていっているのか分からないが、その歩みは止まらない!
「ダメだ────!!!!ヒカリ君!そっち行ったら落ちちゃうぞ!!」
必死に叫んでもヒカリ君は止まってくれない。
どうしよう、どうしよう!!
焦ってワタワタしていると、フッと境界線の様にある崖を繋ぐ細くて弱そうな糸を発見した。
直ぐにそれに駆け寄り引っ張ると、ちゃんとヒカリ君がいる方へ繋がっているようだ。
こんな細い糸に乗ったら千切れるかも……。
普通の状態だったらそう思ったかも知れないが、猫まっしぐらならぬ崖まっしぐらなヒカリ君しか目に入ってない俺は、直ぐにその糸に飛び乗った。
沢山の人に囲まれて、誰も彼もが自分を必要としてくれる。
それって幸せで幸せで仕方ないだろうな!
何一つ持ってない自分はそう思う。
頑張っても頑張っても誰も見てくれない、その他大勢にすぐに紛れてしまう凡庸な俺。
そんな俺でも無条件で見てくれた両親が死んでしまえば…………こんなにも人で溢れたこの世界で、俺はひとりぼっちだ。
寂しくて寂しくて仕方がなかった俺は、そこで沢山考えた。
そして出した答えが……『何でも頑張ってみよう!』────だ。
自分に出来ることは何でも全力でやってみよう。
見てくれる人がいないなら、俺が見ればいい。
誰も見てくれなくたって、それでも俺の人生はこれでいいのだ。
だってそれが、自分で決めた自分の人生なんだから!
フワフワした気持ちよさに身を任せていると、また目の前に寂しい荒野と境界線の様に存在している崖が現れた。
向こう側には相変わらず背中を向けた勇者様。
そして境界線の下は断崖絶壁。
落ちたらひとたまりもなさそうだ。
「やれやれ……。」
ため息をつきながらその場に座り込み、チラッとヒカリ君の背中を見つめた。
俺が持ってないもの全てを持っているヒカリ君。
きっとその人生はピカピカ宝石の様に輝いていて、幸せの塊の様な毎日を送ってるんだろうな!
そう思っていたのに……その背中からはそれが伝わってこない。
「……なぁ。」
何となく声を掛けてみたが、全く返答はなし。
それは分かっていた事なので、俺はこれ幸いとその背中に語りかけた。
「ヒカリ君は何をするのが一番楽しいの?」
「好きな色って何?」
「見た事ない景色見るの好き?俺は凄く好きなんだ。だから毎年山登りして御来光を見に行ったりするよ。」
ペラペラと話し続け、自分の驚き失敗談なども混ぜて話していたが、突然ヒカル君がピクリと動き、そのまま前に向かって歩き出してしまう。
もう行っちゃうのか……。
これまでもたくさんの出会いと別れがあって、それは悪い事じゃない。
それが分かっていた俺は、残念に思いながらその背中を見つめた。
しかし、何となく嫌だと思う気持ちがぐわっと襲ってきて、そのままずっとその背を目で追いかけていると────突然ヒカリ君の進行方向に大きな崖が現れる。
「────えっ!!」
驚き目を見開く俺の前で、更にその崖から沢山の黒い手が伸びてきて、ヒカリ君を手招きし始めた。
『こっちに来ればもう寂しくないよ。』
『おいで。』
『おいで。』
『さぁ、一つに還ろう────。』
ヒカリ君にはその不気味な喋る手が見えないのか、それとも見えているのにあえて向かっていっているのか分からないが、その歩みは止まらない!
「ダメだ────!!!!ヒカリ君!そっち行ったら落ちちゃうぞ!!」
必死に叫んでもヒカリ君は止まってくれない。
どうしよう、どうしよう!!
焦ってワタワタしていると、フッと境界線の様にある崖を繋ぐ細くて弱そうな糸を発見した。
直ぐにそれに駆け寄り引っ張ると、ちゃんとヒカリ君がいる方へ繋がっているようだ。
こんな細い糸に乗ったら千切れるかも……。
普通の状態だったらそう思ったかも知れないが、猫まっしぐらならぬ崖まっしぐらなヒカリ君しか目に入ってない俺は、直ぐにその糸に飛び乗った。
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