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24 新たな景色と……キノコ
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「い……いってきま~す……。」
お見送りに集まってくれた人達にそう言ったが、生ぬるい目で見てくるか、チィィ!!と盛大な舌打ちで返してくるかの二択!
実は、ヒカリ君がちょっと変わっちゃったから皆複雑な思いを抱えているらしいのだ。
まぁまぁ、それは仕方ない、仕方ない。
自分にとって悪い変化でも、それがその人の選んだ成長なら喜んであげるべし。
犯罪は勿論止めるけど!
ふぃ~!と息を吐きながら、最初の一歩を踏み出そうとした、その時────突然の浮遊感を体に感じ、「おおお?!」と驚きの声をあげてしまった。
何と俺、ヒカリ君に後ろから腰を掴まれ、そのまま高い高~いされる様な姿勢で持ち上げられている!
「イシは弱いから、俺が運んであげるね。転んだら、また寝たきりになるかもしれないし……。」
「えぇ!!?転んで寝たきりになんてならないよ。流石に。」
そんなの、骨粗鬆症の末期症状だぞ~?
持ち上げられた情けない姿で、一応アラサーの一般男性として物申したが……ヒカリ君は譲らない。
「ダメ。イシはすぐ死ぬ。だから大事にしなきゃ……。せっかく俺にプレゼントされたギフトなんだから。
大事に大事にして、たくさん俺の好きなモノを教えて貰う。」
「そ、そう……。じゃあとりあえず、料理のレパートリーが増える様に頑張るよ。ちょっと良い鍋も貰ったし、調味料も沢山貰ったから色々作ってみようかな。」
とりあえずヒカリ君は、色々なモノを食べたいらしい。
そんな思春期の高校生男子の様な事を言い始めたので、大盛り一丁、沢山作ろうと決意した。
キラっ!と目を光らせた俺を見て、ヒカリ君は嬉しそうに抱っこ────は、全力で拒否!
これでは、某有名アニメ映画のもふもふ巨大生物にしがみ付く幼児になってしまう!
それは絶対嫌だったため、とりあえずおんぶにしてもらった。
まぁ、ちょっと恥ずかしいが、ヒカリ君が降りろ!と言って怒るまで堪能しようとちゃっかり図々しく居座る事にする。
なぜなら────……。
俺は最初に旅立った日を思い出し、遠い目でニッコリ微笑んだ。
モンスターの生息地は基本山や森の中、つまり当然整備された道などではなく────。
高層ビルもビックリの高さの崖!
荒くれる川により、あわや流されかけて川の藻屑寸前!
急斜面を登っている最中にツルッと滑れば、下まで滑落し、そのままスタート地点に戻されちゃう~……な、糞ゲーもびっくり仕様の道々を死ぬ思いで歩かされてきたからだ。
ちょっと待遇が改善したみたいだし、今度は少しだけ手伝ってくれるかも~!
そんな甘い期待をして思わずニッコリ。
何たって前回は、ヒィヒィ言いながら必死で登る俺を、ヒカリ君は完全無視。
アイリーン達は、腹を抱えて大爆笑!
そして本当に無理な時は、苦笑いしたキュアと遊び感覚で近づいてくるルーンが助けてくれていた。
とりあえず高い崖の時は、紐を腰に括り付けるから上から引っ張ってくれるといいな!
そう思いながらおぶさっていると、ヒカリ君は突然アイリーン達を置いてタッ!と空を飛んだ。
「……えっ??」
景色が一気に青に変わり、ギョッ!として思わずヒカリ君にしがみ付くと、ヒカリ君は嬉しそうに笑う。
「このまま空から行こう。」
「お、おおお────っ!!?」
突然目の前に広がる、青!青!青!!
飛行機よりも空が近い景色に、思わず叫ぶ。
これは凄いぞ!!お、俺、鳥になってる!!
どっかで聞いた様なセリフを心の中で言いながら下を見下ろすと、空中に片足が乗るほどの大きさの魔法陣が進行方向に向かって沢山浮かんでいた。
どうやらヒカリ君はそれを踏みながら、トンットンッと空を進んでいる様だ。
遥か下の方には、皆の驚いて見上げる顔が見える。
いつも見上げて『助けて~!』と言っていたから、これは新鮮!
「ヤッホ~!」
何となく山に登った時の様に叫んだ後、直ぐに忙しなく周囲の景色を見渡した。
信じられない程綺麗な空と森、そして見たことがない色とりどりの鳥や蝶々などの群れが一斉に飛んでいる姿。
それが一気に、目の中に飛び込んでくる。
それに思わず見惚れていると、ヒカリ君が突然話しだした。
「イシはこの景色を見て嬉しいんだ。俺は今まで何も思った事がなかったよ。……だって見れて当たり前の景色だから。」
「へぇ~!そいつは羨ましい。俺だったら一日中空飛んでるな。」
素直にそれを羨ましいと伝えたら、ヒカリ君はフッ!と吹き出す。
「そうだね。今はずっと飛んでいたいって思ってる。ホントに不思議だね。」
『同じものを見て感動する。』
それが嬉しくて思わず笑みを溢し────同時に、地球に帰ることがすごく残念だと思った。
せっかく少しだけ仲良くなれたのに、これから永遠にお別れしないといけないなんて……悲しい!悲しすぎるぞ!
ズ~ン……と心は重くなったが、直ぐに気持ちを切り替える。
きっとこれからヒカリ君は俺がいようがいまいが、どんどん良い方に変わっていくはずだ。
だから、俺は楽しかった思い出だけを持って、それを遠くから応援しようと思った。
ヒカリ君が、使命とやらを果たすまで沢山思い出作って……最後は笑顔でお別れしたいな!
これからの事を考えワクワクしながら、俺は楽しい空の散歩を楽しんだ。
その後、目的地近くに着いて直ぐ、これでもかとヒカリ君が俺のいる場所に防御魔法(モンスターが近寄れない様にする魔法らしい)を掛けてくれる。
「すぐ戻るね。」
そう言い残してヒカリ君はスッと消えてしまったので、俺は腕まくりをしてフンっと鼻息を吹いた。
「じゃあ俺は、以前から作りたかった『びっくりキノコのバター醤油ステーキ』を作るそ!」
<びっくりキノコ>
人の頭より大きなキノコ。
肉厚で焼いて食べるとジューシーで非常に美味しい。
高級品。
多次元ボックスからそれを取り出し、まるで座布団の様なびっくりキノコを持ち上げ、うおおおお~!と叫んだ。
フカフカの感触!フワッと漂う芳醇なキノコの香り!
これは絶対美味しいやつ!
想像するだけで涎が出てきてしまい、急いでそれを拭いた。
そして直ぐに焚き火を起こすと、まずは串に刺したそれの表面を焼いて、旨みを中に閉じ込める。
そしてそして~!
表面がいい感じに焼けたら、大きなフライパンにたっぷりバターを引き、その焼きキノコを豪快に入れると、その瞬間バターとキノコの合わさったたまらない香りが辺り一面漂った。
お見送りに集まってくれた人達にそう言ったが、生ぬるい目で見てくるか、チィィ!!と盛大な舌打ちで返してくるかの二択!
実は、ヒカリ君がちょっと変わっちゃったから皆複雑な思いを抱えているらしいのだ。
まぁまぁ、それは仕方ない、仕方ない。
自分にとって悪い変化でも、それがその人の選んだ成長なら喜んであげるべし。
犯罪は勿論止めるけど!
ふぃ~!と息を吐きながら、最初の一歩を踏み出そうとした、その時────突然の浮遊感を体に感じ、「おおお?!」と驚きの声をあげてしまった。
何と俺、ヒカリ君に後ろから腰を掴まれ、そのまま高い高~いされる様な姿勢で持ち上げられている!
「イシは弱いから、俺が運んであげるね。転んだら、また寝たきりになるかもしれないし……。」
「えぇ!!?転んで寝たきりになんてならないよ。流石に。」
そんなの、骨粗鬆症の末期症状だぞ~?
持ち上げられた情けない姿で、一応アラサーの一般男性として物申したが……ヒカリ君は譲らない。
「ダメ。イシはすぐ死ぬ。だから大事にしなきゃ……。せっかく俺にプレゼントされたギフトなんだから。
大事に大事にして、たくさん俺の好きなモノを教えて貰う。」
「そ、そう……。じゃあとりあえず、料理のレパートリーが増える様に頑張るよ。ちょっと良い鍋も貰ったし、調味料も沢山貰ったから色々作ってみようかな。」
とりあえずヒカリ君は、色々なモノを食べたいらしい。
そんな思春期の高校生男子の様な事を言い始めたので、大盛り一丁、沢山作ろうと決意した。
キラっ!と目を光らせた俺を見て、ヒカリ君は嬉しそうに抱っこ────は、全力で拒否!
これでは、某有名アニメ映画のもふもふ巨大生物にしがみ付く幼児になってしまう!
それは絶対嫌だったため、とりあえずおんぶにしてもらった。
まぁ、ちょっと恥ずかしいが、ヒカリ君が降りろ!と言って怒るまで堪能しようとちゃっかり図々しく居座る事にする。
なぜなら────……。
俺は最初に旅立った日を思い出し、遠い目でニッコリ微笑んだ。
モンスターの生息地は基本山や森の中、つまり当然整備された道などではなく────。
高層ビルもビックリの高さの崖!
荒くれる川により、あわや流されかけて川の藻屑寸前!
急斜面を登っている最中にツルッと滑れば、下まで滑落し、そのままスタート地点に戻されちゃう~……な、糞ゲーもびっくり仕様の道々を死ぬ思いで歩かされてきたからだ。
ちょっと待遇が改善したみたいだし、今度は少しだけ手伝ってくれるかも~!
そんな甘い期待をして思わずニッコリ。
何たって前回は、ヒィヒィ言いながら必死で登る俺を、ヒカリ君は完全無視。
アイリーン達は、腹を抱えて大爆笑!
そして本当に無理な時は、苦笑いしたキュアと遊び感覚で近づいてくるルーンが助けてくれていた。
とりあえず高い崖の時は、紐を腰に括り付けるから上から引っ張ってくれるといいな!
そう思いながらおぶさっていると、ヒカリ君は突然アイリーン達を置いてタッ!と空を飛んだ。
「……えっ??」
景色が一気に青に変わり、ギョッ!として思わずヒカリ君にしがみ付くと、ヒカリ君は嬉しそうに笑う。
「このまま空から行こう。」
「お、おおお────っ!!?」
突然目の前に広がる、青!青!青!!
飛行機よりも空が近い景色に、思わず叫ぶ。
これは凄いぞ!!お、俺、鳥になってる!!
どっかで聞いた様なセリフを心の中で言いながら下を見下ろすと、空中に片足が乗るほどの大きさの魔法陣が進行方向に向かって沢山浮かんでいた。
どうやらヒカリ君はそれを踏みながら、トンットンッと空を進んでいる様だ。
遥か下の方には、皆の驚いて見上げる顔が見える。
いつも見上げて『助けて~!』と言っていたから、これは新鮮!
「ヤッホ~!」
何となく山に登った時の様に叫んだ後、直ぐに忙しなく周囲の景色を見渡した。
信じられない程綺麗な空と森、そして見たことがない色とりどりの鳥や蝶々などの群れが一斉に飛んでいる姿。
それが一気に、目の中に飛び込んでくる。
それに思わず見惚れていると、ヒカリ君が突然話しだした。
「イシはこの景色を見て嬉しいんだ。俺は今まで何も思った事がなかったよ。……だって見れて当たり前の景色だから。」
「へぇ~!そいつは羨ましい。俺だったら一日中空飛んでるな。」
素直にそれを羨ましいと伝えたら、ヒカリ君はフッ!と吹き出す。
「そうだね。今はずっと飛んでいたいって思ってる。ホントに不思議だね。」
『同じものを見て感動する。』
それが嬉しくて思わず笑みを溢し────同時に、地球に帰ることがすごく残念だと思った。
せっかく少しだけ仲良くなれたのに、これから永遠にお別れしないといけないなんて……悲しい!悲しすぎるぞ!
ズ~ン……と心は重くなったが、直ぐに気持ちを切り替える。
きっとこれからヒカリ君は俺がいようがいまいが、どんどん良い方に変わっていくはずだ。
だから、俺は楽しかった思い出だけを持って、それを遠くから応援しようと思った。
ヒカリ君が、使命とやらを果たすまで沢山思い出作って……最後は笑顔でお別れしたいな!
これからの事を考えワクワクしながら、俺は楽しい空の散歩を楽しんだ。
その後、目的地近くに着いて直ぐ、これでもかとヒカリ君が俺のいる場所に防御魔法(モンスターが近寄れない様にする魔法らしい)を掛けてくれる。
「すぐ戻るね。」
そう言い残してヒカリ君はスッと消えてしまったので、俺は腕まくりをしてフンっと鼻息を吹いた。
「じゃあ俺は、以前から作りたかった『びっくりキノコのバター醤油ステーキ』を作るそ!」
<びっくりキノコ>
人の頭より大きなキノコ。
肉厚で焼いて食べるとジューシーで非常に美味しい。
高級品。
多次元ボックスからそれを取り出し、まるで座布団の様なびっくりキノコを持ち上げ、うおおおお~!と叫んだ。
フカフカの感触!フワッと漂う芳醇なキノコの香り!
これは絶対美味しいやつ!
想像するだけで涎が出てきてしまい、急いでそれを拭いた。
そして直ぐに焚き火を起こすと、まずは串に刺したそれの表面を焼いて、旨みを中に閉じ込める。
そしてそして~!
表面がいい感じに焼けたら、大きなフライパンにたっぷりバターを引き、その焼きキノコを豪快に入れると、その瞬間バターとキノコの合わさったたまらない香りが辺り一面漂った。
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