姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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散々無視をされた蘭珠ランジュが、呆れて部屋を出ていきましたが……
彼女が出て行ってしまった扉の内側では、紅茶を脚に浴びた姑がガタガタと椅子から崩れるように立って暴れているところでした。
その辺にあるものを支えにしようとして、隣席の連花リェンホアが着ているドレスを鷲掴んで崩れ落ちます。

「ああっ!熱い!早く、早くどうにかしなさいよ……!」

「きゃあぁ!?お、お義母様っ。落ち着いてくださいぃ……ちょっと、早く何か冷やすものを……!」

連花リェンホアは椅子から引きずり降ろされる形で床に落ちました。
おろおろとしながらも義母と一緒に座り込む形をとって、慌てる使用人たちをキッと睨みつけます。

「あ……あ……」

立ち上がったことで卓にぶつかって紅茶を倒した元凶……涼珩リャンハンと言えば、呆然と立ち尽くすばかりで何の動きも見せはしません。
それどころか、扉の方に目をやって、急に駆け出そうとするではないですか。

「っ……!」

「あっ、涼珩リャンハン様、どこへ……!?」

思わず声をかけた連花リェンホアに、涼珩リャンハンは一瞬動きを止めましたが……振り返ることなく、また走り出しました。

「うっ。……ひ、人を呼んでくる……!」

「えっ……」

(人を!?今この場にだって、こんなに使用人がいるのにぃ……!)

それにおそらく、増員が必要だったら使用人がそれも既に指示をしているはずでした。
名門凌家に仕える使用人はそこまで無能ではないはずです。連花リェンホアには、そう感じられていました。
まして、今はこの屋敷の実権を握っている名門凌家夫人の危機なのですから……

つまり、涼珩リャンハンはただ、この場から抜け出そうとしているだけなのでしょう。
それは他ならぬ、あの蘭珠ランジュの後を追っていったということにもなり……

(くっ……!余計なことを言わないでしょうねぇ……!)

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