姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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義母が朝食に着込んできたドレスは薄布が何枚も重なったふんわりとしたもので、おそらくこの層が紅茶が大量に肌へ届くことを防いでいるはずです。
その代わりに、染みた紅茶はそこにとどまってしまうため……肌に触れる以上の熱を、義母は感じているのでしょう。

「ああもうっ、何してるのよお前たち!熱くてたまらないっていうのに……!」

「大丈夫ですわぁ、お義母様、今お召し替えを……」

実際の被害よりも熱く感じてしまって騒ぐ義母を宥めながら、連花リェンホアも気が気ではありません。
他ならない、蘭珠ランジュ涼珩リャンハンのことです。

余計なことを言われては堪らない、と連花リェンホアはこっそりと奥歯を噛み締めました。ギリッと奥の方で音がします。
しかし、目の前で暴れる義母は助けるものを探すあまり連花リェンホアが身に着けた飾りたっぷりのドレスをしっかりと握りこんでいます。
それを振り払ってまで涼珩リャンハンの後を追うことは、今はすべきではないように思われました。
何せ、この義母の信用を失うわけにはいかないのですから。

(大丈夫よぉ……あのボンクラ息子だもの……それにあの鈍臭い蘭珠ランジュが何を言ったって……本当のことが分かるはずがないわ……)

連花リェンホアは心の中で自分に言い聞かせながら、バタバタと周りを走る使用人に声を飛ばしました。

「早くしなさいよぉ!冷やすものとお着替えを……!」



その頃。
蘭珠ランジュは廊下を歩きながら、今度こそ一人でため息をついていました。

「はぁ……」

(あの様子だと、お義母様が騒ぐほどには火傷なんてしていらっしゃらないように思えるけど……)

一人退出してしまったことを、後々で、また文句を言われてしまうかもしれません。
それでも、あの場に戻ることは躊躇われてしまい……
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