姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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この人は蘭珠ランジュを糾弾するためだけに息を切らせて追って来たのかと。
彼女は少し眉をひそめました。

(……私のせいも何も)

蘭珠ランジュは、自分に宛がわれた部屋の方……今から戻ろうとしている方向へ、ちらりと目線を送ります。
こんな訳のわからない事を言い出す夫との会話を、早く済ませて一人になりたい……そんな気持ちで。

実際、涼珩リャンハンのその言葉は、彼女にとっては言いがかりにも等しいものでした。
何せ二人は、蘭珠ランジュが嫁いで来てからただの一度も……

同じ部屋で過ごしたことすら、なかったのですから。

涼珩リャンハン様」

蘭珠ランジュは、彼に向き直って話を始めます。

「な、なんだっ」

「そのことなんですけれど……あなたは……」

蘭珠ランジュには、連花リェンホアの報告を聞いてから疑問に思っていたことがありました。


「子供が出来なかったのが私のせいだと言いますけれど、私と涼珩リャンハン様がいつ、そのような行為を……?」

さっきの朝食の時には周囲をおもんばかって伝えられなかった言葉を、つい蘭珠ランジュは口にしてしまいました。


姑からは何かがあるごとに、格下である家から貰ってやった、と何度も告げられ……
そして、その格下の嫡女との間に子供が設けられるのがどうしても嫌だったのでしょう。

何かと邪魔をされて、二人になる時間はほとんどありませんでした。
もちろん、涼珩リャンハンの部屋に立ち入ることも許されないような事態です。
一年もの間、ただの会話にも監視がつくような有り様で……

それでどうやって子が成せましょう?

そのことを、私だけのせいにされるのは納得がいきませんでした。
もし子を望んでいたとするならせめて、二人で過ごす機会を設けなければならなかったというのに。

しかし今度は、それを聞いた涼珩リャンハンが顔をしかめる番でした。

「君が嫁いで来て、すぐの夜だ。二人で夜を過ごしたことがあっただろう」
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