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しおりを挟む二人で夜を過ごした?記憶を探ってみたけれど、そのことは思い出せはしませんでした。
彼女のそんな様子が伝わったのでしょう。夫は、さらに言葉を続けます。
「僕が婚姻の心得を話している時に、君は眠ってしまって……」
「あぁ……」
それは確かに、蘭珠にも覚えがありました。
しかしそれは甘い記憶では全くなく……
蘭珠が嫁いできて間もなく、姑が彼女に素の……嫌味な口調と態度で接するようになった頃。
涼珩からも、屋敷での振る舞いを教えるという名目で夜に呼び出された事がありました。
その場所は、屋敷に住んでいるものなら誰でも立ち入るようなことが出来る談話室でした。
涼珩が暗に言う、一夜を同室で過ごしたというのも……夫婦の寝室ですらありません。
くどくどと長い話をされている内に夜は更に深まり、明け方になってソファへ座ったまま蘭珠がうたた寝してしまったというだけのこと。
扉は開け放してあり、そこには使用人が控えていて、それもうたた寝をしたのはほんの少しばかりの時……
涼珩はテーブルを挟んで向かいのソファへ腰掛けていました。
蘭珠が気付いた時も、何か二人で触れ合ったというような痕跡も衣服の乱れもひとつもありませんでした。
(あれは涼珩様からすると<同室して一夜を過ごした>というカウントなんですね……)
蘭珠からしてみれば、長い、同じことを繰り返されている話の最中に少しだけ寝てしまったと、それだけのことだったのですが。
そう考えている内に。
蘭珠は、嫌な予感が的中していることを感じました。
(ウソでしょう?まさかと思ったけど、この方……私が嫁いで来た時から、そういった行為に関する知識が変わってない……?)
連花の大々的な宣言を聞いて、もしかして自分はからかわれていたのではないか?と思っていた蘭珠。
それでは、第二夫人が得意げに話を進めているのは何だと言うのでしょう。
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