姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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「子を成すに至る機会など、この一年と少し過ごしてきて、一度もあり得ませんでした」

義母の顔が歪みます。それはもちろん、彼女が使用人たちに向かって命令していたことが原因でした。
この気に入らない娘が可愛い我が息子に接触することがないよう、出入りする先を極端に制限して。

どこに居るのかを逐一監視するようにしたし、もしも寝室に入り込もうとするようだったら間違いが起こらないように阻止をしろと……
しかし、だからと言って口答えをされる謂れはない、というのが義母の考えでした。

何故なら蘭珠ランジュは、格下の人間であったからです。少なくとも、義母の中ではそうでした。
格下のところから、金を担保にして貰ってやった嫁です。感謝こそされ、反抗される意味が、義母には何も分かりませんでした。

(だからってねえ、そんな人間の血を名門凌家に入れるなんて冗談じゃあないよ……)

ですので、この時も義母は、素知らぬふりをして通そうとしました。

「それがなんだって言うんだい?お前に魅力がないのが原因だったんだろう……」

そう言い捨ててやったのですが、蘭珠ランジュは聞く耳を持ちません。

「部屋すら別々で、行く先々を細かく決められて……それで、どうやって子が成せましょう。……けれど」

それどころか、更に義母の苛立つような言葉を口にしてきたのです。

「今となっては、あの方との間に子供が出来なかったこと……いいえ、できるような行為を一切行わなかったこと」

一度落とした視線を、やはりまっすぐ義母の目線へと合わせて……きっぱりと、彼女は言い切りました。

「幸いだったと思っております」

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