姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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夫人は案内された椅子に深く座り込んで脚を組むと、差し出された書類を受け取りながら素早く視線を走らせます。
その書類には数々の科目と数字が並んでおり、何らかの業績が記されている、と知れるものでした。

そしてその数字が示すものは、夫人の心を十分に満足させるもののようで……

「ふーん……なかなか良いじゃないか……」

「ありがとうございます」

書類を用意して一緒に室内に入ってきた男性は、夫人の労うような言葉に胸へ手をあてて礼をしました。

「失礼いたします」

従業員の一人が入って来て、卓上に茶器を並べます。注がれた薫り高い紅茶からは湯気がたっていました。
それらももちろん、夫人の使うにふさわしい逸品となっています。

茶器を手にして香しい紅茶を口元へと寄せながら、夫人は鮮やかな紅を塗られた唇を歪んだ笑みの形にします。
この建物は、夫人の興した事業を執り行うための施設でした。

夫人が事業を始めたのは、ちょうど一年前の頃……
第一夫人が大量の持参金と一緒に嫁いできてからのことでした。

息子である涼珩リャンハンとは離縁を指示して、そのまま日を置かずに生家へ帰してしまった、鼻につく存在の……
彼女へ離縁を告げた日に、その大量の持参金の話ももちろん出たのですが……夫人がその辺りの話にも強気で居たのは、この施設の存在が理由でした。

(ふふ……この場所があれば何ということはないのさ……)

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