姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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門外の方では男が大きな声を出して叫んでいるようです。夫人はとりなすように自らの夫である凌をなだめながら、再び扇を使って使用人へと指示を出しました。

「いいかい……それから……」

「は、かしこまりました!」

使用人は短く返事をすると、門兵がその男を捕らえている現場へと走り出します。

「伝えて頂ければ分かります!どうか凌夫人へお目通りを……んぐっ……!?」

同じことを何度も繰り返していたと思われる男の口には布が噛まされました。
使用人は門番の元へたどり着くと耳打ちで先ほどの凌夫人からの指示を伝え……

結果、男は暴れる身体へと縄を掛けられて、凌家の表通りからは見えない……裏手の方へ連れていかれることとなったようです。

凌夫人は夫へと話しかけて気を引きながら、その様子を確認して内心で息をつきました。

「……お前の名を呼んでいないか。あれは何者だ」

「いやですよ、この前うんと高い石を売りつけて来ようとした商人がいて……断ったけどまた商談に来たんでしょう」

「そんな様子か?あれが……」

「粗悪品が混ざってると言ってやったから、恨みを買ってしまったかもしれないわ……後で話しときますから」

凌はどこか腑に落ちないような顔をしていましたが、今は既に男が捕らえられていることと、長旅の疲れもあったのか屋敷に入ることを優先したようでした。
後々で確認をしに来ることは免れないでしょうから、それより先に男と口裏を合わせなければなりません。

(とりあえずはこれでいいだろう。あっち商人とはすぐ話すとしようね……)
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