姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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原告席には、すでに涼珩リャンハンの元第一夫人である蘭珠ランジュが座っていました。

かつて凌家で虐げられていた頃の怯えた様子は微塵もありません。質のいい衣服に身を包み清楚な美しさを取り戻した彼女は、無感情に元婚家を見ていました。

その隣には数人の役人たちが並び、机の上には分厚い帳簿と証拠の書類が山と積まれています。

凌家の一家も、反対側の被告席へと着席しました。
重々しい鐘の音が鳴り響き宣誓が行われ、裁判が始まります。
中央に立った役人が書類を広げ、淡々とした声で読み上げ始めました。

「これより、凌家にて離縁された際、本来返還されるべき持参金が不正に流用された件について審議を行います」

その言葉が響いた瞬間、傍聴席がざわつきました。

「やはり本当だったか」

「持参金に手を付けるなんて信義以前の問題だな」

夫人は傍聴席からの視線に耐えかね、役人を通り越して蘭珠ランジュをにらみつけました。しかし蘭珠ランジュの方は、素知らぬ顔をして手元の資料に目を落としています。

「証拠はすべて揃っております。蘭珠ランジュ様が持ち込まれた希少な鉱物の流通記録、それを換金した際の帳簿の記載、そして取引を行った商人たちの証言……これらにより資金の出所が凌家ではなく、蘭珠ランジュ様の持参金であったことが明確に特定されました」

役人が次々と証拠品を提示します。
夫人はたまらずガタガタと音を立てて立ち上がりました。

「ふざけるんじゃないよ!そんな紙切れがなんだって言うんだ!あんたら、寄ってたかってうちを陥れようとして……!」

会場中が静まり返り、夫人の金切り声だけが響きます。
役人は呆れたようにため息をつき、蘭珠ランジュに視線を送りました。蘭珠ランジュは小さく首を横に振ります。その仕草すら今の夫人には癇に障るものでしかありません。

蘭珠ランジュが口を開きました。

「離縁の際に持参金を返還するのは、国で定められていることです。それを破られたのは、凌夫人。あなたです」

「だからっ……あんな石ころが何だって言うの!」

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