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第1章 夜会
(2)とても自信がお有りですのね
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「本当に……怖かったんですっ。パトリツィア様は……その、何人も他の女生徒を引き連れて、教室にまできて……わたしっ……」
涙をぽろぽろと溢しながら必死に言葉にするマヌエラさんには悪いけれど、本当に何がなんだか分からない。
身に覚えも全くない。あるはずもない。なんせ初対面だ。
「お前は婚約者の立場を失うのを恐れたのだろう。王太子妃、ひいては王妃の座を奪われ、何よりも俺自身を奪われることになるのだからな」
殿下もどうしてそんなにも自信がお有りでいらっしゃるのか。
第一王子ヘルムート殿下の下にはあと二人の弟がいらっしゃる。第一王子ヘルムート殿下は王妃のお子だが、正直なところ色々と難ありだ。
第二王子、第三王子は側妃のお子で、優秀な王子たちである。
第二王子のヨーゼフ殿下はヘルムート殿下の五歳年下で十七歳。
剣を振るうことがお好きで騎士団に入っており、王位に興味はないようで王位継承権を放棄されたい旨を表明されている。
そして十六歳の第三王子フェリクス殿下は武の心得もあり、何よりも勉学に秀でていて人心掌握もヘルムート殿下に優る。
さらに側妃様のご実家は侯爵であり、王妃陛下のご実家はもとは子爵。もとは側妃様の方が現国王の婚約者だった。
けれど現王妃陛下は現国王陛下の寵愛を受け、その子爵の本家にあたる伯爵に養子になったという事情がある。
本来なら今の側妃様が王妃となり現王妃陛下が側妃となるはずだったが、当時王太子だった国王陛下は側妃はとらないとおっしゃったのだ。
結局、ヘルムート殿下の誕生後の五年間、王妃陛下のご懐妊がなく側妃様が嫁がれた。
それゆえに、貴族や平民問わず王妃陛下よりも側妃様の方が人気がある。
王位継承についても宮廷内どころか国内全体で第三王子を王太子に推す声も大きい。
ラインマイヤー家は先代国王の次男、つまりは王弟である父が賜った公爵位を持つ家だ。そのラインマイヤー公爵は宰相である。
その娘――現状、貴族の令嬢で最も身分が高く、ヘルムート殿下と同い年で従妹のわたし――が第一王子に嫁ぐことになるだろうと目されていた。
そんなわけで、宮廷内ではかろうじて第一王子派と第三王子派で均衡を保っている状況なのだ。
とは言っても、わたしの婚約は王家に王女が生まれなかったが故に、政略で他国へ嫁ぐ可能性もあるので、結婚適齢期ぎりぎりまで保留にされていた。
だからヘルムート殿下の婚約者候補の筆頭とされていただけのこと。
そして一ヶ月ほど前にようやく正式に婚約を交わした。それも正式には発表されないままだった。
「そうですね、ここまでお話されてしまっては……」
殿下は勝ち誇った顔をしているが、殿下の思った通りには話は進まないだろう。
「確認なのですが、殿下はわたしとの婚約を破棄したいということで、よろしいでしょうか」
「当然だ。お前のような女とは結婚できないからな。私はこのマヌエラ・レーヴェンと結婚する!」
涙をぽろぽろと溢しながら必死に言葉にするマヌエラさんには悪いけれど、本当に何がなんだか分からない。
身に覚えも全くない。あるはずもない。なんせ初対面だ。
「お前は婚約者の立場を失うのを恐れたのだろう。王太子妃、ひいては王妃の座を奪われ、何よりも俺自身を奪われることになるのだからな」
殿下もどうしてそんなにも自信がお有りでいらっしゃるのか。
第一王子ヘルムート殿下の下にはあと二人の弟がいらっしゃる。第一王子ヘルムート殿下は王妃のお子だが、正直なところ色々と難ありだ。
第二王子、第三王子は側妃のお子で、優秀な王子たちである。
第二王子のヨーゼフ殿下はヘルムート殿下の五歳年下で十七歳。
剣を振るうことがお好きで騎士団に入っており、王位に興味はないようで王位継承権を放棄されたい旨を表明されている。
そして十六歳の第三王子フェリクス殿下は武の心得もあり、何よりも勉学に秀でていて人心掌握もヘルムート殿下に優る。
さらに側妃様のご実家は侯爵であり、王妃陛下のご実家はもとは子爵。もとは側妃様の方が現国王の婚約者だった。
けれど現王妃陛下は現国王陛下の寵愛を受け、その子爵の本家にあたる伯爵に養子になったという事情がある。
本来なら今の側妃様が王妃となり現王妃陛下が側妃となるはずだったが、当時王太子だった国王陛下は側妃はとらないとおっしゃったのだ。
結局、ヘルムート殿下の誕生後の五年間、王妃陛下のご懐妊がなく側妃様が嫁がれた。
それゆえに、貴族や平民問わず王妃陛下よりも側妃様の方が人気がある。
王位継承についても宮廷内どころか国内全体で第三王子を王太子に推す声も大きい。
ラインマイヤー家は先代国王の次男、つまりは王弟である父が賜った公爵位を持つ家だ。そのラインマイヤー公爵は宰相である。
その娘――現状、貴族の令嬢で最も身分が高く、ヘルムート殿下と同い年で従妹のわたし――が第一王子に嫁ぐことになるだろうと目されていた。
そんなわけで、宮廷内ではかろうじて第一王子派と第三王子派で均衡を保っている状況なのだ。
とは言っても、わたしの婚約は王家に王女が生まれなかったが故に、政略で他国へ嫁ぐ可能性もあるので、結婚適齢期ぎりぎりまで保留にされていた。
だからヘルムート殿下の婚約者候補の筆頭とされていただけのこと。
そして一ヶ月ほど前にようやく正式に婚約を交わした。それも正式には発表されないままだった。
「そうですね、ここまでお話されてしまっては……」
殿下は勝ち誇った顔をしているが、殿下の思った通りには話は進まないだろう。
「確認なのですが、殿下はわたしとの婚約を破棄したいということで、よろしいでしょうか」
「当然だ。お前のような女とは結婚できないからな。私はこのマヌエラ・レーヴェンと結婚する!」
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