婚約破棄ですか、すでに解消されたはずですが

ふじよし

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第4章 その後

(18)夜会のあとのこと

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 国交回復のためのルセアノ皇国からの使節団は、二週間の滞在予定だった。わたしも正式に王家の養子となったため、夜会の日には王宮にへと入り王宮で過ごした。

 今回は、まず国交の回復が優先されたが、近々同盟も結ばれることになっている。ディーデリヒ様や使節団の人たちはその草案の作成、ティリシス国内の視察などに追われた。
 視察にはディーデリヒ様についてわたしも同行し、多くの国民から歓迎と祝福を受けた。


 一方でヘルムート殿下は謹慎のため自室に軟禁状態と聞く。
 今はティリシスの王宮もルセアノ使節団の対応に追われているので、使節団がルセアノに戻り落ち着いたら国王陛下より相応の処分が下されるそうだ。

 王妃陛下が聞いた話によればヘルムート殿下は物心ついたころから、わたしと婚約していると思い込んでいたらしい。
 そのまま成長し学院に入学すると周囲はわたしを婚約者として扱った。ほかの婚約者候補たちはご自分を好きで取り巻きになっているのだと思っていた、と。

 王妃陛下は母親ながら恥ずかしく思うと、わたしに謝罪された。


 その後ヘルムート殿下はマヌエラ様と懇意になり、女子学生たちによれば、周囲にはばかることなく仲睦まじくされていたようだ。ただ男子学生たちの証言だとマヌエラ様は人前で「男爵程度の娘の私にあまり声をお掛けになってはいけないのでは?」と忠言もしていたらしい。
 マヌエラ様は周囲の女子学生たちとの間に軋轢があるようだった。

 それは国王陛下や王妃陛下の耳にも入っておりヘルムート殿下には何度か注意をされた。
 けれどヘルムート殿下は反発してますますマヌエラ様に構うようになった。そのために注意されることが増え、だんだんと国王陛下の呼び出しにも応じなくなった、と。

 そうこうしているうちに側妃様がご懐妊し王女殿下がお生まれになった。わたしが国外へ嫁ぐ可能性もないだろうと判断した国王陛下はヘルムート殿下とわたしの婚約を急いだそうだ。


 ルセアノ皇国から国交回復の申し入れがあったのはヘルムート殿下との婚約が結ばれた直後のこと。同時にわたしがルセアノへ、ルセアノの皇女がティリシスへという婚姻政策の提案もあった。
 だからヘルムート殿下とわたしの婚約発表は控えられていた。

 水面下で国交回復の交渉は進められ、異例の早さでまとまった。

 けれど、ヘルムート殿下は国王陛下からの呼び出しのことごとくに応じず、ルセアノ皇国との交渉内容を記した封書も受け取らなかったため、なにも知らなかったのだ。
 夜会も例年通り行われる社交シーズン幕開けのものと思っていたらしい。


 以前よりヘルムート殿下の立太子については、国王陛下も悩まれていた。わたしがルセアノ皇国へ嫁ぐことが決まり、ヘルムート殿下がマヌエラ様と婚姻するのなら殿下の立太子はあり得ない。

 第三王子フェリクス殿下が立太子されるのは確定的となった。
 近々それは発表されるだろう。
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