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第2章 国交回復の経緯
(11)ルセアノ皇国への帰路
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「では、慌ただしくして申し訳ないが僕はルセアノに戻ります」
「まあ、今からですか?」
「うん、僕が来ているのは非公式だからね。ルセアノの政務官と外交員は残るけど、七日後に使節団を連れて正式な訪問となる」
国交回復への状況については随時ルセアノ皇国に知らせている。ディーデリヒが戻る頃には人員の選定や国交回復を祝うための様々な物品の準備もできているはずだ。
細々したスケジュールはこれから両国の政務官たちが詰めていくことになるが、大まかには決まっている。
七日後、ディーデリヒたちルセアノ皇国使節団がティリシス王国に到着する予定だ。
その当日に正式な国王との会談、二日目には貴族議会に所属する議員や伯爵以上の貴族を招いての昼餐会、三日目はティリシス王都を視察して回り、夜には王場での夜会がある。
折り良く社交シーズン直前であり、その幕開けとされる王宮での夜会が予定されていたことも、スムーズな国交回復への助けになった。
通常なら王宮主催の夜会では、招待状は遅くとも一ヶ月前には発送される。今回の夜会でもすでに招待状は出されており、出席者からの返事も王宮に到着済みだ。
そのため出席者に隣国ルセアノ皇国との国交回復の祝賀も行われることを通知するのみだった。
「どうか、お気をつけて」
「うん、貴女もこれから準備で忙しくなるだろうから体調に気をつけてね。無理をしてはいけないよ」
「ディーデリヒ様こそ」
「じゃあ、パトリツィア」
二人が名残惜しく見詰め合っていると公爵が咳払いをする。ディーデリヒはパトリツィアへ伸ばしかけた手を戻して馬車停めに向かい待機していた馬へと跨がった。
今回、往路は側近で宰相補佐の一人と、二人の護衛騎士との四人で先行し騎乗して動いていた。政務官や外交員たちはあとから馬車で入国している。
側近は宰相補佐としての仕事がありティリシスに残るため、復路は護衛騎士を二人を連れて三人での行程だ。
空はディーデリヒの心を映したように晴れ渡り、優しい風が頬をかすめた。
『……う、うれしい……です』
顔を赤くしてそう告げたときのパトリツィアを思い出す。
パトリツィアはディーデリヒとの結婚が嫌ではないどころか嬉しいと答えたのだ。
ディーデリヒは馬の走る速度を上げた。どこまでも駆けていけそうで先を駆ける護衛騎士を追い抜いてしまう。先駆けの護衛騎士が慌ててディーデリヒに並走し小言を並べた。
「今くらい許してくれ!」
そう言って笑いながら先を走る皇太子をどうしたものかと見詰める先駆けの護衛騎士に殿役の護衛騎士が近づき首を振る。
「浮かれていらっしゃるのだから、しばらくはそっとしておこう」
「それもそうだな」
ディーデリヒが北部セトレア共和国に留学していた頃も随伴していた二人の護衛騎士はそう笑い合った。
「まあ、今からですか?」
「うん、僕が来ているのは非公式だからね。ルセアノの政務官と外交員は残るけど、七日後に使節団を連れて正式な訪問となる」
国交回復への状況については随時ルセアノ皇国に知らせている。ディーデリヒが戻る頃には人員の選定や国交回復を祝うための様々な物品の準備もできているはずだ。
細々したスケジュールはこれから両国の政務官たちが詰めていくことになるが、大まかには決まっている。
七日後、ディーデリヒたちルセアノ皇国使節団がティリシス王国に到着する予定だ。
その当日に正式な国王との会談、二日目には貴族議会に所属する議員や伯爵以上の貴族を招いての昼餐会、三日目はティリシス王都を視察して回り、夜には王場での夜会がある。
折り良く社交シーズン直前であり、その幕開けとされる王宮での夜会が予定されていたことも、スムーズな国交回復への助けになった。
通常なら王宮主催の夜会では、招待状は遅くとも一ヶ月前には発送される。今回の夜会でもすでに招待状は出されており、出席者からの返事も王宮に到着済みだ。
そのため出席者に隣国ルセアノ皇国との国交回復の祝賀も行われることを通知するのみだった。
「どうか、お気をつけて」
「うん、貴女もこれから準備で忙しくなるだろうから体調に気をつけてね。無理をしてはいけないよ」
「ディーデリヒ様こそ」
「じゃあ、パトリツィア」
二人が名残惜しく見詰め合っていると公爵が咳払いをする。ディーデリヒはパトリツィアへ伸ばしかけた手を戻して馬車停めに向かい待機していた馬へと跨がった。
今回、往路は側近で宰相補佐の一人と、二人の護衛騎士との四人で先行し騎乗して動いていた。政務官や外交員たちはあとから馬車で入国している。
側近は宰相補佐としての仕事がありティリシスに残るため、復路は護衛騎士を二人を連れて三人での行程だ。
空はディーデリヒの心を映したように晴れ渡り、優しい風が頬をかすめた。
『……う、うれしい……です』
顔を赤くしてそう告げたときのパトリツィアを思い出す。
パトリツィアはディーデリヒとの結婚が嫌ではないどころか嬉しいと答えたのだ。
ディーデリヒは馬の走る速度を上げた。どこまでも駆けていけそうで先を駆ける護衛騎士を追い抜いてしまう。先駆けの護衛騎士が慌ててディーデリヒに並走し小言を並べた。
「今くらい許してくれ!」
そう言って笑いながら先を走る皇太子をどうしたものかと見詰める先駆けの護衛騎士に殿役の護衛騎士が近づき首を振る。
「浮かれていらっしゃるのだから、しばらくはそっとしておこう」
「それもそうだな」
ディーデリヒが北部セトレア共和国に留学していた頃も随伴していた二人の護衛騎士はそう笑い合った。
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