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第3章 マヌエラの話
(17)そして夜会へ
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マヌエラは採寸のためにヘルムートから王宮に呼ばれたが、王宮に行くための服もない。なので、それもヘルムートに贈られた。
そのドレスも今まで着たこともないような高級なもので、寮の手狭な自室で一人で着替えるのは苦労した。
侍女のいないマヌエラが自分だけで夜会用のドレスに着替えられないのは明らかだった。
そのため当日は昼前からヘルムート自身がマヌエラを迎えに来て、王宮でヘルムートに命じられた侍女たちがマヌエラの化粧からドレスの着付け、髪を整えるまでを行った。
ヘルムートに贈られたドレスは豪華なものだった。
生地はヘルムートの髪色と揃いのゴールドで、刺繍の施された絹のオーガンジーが重ねられている。豪華ながらも襟や袖、裾のレースが可愛らしさも演出していた。
身に付けるイヤリングやネックレスはヘルムートの瞳の翠玉だ。
総額でいくらになるのか検討もつかず緊張しているマヌエラは、侍女たちにジロジロと見られていることにも気づかなかった。
着替えを終えヘルムートと顔を合わせれば、ヘルムートの正装は随所にマヌエラのはしばみ色が使われていた。
コルセットは苦しかったが、マヌエラは胸が高鳴って完全に物語のヒロイン気分になっていた。
夜会の直前、パトリツィアに婚約破棄を告げ苛めの謝罪をさせると、ヘルムートに白金の髪に菫色の瞳の美しい女性のもとに連れられた。
「私、ティリシス王国第一王子ヘルムート・ビシュケンスはパトリツィア・ラインマイヤーとの婚約を破棄する!」
あれ? パトリツィア様ってこんなに美しい方だっけ?
パトリツィア様は銀髪で、目の前の女性の髪の色味は近いけれど違う気がする。
マヌエラは疑問に思ったがヘルムートは話を進めている。マヌエラへの苛めの話になって、最初に四人の女子学生から教室に押し掛けられたときの怖さを思い出し、マヌエラも必死に主張した。
主張しながら、改めて目の前の女性を見てあの銀髪の女子学生とは全くの別人だと気がつく。けれど隣のヘルムートは目の前の女性をパトリツィアとして話を進めた。
マヌエラはもうなにも言えなかった。完全なる人違いだ。どうしよう、今後どうすれば家族に迷惑をかけずにすむだろう、そのことしか考えられなかった。
そして、マヌエラは顔面蒼白になりながら話の行方を見守り、最終的にはヘルムートとともに夜会の会場から退出させられた。
夜会のあとから処分が決まるまでマヌエラも王宮に留め置かれることになった。同じ王宮内にいても当然ヘルムートには会えず、会話をするのは事情聴取の事務官たちばかり。
そして段々と事の成り行きがマヌエラにも分かってきた。ヘルムートには多少幻滅したが、起こってしまった出来事はどうしようもない。
それに幻滅する部分はあっても、学院では確かにヘルムートが助けてくれたのだ。
それに自分の恋心も消えはしなかった。
見た目が格好良くて堂々とした振る舞いをしているのに、ダメな部分があってなんだか可愛く思えてしまったのだ。好きだからなのかもしれない。
学院では三年次の後期課程はまだ残っているがマヌエラは今年中はもう学院に戻れないだろう。けれど事務官たちに頼み込んで試験と論文で合格すれば後期の修了認定はしてもらえることになった。
四年生に進級できるかは分からないがやれることはやっておきたい。
心細くはあったが開き直ったマヌエラは時間があるのを良いことに思いっきり勉強に打ち込んだのだった。
そのドレスも今まで着たこともないような高級なもので、寮の手狭な自室で一人で着替えるのは苦労した。
侍女のいないマヌエラが自分だけで夜会用のドレスに着替えられないのは明らかだった。
そのため当日は昼前からヘルムート自身がマヌエラを迎えに来て、王宮でヘルムートに命じられた侍女たちがマヌエラの化粧からドレスの着付け、髪を整えるまでを行った。
ヘルムートに贈られたドレスは豪華なものだった。
生地はヘルムートの髪色と揃いのゴールドで、刺繍の施された絹のオーガンジーが重ねられている。豪華ながらも襟や袖、裾のレースが可愛らしさも演出していた。
身に付けるイヤリングやネックレスはヘルムートの瞳の翠玉だ。
総額でいくらになるのか検討もつかず緊張しているマヌエラは、侍女たちにジロジロと見られていることにも気づかなかった。
着替えを終えヘルムートと顔を合わせれば、ヘルムートの正装は随所にマヌエラのはしばみ色が使われていた。
コルセットは苦しかったが、マヌエラは胸が高鳴って完全に物語のヒロイン気分になっていた。
夜会の直前、パトリツィアに婚約破棄を告げ苛めの謝罪をさせると、ヘルムートに白金の髪に菫色の瞳の美しい女性のもとに連れられた。
「私、ティリシス王国第一王子ヘルムート・ビシュケンスはパトリツィア・ラインマイヤーとの婚約を破棄する!」
あれ? パトリツィア様ってこんなに美しい方だっけ?
パトリツィア様は銀髪で、目の前の女性の髪の色味は近いけれど違う気がする。
マヌエラは疑問に思ったがヘルムートは話を進めている。マヌエラへの苛めの話になって、最初に四人の女子学生から教室に押し掛けられたときの怖さを思い出し、マヌエラも必死に主張した。
主張しながら、改めて目の前の女性を見てあの銀髪の女子学生とは全くの別人だと気がつく。けれど隣のヘルムートは目の前の女性をパトリツィアとして話を進めた。
マヌエラはもうなにも言えなかった。完全なる人違いだ。どうしよう、今後どうすれば家族に迷惑をかけずにすむだろう、そのことしか考えられなかった。
そして、マヌエラは顔面蒼白になりながら話の行方を見守り、最終的にはヘルムートとともに夜会の会場から退出させられた。
夜会のあとから処分が決まるまでマヌエラも王宮に留め置かれることになった。同じ王宮内にいても当然ヘルムートには会えず、会話をするのは事情聴取の事務官たちばかり。
そして段々と事の成り行きがマヌエラにも分かってきた。ヘルムートには多少幻滅したが、起こってしまった出来事はどうしようもない。
それに幻滅する部分はあっても、学院では確かにヘルムートが助けてくれたのだ。
それに自分の恋心も消えはしなかった。
見た目が格好良くて堂々とした振る舞いをしているのに、ダメな部分があってなんだか可愛く思えてしまったのだ。好きだからなのかもしれない。
学院では三年次の後期課程はまだ残っているがマヌエラは今年中はもう学院に戻れないだろう。けれど事務官たちに頼み込んで試験と論文で合格すれば後期の修了認定はしてもらえることになった。
四年生に進級できるかは分からないがやれることはやっておきたい。
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