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こどもみたいな願い
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マリアの願いが叶ったのか、少しすると、ヨハン殿下が王籍を抜ける、と発表された。彼自身が望んだことだが、婚約者候補による押し付け合いが影響したことかどうかは彼にしかわからない。
幸いにも王位継承権を持つ者は他にもいたが、その全員に婚約者がいたために、新しい犠牲者が出ることはなかった。
マリアは平民としていきたい気持ちと、ヨハンへの気持ちで揺れていたが、彼が平民になったことで、夢を諦めなくて済んだ。
「私の為に身分まで捨ててくれたのだから、頑張って幸せにしないとね。」
マリアはそう言うが、コリーナには彼の良さが全くわからない。
「だから、良いのよ。皆には人気がない方が安心よ。貴女もそう思うでしょう?」
コリーナはグリーク卿と良い関係を築いてはいる。だが彼は皆に優しいから、人気も高く、コリーナを気にせずに近づいて来る人もいる。
「グリーク卿ほど、わかりやすい人でもコリーナには不安なのね。確かにモテるけど彼は貴女しか見えていないのに。」
マリアは平民だけど、いや、平民だからか、人の気持ちを敏感に感じ取り、色々なアドバイスをしてくれる。
コリーナが詳しいのは薬草についてだけなのでそれが非常にありがたい。
「次代の王は、王弟殿下の御子息に決まったんですってね。」
「そうらしいわ。ヨハン曰く、賢くて可愛くないこども、らしいけれど。」
「婚約者もちゃんといるのでしょう。仲は良いのかしらね。」
「エリザベス嬢の妹何ですって?確か、幼い頃に先王陛下に引き取られた実妹なんでしょう。エリザベス嬢に嫌われて公爵家にいられなくなったと聞いたわ。」
「あの時は、よくわかっていなかったし、妹さんが悪いみたいな風潮があったけれど、今となってはわからないわね。妹さんはもしかしたら、彼の方の思う通りに動かなくて、彼女の逆鱗に触れただけかもしれないもの。」
コリーナは自分が受けた彼女からの仕打ちを思い出し、家族だからと、あんな理不尽な怒りを小さい子が受けていたら、と思うと居た堪れなくなった。
「全然有り得ると思うわ。だって、妹さんはとても優秀だと聞くもの。」
その後の夜会で、出会ったそのエリザベスの妹は、コリーナと会った瞬間、全身で喜びを表現し、「姉に一泡吹かせた人に会えて嬉しい」と無邪気に彼女達の仲を暴露した。
「安心してください。姉はもう社交界に戻ることはありません。私が社交界の頂点に君臨したのですから、腑が煮え繰り返りそうでも、近づいて来ることはないと思いますわ。」
コリーナはその笑顔につられて、笑顔になる。
「じゃあ、そろそろ結婚しますか。」
グリーク卿と喜び合うと元気にコリーナは頷いた。
終わり
最後まで読んで頂きありがとうございました。 mios
幸いにも王位継承権を持つ者は他にもいたが、その全員に婚約者がいたために、新しい犠牲者が出ることはなかった。
マリアは平民としていきたい気持ちと、ヨハンへの気持ちで揺れていたが、彼が平民になったことで、夢を諦めなくて済んだ。
「私の為に身分まで捨ててくれたのだから、頑張って幸せにしないとね。」
マリアはそう言うが、コリーナには彼の良さが全くわからない。
「だから、良いのよ。皆には人気がない方が安心よ。貴女もそう思うでしょう?」
コリーナはグリーク卿と良い関係を築いてはいる。だが彼は皆に優しいから、人気も高く、コリーナを気にせずに近づいて来る人もいる。
「グリーク卿ほど、わかりやすい人でもコリーナには不安なのね。確かにモテるけど彼は貴女しか見えていないのに。」
マリアは平民だけど、いや、平民だからか、人の気持ちを敏感に感じ取り、色々なアドバイスをしてくれる。
コリーナが詳しいのは薬草についてだけなのでそれが非常にありがたい。
「次代の王は、王弟殿下の御子息に決まったんですってね。」
「そうらしいわ。ヨハン曰く、賢くて可愛くないこども、らしいけれど。」
「婚約者もちゃんといるのでしょう。仲は良いのかしらね。」
「エリザベス嬢の妹何ですって?確か、幼い頃に先王陛下に引き取られた実妹なんでしょう。エリザベス嬢に嫌われて公爵家にいられなくなったと聞いたわ。」
「あの時は、よくわかっていなかったし、妹さんが悪いみたいな風潮があったけれど、今となってはわからないわね。妹さんはもしかしたら、彼の方の思う通りに動かなくて、彼女の逆鱗に触れただけかもしれないもの。」
コリーナは自分が受けた彼女からの仕打ちを思い出し、家族だからと、あんな理不尽な怒りを小さい子が受けていたら、と思うと居た堪れなくなった。
「全然有り得ると思うわ。だって、妹さんはとても優秀だと聞くもの。」
その後の夜会で、出会ったそのエリザベスの妹は、コリーナと会った瞬間、全身で喜びを表現し、「姉に一泡吹かせた人に会えて嬉しい」と無邪気に彼女達の仲を暴露した。
「安心してください。姉はもう社交界に戻ることはありません。私が社交界の頂点に君臨したのですから、腑が煮え繰り返りそうでも、近づいて来ることはないと思いますわ。」
コリーナはその笑顔につられて、笑顔になる。
「じゃあ、そろそろ結婚しますか。」
グリーク卿と喜び合うと元気にコリーナは頷いた。
終わり
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