王子は真実の愛に目覚めたそうです

mios

文字の大きさ
45 / 45
番外編 ジャンヌとルーカス

大切な人

しおりを挟む
「ねえ、もしかして、ルーカスの大切な人って私のこと?」
侍女は大きくため息をつきながら、肯定する。

「何度も申し上げていますよ。今なのですか?こんなに愛されておいて、今?」
パッと後ろを振り返ると、護衛についている騎士達も、疲れた顔をしている。

「何なら、王宮内の使用人全員に聞いても、驚かれますよ。今ですか?と。私の態度は正当な物です。」

「だって、自意識過剰かしら、とか。考えるでしょう。誰にだって優しいのだもの。ルーカスは。」

そう言うと、周りの人達の動きが止まる。

「誰が誰に優しいのです?」
「いえ、だから、ルーカスが皆に。」
「あの方がお優しいのは、ジャンヌ様だけです。」

侍女の声に、ウンウン頷く騎士達。

「あの方は、ジャンヌ様に嫌われたくないので、ジャンヌ様の前では少しばかりまともですが、ジャンヌ様のいらっしゃらないところでは、優しくも何ともないですよ。」

「昔はもう少しわかりにくい感じでしたけれど、最近は顕著ですしね。」

「ジャンヌ様が思うほど、あの方は優しくありません。女性にも笑いかけたりしませんし。」

私が知っているルーカスは人当たりが良く、優しく、人懐こいのだが、それがそもそも違うのだと言う。

私は、彼が綺麗なご令嬢に会う度、不安でしかなかったのだが、それは取り越し苦労だったようだ。

そう言えば、私達が学園に通っている時に、ルーカスには冷たい、とか気難しい、とか言われていた。私はルーカスのことをよく知らない人が勝手に言っているのだと、思ってたけれど。

実際には、冷たくて、気難しい人と言うのは合っていたかもしれない。

ルーカスの婚約者になって、初めて側妃様にお茶を呼ばれた時にも、同じようなことを言われたことがある。

「あの子は、態度がわかりやすいのよ。興味のない人には、全く勘違いをさせないから、浮気の危険はないと思うわ。寧ろ、危険なのは、独占欲の方ね。何かと、我慢させていたから、我慢しなくていい、となると、欲望に忠実になりそうで、危ないかもしれないわ。もし、危険を感じるなら逃げてね。」

あの頃は独占欲を感じられるほど、愛されるなんて、私には縁がないことで、よく理解できていなかったけれど。

だんだんとわかってきた。彼が、私に対して取っている態度を見るにつれ、彼が今までとは違う顔を見せるにつれ、この今の顔は、私にしか見られないものだと、気づくにつれ。

彼の兄には感じなかったはじめての気持ちを持て余しつつ、私は彼を手に入れて離さない。もし、結婚までの間に同じことが起こっても、次は離さないと誓う。

私の中にも、彼に近い独占欲の塊が育っていくのがわかる。不毛だけど、私の愛が彼の愛を上回って飲み込んでしまうまで、時間はかからないだろう。

泣きそうな顔で愛を囁く貴方に応える私の顔はどんな風に見えるのでしょう。きっとひどい顔をしている。

だって、抱きしめられるたびに、訳がわからなくなるのだもの。





おわり
しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

さく
2021.04.04 さく

うわーん、ごめんなさい!
ジャンヌ馬鹿=ルーカス、のことでした。
ジャンヌは甘やかされていればいいわ~と思っております。

それにしても、兄は最初から馬鹿…mios様のお言葉、やっぱり大好きです♪

2021.04.04 mios

大丈夫ですよ!わざわざありがとうございます!!

このあと明らかになりますが、奴らは皆馬鹿です。馬鹿な子ほど、可愛いって感じで生温かく見てやってください。

解除
さく
2021.04.04 さく

んー、兄はバカ王子じゃなかったのですね。
元には(王子には)戻れなくても、利用価値はある…ある意味、和解?
いや、違うな。妥協かな。
そんな共存の仕方に落ち着くとは…意外でした。

それにしても、ジャンヌ馬鹿…仕事しろよ 笑

2021.04.04 mios

ありがとうございます。兄は最初から馬鹿王子です。ルーカスにとって、異母兄とは言っても若干の情はあったのかな、と。

嫌い同士なので、今後の交流は……わかりません。

ジャンヌは元々ヒロイン枠なんですが、存在を忘れてまして、焦って出した結果……これから、仕事するでしょう。(適当)

あと、もう少しありますので、引き続き読んでいただけると、嬉しいです。

解除
さく
2021.03.23 さく

お話の行方が予測出来ず、わくわくしております。

登場人物みんながハピエンになるといいですね…なーんて事は思うハズもなく、ざまあがあると良いなと
こっそりつぶやいてみたりして。

2021.03.23 mios

感想ありがとうございます。サクッと終わるはずが、長引いています。ざまあは書けるといいのですが。

あ、でもみんながハッピーエンドではないです。笑

解除

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!

22時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。

お母様!その方はわたくしの婚約者です

バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息 その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…

みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。   

【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!

雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。 しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。 婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。 ーーーーーーーーー 2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました! なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。