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婚約者は犬ではないので
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アトラスは次期侯爵である彼女の姉に簡潔な手紙を出した。要は愚弟の画策について、親切な忠告をしてあげたのだが。流石、次期侯爵は対応が早い。あっという間に侯爵令息を、再教育に回して、ずっと内縁の夫扱いだった従者を夫とした。
侯爵家は公爵家と同じく狙われやすい。しかも相手の不貞による婚約破棄であっても、一般的には傷物として考えられる侯爵家の後継ぎなんて、碌なのが寄って来ないのだ。だから、彼女はお気に入りの下位貴族の令息を最初から婿にするつもりで内密に従者として囲い、時期が来たら婚姻に持ち込むつもりだった。
「まさか愚弟がそんなことを画策していたなんて。」
ショックを受けつつも、公爵家に借り一つ、何かあれば協力を惜しまないと約束をしてくれる。
なのでお言葉に甘えて、アトラスは早速頼み事を聞いてもらうことにした。
その日、学園に在学中のご令嬢が相次いで退学すると言う事態に陥った。
絶対に断れない縁談が、各家に申し入れられ、令嬢達は皆学園の卒業を待たずに嫁入りとなったのだ。
ある伯爵家には、隣国の元公爵から、縁談が届いた。現公爵はまだ結婚していない。令嬢はすぐに飛びついた。父である伯爵は冷静に情報を集めようとしたのだが、王命がでてしまい、おかしい、と思いながらも縁談を受けるしかなかった。
またある伯爵家では、遠い砂漠の国の第三王子が正妻となる女性を探している、と申し入れが来た。伯爵家だが、自国では叶えられない良縁に、令嬢はじめ皆が飛びついた。
最後にある伯爵家では、世界を股にかける豪商から、息子の嫁にと申し入れがあり、断りきれずに了承した。
彼女達に雇われていた子爵令嬢は、とある伯爵令嬢から呼び出されていた。
侯爵家を狙っていた令息の婚約者である。彼女は気が多い婚約者の後始末をずっとしていた為に、子爵令嬢を消すことに躊躇いはなかった。
実はこれまで、駄々を捏ねて、彼と別れたくないと言う浮気相手の令嬢達から、婚約者を引き離し、彼女達が謝るまで躾ける、と言うことが度々あった。
彼女は子爵令嬢が自分の婚約者も狙っているのでは、と思い、調べていたが、途中で面倒になり、疑わしきは罰せよ、と彼女の前に鞭を持って現れたのである。
「野生動物の調教にはうってつけなのよ。貴女、淑女教育も身についていないお猿さんなのよね?私の婚約者に手を出したこと、後悔させてあげるわ。」
無知は罪。子爵令嬢は侯爵令息を少しだけ味見しただけだったが、彼にはこんなに狂った婚約者がいるとは知らなかった。
彼女が口答えするたびに、増える痛み。みみず腫れは中々引かず、大人しくしていればまだマシと知ってからはじっとしている。
彼女はそれはそれで面白くないと、彼女への罰を考える。
「そうだわ。いっそのこと貴女を飼えば良いのだわ。」
伯爵令嬢はストレス発散の道具として彼女を雇い入れることにした。子爵家は自分の子がしたことも、伯爵家で行われることも何一つ知らずに、伯爵家に望まれる我が子を誇りに思う。
彼女も学園で余計な知恵を授かっても困るから、と学園は退学になったがその後一生伯爵家で雇われることになる。
侯爵家は公爵家と同じく狙われやすい。しかも相手の不貞による婚約破棄であっても、一般的には傷物として考えられる侯爵家の後継ぎなんて、碌なのが寄って来ないのだ。だから、彼女はお気に入りの下位貴族の令息を最初から婿にするつもりで内密に従者として囲い、時期が来たら婚姻に持ち込むつもりだった。
「まさか愚弟がそんなことを画策していたなんて。」
ショックを受けつつも、公爵家に借り一つ、何かあれば協力を惜しまないと約束をしてくれる。
なのでお言葉に甘えて、アトラスは早速頼み事を聞いてもらうことにした。
その日、学園に在学中のご令嬢が相次いで退学すると言う事態に陥った。
絶対に断れない縁談が、各家に申し入れられ、令嬢達は皆学園の卒業を待たずに嫁入りとなったのだ。
ある伯爵家には、隣国の元公爵から、縁談が届いた。現公爵はまだ結婚していない。令嬢はすぐに飛びついた。父である伯爵は冷静に情報を集めようとしたのだが、王命がでてしまい、おかしい、と思いながらも縁談を受けるしかなかった。
またある伯爵家では、遠い砂漠の国の第三王子が正妻となる女性を探している、と申し入れが来た。伯爵家だが、自国では叶えられない良縁に、令嬢はじめ皆が飛びついた。
最後にある伯爵家では、世界を股にかける豪商から、息子の嫁にと申し入れがあり、断りきれずに了承した。
彼女達に雇われていた子爵令嬢は、とある伯爵令嬢から呼び出されていた。
侯爵家を狙っていた令息の婚約者である。彼女は気が多い婚約者の後始末をずっとしていた為に、子爵令嬢を消すことに躊躇いはなかった。
実はこれまで、駄々を捏ねて、彼と別れたくないと言う浮気相手の令嬢達から、婚約者を引き離し、彼女達が謝るまで躾ける、と言うことが度々あった。
彼女は子爵令嬢が自分の婚約者も狙っているのでは、と思い、調べていたが、途中で面倒になり、疑わしきは罰せよ、と彼女の前に鞭を持って現れたのである。
「野生動物の調教にはうってつけなのよ。貴女、淑女教育も身についていないお猿さんなのよね?私の婚約者に手を出したこと、後悔させてあげるわ。」
無知は罪。子爵令嬢は侯爵令息を少しだけ味見しただけだったが、彼にはこんなに狂った婚約者がいるとは知らなかった。
彼女が口答えするたびに、増える痛み。みみず腫れは中々引かず、大人しくしていればまだマシと知ってからはじっとしている。
彼女はそれはそれで面白くないと、彼女への罰を考える。
「そうだわ。いっそのこと貴女を飼えば良いのだわ。」
伯爵令嬢はストレス発散の道具として彼女を雇い入れることにした。子爵家は自分の子がしたことも、伯爵家で行われることも何一つ知らずに、伯爵家に望まれる我が子を誇りに思う。
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